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年下君と二人で映画に行けるかもしれないがちょっと焦りすぎた話

すごく気になっている映画があって、年下君にLINEで予告編を送ったら「これは期待しかない!」とかなり関心を持ってくれた。

私と年下君は映画の趣味が多少似通っているので、「そんな年下君が興奮するぐらいだからさぞや面白いのだろうなあ」とこちらの期待値も急上昇。

公開されたら絶対観に行こう、そして年下君と熱く感想を語り合おう、

と思っていた。

思っていたのだが、そのLINEのやり取りをしている時に、私はちょうど先輩に誘われて飲みに行っていて。

ほろ酔いで気が大きくなり出していたので、

「いやいや、ひとりじゃなくて年下君と映画観に行きたい!!」

と強く強く願ってしまったのだ。

そしてそのままLINEで
「じゃあその映画を観に行く会しようよ!」
と提案してみる。

すぐさま年下君から「いいですね!」と返事をもらえたので、「いつにする?」とさっそく詰めていく。

具体的な日程も戻してくれて、あっと言う間に映画鑑賞会の予定が組めてしまった。

やった。

しかし「会」と称しているので、年下君は参加者がまさか自分と私の二人だけだなんて思ってもいないはずだ。

どうせ年下女子ちゃんとかそのあたりの仲良しを呼んで数人で映画観て酒飲むんだろう、と考えていると思う。

まあそれでも十分楽しいんだけれども、私は「年下君と二人だけで映画を観に行く」というのにすごく憧れているのだ。

いつかやってみたいのだ。

もしかしたら今回、それが叶うかもしれないのだ。

…でも自信は正直言ってあまりない。

「もう年下女子ちゃん誘いました?」とか普通にそのうち言われそう。

そうなったらいつも通りにしよう、身を任せようと思う。

でも突っ込まれない限りは、このままで行けるところまで行ってみたい。

翌日、

「LINEで映画の約束取り付けちゃった」

というホクホク感のまま出社すれど、彼と顔を合わせても特にその話はせず。
(かえってそれが秘密っぽくて嬉しかったりする)

今日は多忙が当たり前の年下君と並ぶほど私も慌ただしかったが、隙を見て年下君が「釜石さーん、俺もうほんと無理かも、忙しすぎる!」と情けない声を出す。

「いけるいける!」と適当に返事しつつ、話し相手になったりちょっとアドバイスしたり、なんとか彼の役に立てるように振る舞い続ける。

しばらくふざけあっていたが、時間の経過と共にどんどん疲労していく年下君。
もはやぐったりしてるのが当たり前になってしまった。

すると突然「もう今日無理だから帰ろうかな…」とつぶやいたので、「そうだよ無理せず帰りなよ」と促しつつ、「私ももう終わるから一緒に帰ろう」とお誘いする。

「ふわぁ。」
とあくびなんだか肯定なんだかよくわからない返答をされ、そろそろ帰り支度をしようかなと思ったら、年下君に急ぎの電話がかかってきた。

「うわああああ電話だ…」
と泣きそうになりながらフロアを出てどこかへ電話しに行く年下君。

電話が終わったら帰るはずだから、と私も完全に閉店の用意を始める。

しかし結構な時間が経ってから年下君が戻ってきたと思ったら、後ろには年下女子ちゃんの姿が。

偶然一緒になったのか、年下君が立ち寄って連れてきたのかはわからないが、こう言うとき相変わらずちょっとだけ不機嫌になってしまうのをいい加減にやめたい。
嫉妬はみっともないだけだから。

年下女子ちゃんはお弁当をチンしてきてこれから食べるところで、私の前の席にやってきて、食べながら雑談を開始した。

PCと睨めっこする年下君を尻目に、女子二人でおしゃべりを続行。それはいつもの楽しいノリなので、結局私もたくさんしゃべる。

するとしばらくして年下君が、「お弁当のいい匂いする!」と集中力切れました宣言。

年下女子ちゃんは「一口食べます?」と箸でよそってよこそうとするが、年下君は「一応買ってはあるので」と数時間前に購入したという弁当をカバンから取り出した。

完全に食事モードになる年下君。

ちなみに私は、どんなに深夜になろうとどんなに手抜きであろうと、なるべくカップ麺は食べずに自炊したい派だ。
(カップ麺自体は大好きだが夜はなんか嫌なのだ)

そのため、ただただ弁当をつつく二人を微笑ましく見守っていた。

もはや誰も作業をせず食後もただだべる時間が続いていく。

「そういえば予防接種の跡ってまだある?」
「俺は消えましたかね」
みたいな超無駄話に及んだとき、
年下女子ちゃんが彼の腕をめくって触りながら「ほんとだー」と言ったので、またピクッとなってしまう私。

こういうときは何かふざけてごまかすか、固まったかのように動けなくなるかどっちかになってしまうのだが、気付かれるとまずいので多分何か別の話題に急ハンドルを切ってやめさせていた気がする。

年下女子ちゃんとはいま一番仲が良いが、年下君と物理的距離が近いことだけが、なんだか生理的にすごく嫌だ。

そういえば、彼女は年下君のことをどう思っているんだろう。

可愛くて賢くて若いのでモテるし、聞いたところやりとりしている男性も数人いるようだし、職場で恋愛するタイプではなさそうなので、年下君のことは「気に入ってはいるが恋愛対象ではない」のではないかと推測しているが、それにしてはよく触るなあ、と私はそんなところを気にしてばかりいる。

他に仲の良い男子の肩に手を置いたりするのも見たことがあるが、私が気にしているせいか、年下君には抵抗なく触りに行くんだよなあ…とモヤモヤしている。

結局夜遅くなってしまったので、「もうみんなで帰るよすぐ帰るよ!」と積極的に帰宅を促す。

年下君と二人で帰れそうだったのはいつのことだったか─
だがしかしそんなことはいつでもきっとできるから、他の仲良しも誘って駅までみんなで歩き出した。

途中、年下君が「危ない!」と叫んで私の肩をというか服をひっぱって、急激に自分のもとへ引き寄せる瞬間があった。

めちゃくちゃびっくりしたが、どうやら口に出すのもおぞましい害虫がいたらしい。

年下君は、なんとか私がそれに接触しないように、助けようとして力強く引っ張ってくれたみたいだった。

ちょっとだけドキドキしつつ、
「これが年下女子ちゃん相手だったら、もう少し丁寧に肩を抱いたりしたのかな」
と思ってまたモヤる。

年下君は私の扱いが相変わらず、雑だ。

多分「この人は女の人だから丁重に扱おう」みたい気遣いは、無い。

「ちょっと気になる相手だから優しくしよう」みたいな下心も、もちろん感じられない。

私はそれが残念でならないし、いや丁寧に扱われなくてもいいんだけど、やっぱり多少は女性として「あり」な方向に寄りたいとどうしても思う。

しかし年下君、やっぱり元気はない。
帰り道も疲労困憊に加えて仕事がうまくいかずに落ち込んでいたので、解散する瞬間にぽんぽんと軽く彼の背中を叩いて「大丈夫だから明日もがんばろう」とエールを送った。

力ない笑顔で手を振り帰って行く年下君。
会社で雑談しているときも帰り道も、自分の不甲斐なさを嘆く発言が多かったので、なんとか励ましたいし元気になってほしい。

…そんな思いで、帰宅してから彼に結構長めのLINEでエールを送ってしまった。

年下君は本当に頑張っていること、
私も周りもみんなそれを知っていること、
弱音ももちろん吐いてよいし涙だって流してもかまわないこと、
私はそれをいつでも受け止めること、
年下君とまた笑顔でご飯を食べたいこと─。

ちょっと恥ずかしいぐらい、思ったことをぶわーっと送りつけた。

普段会社で二人の時なら、多少甘やかすようなことは言える。
でも年下女子ちゃんもそうだけども第三者が同席していると、どうも私の恋心までバレそうで怖くて怖くて、わかりやすく年下君に優しくできない。

だからLINEではせめて

「いつもふざけたことばかり言っちゃうけど、本気で心配してるし味方だし元気になってほしいと思ってるよ(それは好きだからだよ、言わないけど)」

というメッセージを、本音を書き殴ってしまったのだ。

それに対し既読はすぐについたものの、返事がなかなか来ず…

「え、やらかした?」
とハラハラするも、結局年下君から深夜に感謝の返信が届き、私の長文LINEについてはそこまで深刻に受け止めていない風だった。

しかも返信の最後には、

「あと、映画観てご飯食べましょう!」

と添えてあった。

ああよかった、引いてはなさそう…

しかも映画とご飯には引き続き行けそう!
(二人きりだと思われてないからかもしれないけど)
と、少しほっとできたのだった。

ちょっと「寄り添ってアドバイスする理解ある先輩」に酔いしれてしまっていた節がある。
大いに反省している。

ただ「絶対に味方だからね」というのは伝えたかったので、そこはきっと、なんとなくもうわかっているし理解してくれたとは思う。

はあ。

進展がないのを焦りすぎてしまった。

変化を起こそうとして波風を立てるのは得策ではなさそうだ。

なんやかんや社内には女性の味方が多く、プライベートでも時々女の子と遊ぶことはあって、どうやら年下女子ちゃんだけでなく、最近仲間になった「しごでき帰国子女ちゃん」もお気に入りっぽい事が察せられる年下君。

おいおい…

周りが女だらけじゃあないか!!

しかもみんなちゃんと可愛いじゃあないか…

これ考えるたびにほんーとに落ち込むの、
どうしようもないから。

朝起きたら勝手に爆美女になっているぐらいの奇跡が起きないと、私にチャンスは巡ってこない気がして辛い。

でも、自分のビジュアルとか性格についても目を逸らしてはいけないんだよな…

辛いよね。
私は美女ではない上に自分の容姿への自信が全然持てないので、そういう要素と向き合うのは大変な苦行なのだ。

それでも、年下君ともっともっと仲良くなりたい。
仕事でもプライベートでもパートナーになりたい。
彼の隣にいて心から彼を支えたい。
そしてやっぱり、好かれたい。

そのためにはやっぱり、ただそばで理解ある先輩としてニコニコしているだけではダメだろう。

そろそろ誰かに相談したいけど、社内の人間に相談したら全てが終わる(広まる)ので、なんだかちょうどよく聞いてくれる距離感の心当たりを探そうと思う。

一人で数ヶ月、悩みすぎている。

そろそろ明るい話題が欲しいですね!




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