#260 都市と地方の機会格差
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
今日は、福井県出身で高校卒業まで福井の実家で過ごし、その後関西の大学に進み、今は東京の企業で勤務している私の目線から見た、都市部と地方部の機会格差について話してみたいと思います。
もちろん、地方ならではの良さもたくさんありますし、都市と地方のそれぞれの良さは個人の好き嫌い、相性によるところが大きいですが、少なくともキャリア形成に関する部分に関しては、やはり地方不利な面が多いと感じながら生きてきました。
まぁ、どこに生まれてもやる人はやるし、やらない人はやらない、というのは前提にあるわけですが、同じ日本でも成り行きに任せていると触れる情報量やセレンディピティ発生確率面では、地方部の方が自分は不利だと感じる場面が多かったため、物理的な場所を上手く越えられるデジタルを上手く活用すること、積極的に外に出ることが大切だと考えます。
具体的に、どのような事例からそのように考えるに至ったのか、私の体験談も交えて話していきます。
積雪による影響
はじめの話が都市と地方の比較でなくてすみません。なのですが、札幌や新潟を除き、多くの政令指定都市では、年間を通じて比較的天気が穏やかな地域が多いと感じてきたのと、個人的には雪がもたらす様々な影響に関して色々と思うところがあったので、先にこの観点を持ち込んでいます。
まず、毎年一定量の雪が降る生活というのは、それだけで雪が降らない地域よりも個人の「自由に使える時間」が多いのではないか?という思いを抱きながら生きてきました。
例えば、自分の学生時代を振り返ると、基本的に冬で雪が降る日は、朝6時には起きて、家の前の雪かきをするところから始まります。
実家には、車が3台ありましたが、夜のうちに雪が積もっていると、親が車出勤ができず、よく手伝えと言われて雪かきの手伝いに駆り出されていたからです。
まぁ、小学生くらいまでは純粋に雪が積もって楽しい!って感じだったのですが、中学生を超えるとだんだん雪のある生活が面倒くさく感じるようになってきました。
通学も自転車通勤ができなくなる、あるいは無理やり雪の上を自転車通学しなければならず危険だし、朝学校に到着した時点で服が濡れている状態でスタートとなります。
雪が降らずとも、雨も多い地域なので、朝の開始時点で濡れている状態というのがかなり気分を落としていました。
高校時代は、電車通学をしていましたが、地方なので朝夕の通勤・通学が集中する時間でも1時間に電車は2〜3本です。今は人口も減り、基本的に当時よりもさらに減便されています。
この少ない電車が、積雪の影響を受けて、さらに遅延するんですね。
高校時代の冬は、最寄り駅に朝6時半前には到着してかなり早い時間の電車を待っていましたが、ひどいと1時間遅れなんてザラで、1時間分の人が小さな駅に押し寄せてくるので、雪が当たらないスペースはかなり混雑します。
だから、屋根のない電車のホームでいつ来るかわからない電車を待っていましたが、吹雪の中待っていたりということで、基本的にはこの時間、何もできません。
今でこそ、スマホで動画を見たり、音声コンテンツを聞くことができて便利な時代になりましたが、当時はそんなものもなかったので、単語帳を開いて勉強することもできず、ただ吹雪の中でいつ来るか分からない電車を待ち続けるという苦行を強いられていました。
で、散々待って来ない日なんかもあると、電車から徒歩に切り替えて通学、あるいは帰宅していたのですが、たった一駅の場所でも、そもそも一駅間隔が長いことと雪で歩きにくいので、徒歩1時間はかかります。
当然、この時間も何もできないわけです。
朝の雪かきと通学、帰宅におけるトータルでの「何もできない時間」を計算すると、1日3時間以上にはなっていました。
もちろん、都会でも通学時間などはありますが、雪で完全に他のことができないので、この時間を使って単語覚えたりすれば、普通に結構な学力の差が出るのでは?と思うくらい不利な環境にいると感じていました。
就職活動のハードル
私は関西で就職活動を経験していますが、東京で就職活動できる人たちに対する憧れがありました。
今はリモート面接などもできるようになり、だいぶ状況は変わってきていますが、当時は東京に本社を持つ企業では特に、面接は東京だけ、みたいなところも少なくありませんでした。
大企業であれば、大阪でも一次面接できるようにしてくれているところも少なくなかったですが、やはり全体から見ると「東京のみ」みたいなところが多かった印象があります。
就職活動は、企業と応募者のマッチングの世界であることを考えると、受けてみたら意外に相性が良かった、みたいなこともあるわけで、そういう意味では「ちょっと興味がある」程度でも興味があるならば実際に応募してみたり、OB・OG訪問して話を聞きに行けばいいと思うんですよね。
それが東京にいれば気軽にできても、関西にいると「ちょっと興味がある」程度でわざわざ東京までいく必要があるならやめとくか・・になっていたわけです。
また、大学時代には、当時の部活の活動から、東京の大学に通っている友人も多かったですが、関西でさえ、学生側が就職活動に火がつくタイミングが東京の2周くらい遅かった感覚があります。
やはり東京圏に比べて、企業のインターンや説明会などの機会が少ないのと、学生側も全体的にのんびりしていると分析していました。
別に早ければ良いというわけではないですが、学生側がのんびりしているのは、やはり就職活動関連の情報や会話が学生間で行われる機会が一定頻繁になるタイミングが遅いというわけで、このような「会話量」「情報量」の総量が東京圏に比べて少ないということを意味していると考えています。
面白い人と出会う確率
就職活動をしていた時に、あらゆる企業の内定を総ナメしていた、いわゆる「超優秀層」の友人がいました。彼は企業のインターンなどでも活躍していたため、関西の他大学の「超優秀層」の学生とも仲良くなっていました。
私も「超優秀層」の学生たちと、企業の選考でグループディスカッションで一緒になったりして知っている人も何人かいますが、一旦就職したものの、数年でやめて自分で起業して事業を進めている人ばかりで、いわゆる「面白い人」なわけです。
関西の規模でも一定の「面白い人」がいるので、いわんや東京をや、といったところです。もしその友人がさらに人口が多い東京圏で就職活動をしていたら、「超優秀層」の人と出会う確率が上がり、掛け算でもっと面白いことになっていたのでは?と今でも感じています。
もちろん地方部にも面白い人はたくさんいますが、人口集積している東京側に「面白い人と出会う機会」が多いのは間違いないと思うんですよね。
もちろん、その機会を活かすも殺すも自分次第で、究極的には「その人次第」ではあります。
しかし、地方で「面白い人や機会」と出会う確率を増やすにはやはり成り行きに身を任せていては苦しく、学校であれ企業であれ自治体であれ、そのような仕掛けと環境をかなり意図的に設計して仕掛けていかないと、「地方独自の良さで勝負する!」と綺麗事を並べてみても、現実問題として苦しいよなぁと思うわけです。
ただ逆に言うと、人口集積していない地方の方が、何かやった時に「この地域でこんなことやってるの!」という意外性を武器にした話題が生みやすい面があります。
また、同じ能力を持っていても、大多数の中に埋没せず、相対的にフォーカスされる機会が多いというプラスの面もありますね。
元々都会で活躍していた人たちも含めて、「面白い人」たちが地方に注目し、多く集まり出しているのは、地方のポテンシャルですね。自分が学生の時には全く感じられなかった流れを感じています。
ただ、世の中の流れとして「オンライン→オフラインの価値見直し」に揺り戻りつつある今、人口集積地帯を中心とした対面イベントがどうしても増えていくのでは?と感じています。
ただ、これだけ地方が注目されている現代においては、東京のみで、というよりむしろ、各エリアの人口集積地帯で、その場所だからこその体験とセットでのオフラインイベントがより盛り上がっていくのかなと考えています。
それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!