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#317 ブルーオーシャン戦略を深く理解して、自分の人生設計に適用する (2/2)

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

昨日からお届けしている「ブルーオーシャン戦略」に関する深掘り理解シリーズの後編となります。

競争が激しい既存市場ではなく、競争のない未開拓市場を狙うブルーオーシャン戦略。名前は聞いたことがある人も多いと思いますし、誰もができることならここで勝負できたほうがいいはずなのに、実際にブルーオーシャン開拓は容易ではないというところに目を付け、どのような価値観・観点・順序で取り組んでいくものなのか、改めて勉強してみました。

すると、「ブルーオーシャン戦略」を「ニッチ戦略」というマーケティング手法のように誤解していたり、全くの新規顧客を切り開いていくものと誤解していたりということが分かり、やはり一次情報がある原書を読むことの重要性に気付かされています。

昨日は、ブルーオーシャン戦略の本質は、バリューイノベーションであり「買い手と自社にとっての価値を再定義するもの」という理解について深掘りました。

高い独自性をもって「深く追求する・新たに加える」ことによる差別化戦略を行いながら、同時に「今あるものを無くす・極限まで減らす」ことを通じて低コスト化を図ることで、自分のサービスや商品をメリハリあるものにし、訴求力あるキャッチフレーズにまとめ上げることで、既存市場の業界標準や当たり前に線を引き直すこと。

本書をもとに筆者作成:頭の中の理解を絵にするとこんな感じ

「買い手の効用」を最大化しつつ、「自社の利益」にも十分な利益を確保するための売上とコストを設定し、それが実現できる目処が立てば実行、そうでなければ諦めるか目処が立つまであの手この手を繰り返す、という順番が大事という話です。

今日は、後編として、「メリハリ」ある商品やサービスにしていくために必要なアプローチについて、深掘りしていきます。ぜひ「自分」が提供できる価値を商品と見立てて、どうメリハリを付けていくか、これらの観点から考えられてみられるのも良いかと思います!


「メリハリ」の観点を探すための6つのアプローチ

「買い手の効用最大化」と「自社の利益最大化」のトレードオフに見える価値追求を同時に実現するには、「さらに深く追求する・ないものを足す」と「あるものを無くす・極限まで減らす」を行い差別化と低コスト化を同時に行うことが原則なわけですが、その時の観点をどのように見つけ出すのか、本書の内容に沿ってご紹介していきます。

1. 代替産業に学ぶ

私たちは、他と差別化を考えるときに、「他」の対象として、どうしても同じ業界内に目を向けがちですが、そうではなく他業界を見る、という発想です。
同じ業界を見ているうちは、特に「ないものを足す」という発想に行きつきにくいです。なぜなら、大抵同じ業界での標準的なやり方は確立されていて、何がないものか、というところに目が行きにくいからです。

例えば、マッサージ店が同じ業界だけを見ていても「予約して、メニューを選んで、マッサージを受けて、支払して帰る」という基本機能しか見えてきませんが、買い手のニーズを「2時間ほど気ままに過ごしたい」というように広義に捉えれば、映画館やカフェなども選択の候補に入ってきます。
役割も形態も違いますが、同じ目的のために役立つ製品やサービスを無意識に比較して判断しているため、このような業界外にあるものからヒントを得て、自分の業界に取り入れることで「ないものを足す」が実現できます。

2. 業界内の他の戦略グループから学ぶ

同じ業界内でも戦略の切り口に応じてグルーピングすることができて、他の戦略グループから学ぶというのがこのアプローチです。分かりやすいのは自動車産業における「ファミリーカー路線の戦略」と「高級車路線の戦略」を取っている企業群のような違いで、「買い手」がどのようなタイミングや判断軸をもって、別の戦略グループにシフトするのか?に着想して「ないものを足したり」「あるものを無くしたり」します。

3. 別の買い手グループに目を向ける

大抵の場合、私たちの事業は過去の延長で買い手グループのターゲットが決まっていますが、本来、どの買い手グループをターゲットとすべきかに着目し、業界で常識となっているターゲット顧客をずらすという発想です。
例えば、これまで個人向けのコーチング業務を行っていた人が、企業向けのコーチングセミナーに切り替えるというような話。個人向けだとどうしてもBtoCのため1人あたり売上はそこまで大きくできませんが、企業研修向けに切り替えることで、同じ労力でも1社あたり売上額を大きくできるかもしれません。

4. 買い手が求めるトータルソリューションを見極める

大抵の場合、買い手はその商品やサービスを単独で利用しているわけではなく、別のサービスと組み合わせで使っていることが多い、というところに着想する考え方です。例えば、小さな子どもを連れた親が子どもを託児所に預けて映画を楽しむというようなケースでは、単純に映画館というサービスだけではありません。

自分が映画館を提供する立場に立った時に、どのようなサービスがあると今映画を見れていない人がもっと利用しやすいか?を考えて、小さな子どもがいるため、なかなか一人で映画を見ることに制約がある、という人を潜在顧客に見立てて、トータルでのソリューションを提供している例です。

ポイントは、買い手のサービスの利用前・利用時・利用後のシチュエーションを想像するところです。地方の旅館がライドシェアサービスに参入し、最寄駅からの有料での送迎対応まで自前で提供する、という案もこれに該当しますね。

5. 機能志向と感性志向を切り替える

市民の悩みや相談に寄り添うサービスとして「感性志向」的な窓口業務を無くし、「機能志向」のネットでの各種手続きに集約することでコストカットを図りつつ、家でもオンライン手続きができるという利便性をもたらす「オンライン市役所」のようなサービスがこれに該当します。
保険やバンキングサービスなんかも、最近では販売代理店を介した販売を行わない流れが広がってきていますね。

6. 将来を見通す

よくあるトレンド予測だけでは、ブルーオーシャンに繋がる知恵は生まれません。
メガトレンドが顧客価値をどう変えるか、自社(自分)のビジネスモデルにどう影響するか、というところに思いを馳せて対応できるように構えておくことが大切。

自分事に置き換えるならば、遅かれ早かれ解雇規制は見直され、私が60歳になった頃には、社会保険料の仕組みも現状のまま維持されているとはとても考えられません。だから、老後に金融資産を残そうとするのではなく、自分で金融資産を作り出すための能力や社会資本を今のうちから作っておく、みたいな戦略を立てて実行していくことが該当します。

既存市場の周辺に目を向ける

「ブルーオーシャン」と聞くと、誰も泳いでいない完全新規のような市場を思い浮かべてしまいがちですが、実は既存の周辺にある潜在顧客市場に目を向けることが重視されています。

以前の記事でカスタマーリテンション(顧客維持)についてまとめましたが、ここで述べている以下の部分が割と近しい話だと理解しました。

「顧客を知る」とは、「顧客のビジネス・事業を知る」ことであり、顧客がどのような価値を顧客の顧客に提供して、顧客の事業を成立させているか、の仕組みを理解することです。

#307 の記事より引用

単純に、既存市場の顧客に対して「何がお望みですか?」と聞いたところで、「すでに提供済の商品をもっと安くしてほしい」というようなレッドオーシャン側に誘発する答えしか期待できません。

そうではなく、上述したメリハリを着想するためのアプローチから、「今目の前にいる人に提供できていない価値は何か?」「今は直接的な顧客になっていないけれど、顧客の候補になってくれる人がトータルで求めているものは何か?」の仮説を立てて、小さく試し撃ちしていくこと

ブルーオーシャンは、どの業界にとってもすぐそこにあるものです。
近々、私個人が提供できる価値に関するブルーオーシャン戦略について、まとめてみたいと思います。

皆さんのブルーオーシャン戦略も、よろしければぜひ教えてください!

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林 裕也@IT企業管理職 ×「グローバル・情報・探究」
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