見出し画像

今週の【情報通信をとりまく】気になるニュースまとめ

海外の調査によると、メディア業界で働く人々のメンタルヘルスが「際立って深刻な状況」と。曰く、燃え尽き症候群の蔓延が見られるそうです。この背景には何があるのでしょうか。その他、ニュースアプリを通じて「出会い」のマッチングを生み出す新たな取り組みや、社会的な「分断」に対するアプローチについての話題などなど。

①ウェブ広告はコカインやアヘンと同じ?

ウェブ広告費が、コカインやアヘンに次ぐ反社会的勢力の資金源に?企業にはアドフラウドへの正しい理解と、適切な対策が求められています。

ー広告主にとって大切なお金が盗まれるだけでなく、犯罪者に流れる事態が起きている
ー「詐欺サイト」内で、不正に計上された成果に対し、広告主から広告費が支払われる
ーこのとき大半の広告主は不正行為に気付いていない。悪意のある業者やハッカーは、このように広告料が支払われる仕組みを悪用し、不正に金銭を得ている
ーアドフラウドは国内外のハッカーや反社会勢力によって行われていることが多い
ー世界広告主連盟(WFA)は、今後10年以内に、アドフラウドがコカインやアヘンといった薬物取引に次ぐ、反社会的勢力の巨大収入源となると予測している

②大手経済誌が参加する動画サービスに期待

無料映像配信サービス「FASTチャンネル」にビジネス向けカテゴリーが開設される。コンテンツは大手経済誌から。これは楽しみ。

ーこのチャンネルは、ダイヤモンド社、東洋経済新報社、プレジデント社など大手ビジネス誌発行出版社と日本ビジネスプレス社の協業により開設

③メディア人材のメンタルヘルスがピンチ

国外の調査で、メディア業界で働く人々のメンタルヘルスが、際立って深刻な状況だということが明らかに。燃え尽き症候群の蔓延も気になるところです。

ー調査結果によると、メディア業界従事者の54%が中程度から重度の不安症状を、56%が中程度から重度のうつ症状を示しています。これは他の業界と比較しても高い数値
ー在宅勤務者はオフィス勤務者と比べて、うつ症状(30% vs 38%)と不安症状(28% vs 40%)が低い傾向
ー給与に「非常に満足」している人は、うつ症状(23%)と不安症状(13%)が著しく低い
ー「人よりも利益を重視する」企業文化の下で働く人々は、うつ症状(45%)と不安症状(41%)がより高い傾向

④ニュースと出会いのマッチング?

よくよく調べてみると、このアプローチには可能性を感じました。

ーメディアリテラシーの低さが社会に及ぼす悪影響に危機感を抱いたハーダー氏は、質の高いジャーナリズムを活用して、共通の価値観や興味に基づいた意味のある人間関係を構築できるプラットフォームを構想
ーInPressは、ユーザーがニュース記事に対して反応することで、AIがマッチングを行うという仕組み。ユーザーは記事に対して絵文字で反応し、興味度や重要度を評価。これによりAIアルゴリズムがユーザーの興味や価値観を理解し、適切なマッチングを提案
ー特筆すべきはプレミアムサブスクリプション収入の15%をパートナーメディアと共有する仕組み。これにより、事実に基づいた報道を行うメディアに新たな収益源をもたらすことを目指す

⑤才能ある起業家に吹き荒れる向かい風

ビッグテック、巨大IT企業、SNS運営事業者ー。これらに対してかつてないほどに風当たりが強まっており、規制や司法の矛先となっている。

-SNS企業が伝統的メディア企業と同様の規制を受ける可能性はますます高まっており、このことは今後、多大なコスト負担を強いられる可能性を意味する
-Xには陰謀論があふれているが、その一部はマスク氏が広めている。彼の富、そしてエンジニアおよび起業家として疑う余地のない彼の才能をもってしても、自身が事業を展開する国々の法律に従わなければならない

⑥幸福を感じる筋肉の鍛え方?

これによると、ネガティブ感情を減らすよりも、ポジティブ感情を増やすほうが効果的と。なるほど

−抑うつや不安を抱える成人が、ポジティブな感情を高めることに重点を置いた15週間の心理療法に参加したところ、同じだけネガティブな感情を減らすことに重点を置いたグループよりも、症状の改善が見られた

⑦広告はデジタル社会の血液のようなもの?

まさにその通りだと思います。先日海外のニュースにあった、SNS事業者を免許制度とするのは、有効な手段の一つ。

-なぜアテンションエコノミーが成り立つのか。この現象を支えるのが、広告ビジネスである。注目されるコンテンツは、そこに付随する広告に人々が触れる機会を増やす。注目を集めれば集めるほど、メディアやプラットフォーム、インフルエンサーが広告収入を得られるというインセンティブが存在している
-SNSなどで過激な動画を投稿して人々の注目を集めると、それに伴って投稿者に配分される広告収入も増大
-広告とそれに伴うお金の流れは、デジタル社会の血液のようなものであり、その規制は思わぬところに影響を及ぼすおそれも

⑧仕事における「アテンション搾取」の問題

なぜ、仕事によって不幸にならなければならないのか。根源的な問いを与えてくれる記事。仕事におけるアテンション搾取についても言及。

-ドイツの従業員は、およそ1時間に15回作業を中断されるそうです。そして、邪魔が入った後に再び集中力を取り戻すには9分かかるそうです。これでは思いどおりに仕事ができません

⑨「分断する社会」は友情をも

政治的分断が、シリコンバレーの「友情」をも切り裂く、と。

-ハイテク業界はこれまで左寄りだったので、過去の大統領選でこの種の内紛はめったに見られなかった
-政治的分断は、ビジネス上の関係を悪化させており、昔からの友情を試練に
-「シリコンバレーは今、共にビジネスをする人々が二つのグループに分かれて対立しているため、極めて緊張した状態にある」とした上で、「これは異例の事態だ」と述べた

⑩分断への特効薬は「共通課題」の抑え直し

世代間分断が叫ばれる中、30代も60代も「自分を深く知ること」という共通の重要課題を抱えていると。

-どちらの世代も、継続的な生産性を支えるためのスキルとネットワークが必要だ。孤立や不健康を防ぎ、長期的な活力を養うための健康と友人関係、そして将来を導く手助けとなる自己洞察と多様なネットワーク
-自分をより深く理解するようにと促し、次のような質問を向ける。「いまの自分にあるスキルは? 何に情熱を注いでいる? 自分を動かしている価値観は?」

⑪オルカンか、S&P500か

『オルカンかS&P500か』の究極の問いに、運用会社である三菱UFJアセットマネジメント社内でも意見が拮抗している、という話は面白いですね。地道なコミュニケーションの積み重ねが、流入額1位&2位の結果につながっている、と。

-オルカンが新NISAの主役となったのはネット限定ならではの手数料の安さだけでなく、三菱UFJAMによる顧客との密なコミュニケーションも大きい
-三菱UFJAMは定期的にファンミーティングなど個人投資家やブロガーに直接発信する機会を設けている
-ちまたでは『オルカンかS&P500』といった話題があるが、社員の間でも拮抗している

⑫ジャーナリズムは右左どちらかに寄る?

無党派層が安心して触れられるメディアっていうのは、難しいものなのでしょうか。この記事を読むと対立を煽っているのはむしろメディア側で、有権者はフラットに構えたい人が多いのではないか、と。

-メディアによる報道の問題とその政治的偏見は、米国の選挙における重要な問題であり、国民の間にはジャーナリストに対する根深い敵意が存在する
-同局の広報担当者は、民主党大会以前の2024年8月までの1年間で、ストラテジストを除く民主党のゲストが41%も増加していたことを認めている

⑬テキストSNSに、若者が感じる新鮮さ

Twitterの登場から十数年。トレンドは時代に最適化される形で繰り返される、ということでしょうか。

-「テキストのみ」というアプローチで、若者が重視しているオーセンティシティー(本物らしさ)なつながりを目指すアプリが、24年7月初旬に公開となったばかりの「noplace」
-ユーザーは短い文章で、日常の中で感じたとりとめのないことなどを投稿しあっている
-全角140文字という制限があるX(旧ツイッター)が登場したころに近いかもしれない。写真や動画を扱えないという「縛り」に対して、ユーザーはある意味での新鮮さを感じているようだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?