Sales Tech とはなにか - Magic Moment 村尾祐弥
本記事は 「セールステックアドベント 2024」 の記事です。
U.S. の採用傾向を見ると、すでに営業局面において必要なものが「リソース」ではなく「デザイン」であることを物語っている。
いままでSDRが担っていたワークフローはどこに吹き飛んだのだろうか?
全体的な傾向としては
SDR のポジション数は 2023Q1 に比べて15%以上減少
Sales Manager も SDR ほどではないが減少傾向に転換
AE と Sales Director のポジション数はやや上昇傾向
要因としては恐らく Repetitive Tasks をAIが代替できるようになったためと推察する。このトレンドの中で、米国のSales Leaders の思考はどのようなものか?
Google 時代に、自分のこの手が触れたテクノロジーは、2014年段階ですでに人に期待することとしないことを明確にしていた。
当たるべき案件はサジェストされ、提案すべきパッケージは提示され、営業ターゲットは金額ではなくポイントになった。
Sales Tech とはなんであろうか?
LLM のうねりのなかで
創業して、温めていたアイデアを表現する。
幸いにも投資をいただき、お客様に選んでいただき、数年進んできた。
しかし、アイデアは一蹴され、選んでいただいたお客様に価値を返せず解約になった。
プロダクトは生煮えで、行き届かない部分ばかりが目立った。
Magic Moment に輝くような成長を期待して来てくれた仲間は去っていった。
僕から見れば、無意味なことに拘って本質的選択をしない顧客も多かった。
でもそんなものは、負け犬の遠吠えのように思えた。
変えられないのは、Magic Moment に力がないからだった。
創業後、コロナショックが来て、そして LLM が実用的になった。
アイデアはいつも、川の流れのように変わり続けることを要求されてきた。
この三年間、創業に近い仲間を中心にメンバーは諦めなかった。
変化の中にあって、4つの要素を乗算しその結果を価値として勝負するんだということにこだわってくれた。
結果、紆余曲折ありながらも、目に見える売上も、Capability も力強く伸び始めた。
プロダクトはエンタープライズ企業の皆様に多く採択され拡大が始まった。
顧客情報を、多い企業で100万件リアルタイム連携・同期するプロダクトであり、セールスフォースのオブジェクトとの連携は世界でも稀に見る柔軟なプロダクトと言える。
(日本特有のカスタムオブジェクトの乱立やリード、商談、取引先責任者、取引先 のオブジェクトの使い方の全パターン に対応する企業は世界にあまりみかけない。※一部機能は今秋登場)
静かに、しかしバラバラに保管されている、大企業の皆さまが創業以来積み重ねてきた顧客情報を、Playbook で営業組織の出力に変えていく。
AI と ソフトウェアの機能により、重要だが煩雑な作業やワークフローは自動化され業務を代替する。
秋の新機能で、数百の複数商材を抱え既存顧客にアプローチするエンタープライズ企業の皆様の営業活動にも完全対応する。
セールスフォースの知見は全社で「本質的に」蓄積され、ただ顧客要件を満たす設定ではなく、結果を出せて、データ駆動する組織を目指せるよう取り出せる。
一方で、顧客情報を連携して預けるとなるとエンタープライズ企業の皆様にとっても少なからずリスクを抱えることになる。
よって他ソフトウェアと比べると、スタートアップにとっては非常に険しい超厳格なセキュリティチェックなどの承認プロセスを通過し営業活動が実った先にようやく始まる PoC には、後の ACV サイズの大きさの責任がスタートアップである我々自身に大きくのしかかる。
エンタープライズ企業の担当者の皆さまや経営陣の方々に本当にサポート頂く日々である。
まさに両者でエンタープライズ企業のみなさまにとっての営業人格を共創することだと考えている。
これを実現するスタートアップとして、完遂するまで諦めない精神と実力、絶対に自らの手で何もかも変えていける という意思が必要だ。
(もちろん資本力も)
事業を進める中で多くの企業様と向き合い、SaaS は方法論でしかない と改めて考えを深めている。
人、テクノロジー、オペレーション/プロセス、インサイト
その4要素全てが必要で、その掛け合わせこそが重要なのだ。
こういった事業を創業し営む私が、極めて私的に、セールステック を解釈してみることにする。
Sales Tech
Sales Tech(セールステック)とは、
セールスプロセスや営業活動を効率化・最適化するためのテクノロジーやソフトウェアのことを指す
としたら、この時代では何が効率化で何が最適化であろうか?
下図は私が最近ウェビナーでお話する内容の一部である。
ここで示す上段の 通常分析ワークフロー が現在の Sales Tech にとっての効率化、最適化 のコンテクストベースになっている。
ある会社が、SFDC が使えなく記録できないのでエクセルライクなUIツールを導入して記録させてる と聞いて、
「嗚呼、データの収集部分がままなっていないとすると厳しいな」と印象を持ったりするのであるが、実際は多くの企業が抱えている悩みであろう。
そもそも、経営は
営業データ
財務データ
人事データ
製造データ
の4要素を使って意思決定しているからして、営業が作るデータは経営の意思決定における大きなポーションを本来的には占めている。
しかしそのデータ活用もままならない状況である、というのが今まで「Sales Tech」が成し遂げた事である とも言えるな と私は部分的にではあるが自責に駆られる。
もちろん例外はあるのは当たり前なのでそこは論じない。
私から言わせれば、業務の部分的な最適化は望ましいが、それが意思決定に繋がらない、結果創出に至らない のであれば無意味である。
結果には必ず原因があり、上記4つのデータ要素から説明できるようにすることが大企業や確立された企業の望むべき姿であろう。
(棚上げする訳では無いが、PMF 前後のスタートアップは除く)
そして、下段の拡張型ワークフローである。
私は Sales Tech は現在、ここにフォーカスするべきだと考えている。同士の企業の皆さん、どうであろうか?
今までは、
という流れだった。その全てに負が深く存在し、その全てにソフトウェアをはじめとする解決策が求められた。(部分最適という名の)
そのマーケットは不可逆な流れに飲み込まれようとしている。
簡単な SaaS なら AI がコードを書き、企業が簡単に作ってしまえる。
Salesforce や SAP も内製 AI プロダクトに置き換わる端緒も出てきた。
Salesforce にすべての機能が宿る時代、僕らが作る一つ一つの機能はときに無駄に見えたりする。
したり顔をして機能比較表にマルバツを要求するプレイヤーに、その価値を問いたくもなる。(意味はよく理解しているつもりである)
しかしそのどれもが、日本の生産性の向上に寄与したかどうかは僕には論じることができない。日本の競争力を上げたのか?それも論じるつもりはない。
可能性や機能が満ちていても、それを受け取るのも受け取らないのもいつだってユーザーであり、企業文化である。
結局私達は何を作っているのか?
我々の提案する Magic Moment Playbook 及び Playbook Copilot は下段をお客様に提案する Revenue BPaaS である。
SaaS と BPO の組み合わせをBPaaSと表現しているのではない。Playbook 自体が BPaaS を志向している。
Revenue Proccess 自体のワークフローを、私は20に分解している。
こちらもよくウェビナーで話す内容であるが、理論値で、アウトバウンドコールを除けば、ワークフローは85%程度の時間が生成系 AI のフル活用で吹き飛んでいく試算をしている。
(Magic Moment CS BPO 実作業時間等を参考)
この時代にあって、下段が示すように、既存ワークフローは超短縮したり統廃合されて新たなワークフローに生まれ変わる。
そのとき、人とAIはどう協調するのであろうか?新たなワークフローは営業をつまらなくしないのであろうか?
結局私達が作っているものは、人 そのものではないだろうか?
新しいワークフローを動かす 人 こそを作っていると信じている。
Magic Moment はいつもワクワクそれを考えている会社でありたい。
余計なエクスキューズはいらないのである。
この時代にあって、Sales Tech とは、新しい営業ワークフローを創造するもの としたい。
その中心には人が必要なのだ。
Magic Moment 村尾
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ところで、こういったことをつらつらと書き連ねたのであるが、最近になって独自論考をまとめている。
下記にお手にとっていただく機会を設けたので、皆さまにとって少しでもご参考なれば幸い という気持ちである。
こうした自分の考えや思いを書き下ろしで外に向けて発するのはほぼ初めてのことである。筆を取る機会をいただいたマツリカの中谷さん、竹中さんはじめ皆様、深く御礼申し上げます。
最後までお読みいただいた方々にも、心より御礼申し上げます。
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