「取材記事」を書くとき、ライターの腕が現れやすい、5つのポイント。
ライターには大まかに2種類います。
外部の出来事に綿密な取材をしてから記事を書くタイプのライターと、取材はあくまで2次的なもので、「自分」を中心にエッセイ的な文章を書くタイプのライターです。
両方をこなす器用なタイプのライターもいますが、一般的に、この2つのタイプはあまり両立しません。
「外部の出来事」を表現するのと、「自分の中で考えたこと」を表現するのでは、異なった技能が必要だからです。
今回はその「取材記事」の技法を取り上げます。
ジャーナリストとライターのちがい
取材記事の技法を解説する前に、まず「ジャーナリスト」と「ライター」のちがいについて説明をしておかねばなりません。
この2つを混同している方も多いからです。
ジャーナリストは、広義ではライターに含まれますが、狭義ではマスメディアで報道のための記事を書く人を指します。
それ故に、記事は基本的に客観性、中立性、正確性などが求められ、また、書いた記事を取材対象からチェックされることもありません。
「報道」の役割は、公共の利益に資することでもあるからです。
しかし、それに対して狭義の「ライター」の仕事は、顧客の求めに応じて、適切な記事を提供することです。
したがって、発注者の意向があり、その発注者のメリットとなるように記事を書かねばなりません。
当然、発注者によるチェックを受けます。
客観性、中立性、正確性はもちろん重要ですが、「記事の発注者」の意向を無視して記事を作ることはできません。
これがライターの役割です。
「ライター」にとって取材記事の難易度は高い
こうした違いがあるがゆえに、「取材記事」を書くことについては、実はライターのほうが難しいことも多いのです。
ジャーナリストは事実を、ありのままに、メディアの編集方針に従って、報道することができます。
「何を取り上げて、何を取り上げないか」についても、書き手に権限があります。
それに対してライター側は、権限の範囲が狭く、利害関係者が多いため、複雑な調整が求められることも少なくありません。
ですから「取材記事なんて、簡単ですよ」というライターがいたら、それは間違いです。取材記事は、ある意味では、ジャーナリストよりもライターのほうが、遥かに難しいバランス感覚を要求されます。
それゆえにライターの書く「取材記事」には腕の差が出やすいのです。
「取材記事」を書くときに、ライターの腕が現れやすい場所はどこか。
1.情報密度
では具体的に、記事中で、ライターの腕が現れやすい場所はどこでしょう。
これについては、「つまらない取材記事」を見れば、一目瞭然です。
例えば、ほとんどのインタビュー記事は「つまらない記事」になりがちですが、それは構成が練られておらず、テンプレートに従って書いているものが多いからです。
例えば以下のようなテンプレートです。
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