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"好きバレ"×今後の目標「年下君離れ」×最高の友達年下女子ちゃん

「あと1日で仕事納め!」というタイミングで部署の忘年会が開催された。

楽しく飲んで二次会に流れると、だんだんプライベートな話題になって年下君が彼女の話を初めたので、

辛くなった私、トイレに避難。

結構酔っていたので、トイレの個室から年下女子ちゃんにLINEで「しんどい」を実況するメンヘラぶりを発揮してしまう。

ちなみに年下女子ちゃんには、私が年下君に恋愛感情があることを直接伝えたわけではないのだけれども、もう要するにそんなことで悩むのは好き以外の何ものでもないだろうということで、察して優しくしてくれるのだった。

年下女子ちゃんは自宅でシラフだったにも関わらず、私のLINEにリアタイで寄り添い慰めてくれた。

おかげでだいぶ落ちついたので、一人で先に帰ろうと決意し席に戻り「私先に帰るね」とメンバーたちに声をかけるも、
年下上司に「みんな釜石さん戻るの待ってたんだよ、普通にもう帰る所だよ!」と言われてしまい、平謝りしながら店を出た。

結局、誰に対しても空回りし続けてしまった。

なんて大人気ない…

猛省。

店の前で解散して駅に向かう途中、ほろ酔い後輩女子たちと歩いていたら、
「釜石さんの好きなタイプってどんなのですか?」
と聞かれた。

普段職場で浮ついた話をしない子にそんなことを言われたので、その日はいい感じに酔いが回っているのか上機嫌なのがちょっと嬉しい。

「身長高い人が好きかなあ、私がデカいから」
と月並みな回答をすると、面白くなかったのか後輩女子ちゃんに
「ほかには!?」
と迫られたので、

「会話が楽しい人。エンタメ好きで会話が続く人がいいねえ」

とこれまたふんわりだが実は一番重視してしまうポイントを答えた。

すると後輩女子ちゃん、
「それは年下君のことですね!!」
と目を見開き口角を上げながら私に詰め寄ってくる。

完全にゴシップに食いついた時の人間の反応だ。

気迫に圧倒されながらも
「いやいやそんなわけないじゃん」
「しかも年下君彼女できたばかりで浮かれてるし、そういうのやめよ〜」
と誤魔化そうとしたが、

後輩女子ちゃんが
「大丈夫です、どうせすぐ別れますから!」
と言い切ったのが適当すぎてちょっと面白くて笑ってしまった。

普段は気を使って触れられないだけで、後輩ちゃんたちには私が年下君を超絶気に入っていることは周知の事実なんだろう。

そろそろ痛い年上認定されそうで怖いな、ちゃんと印象操作がんばろう…

とぼんやり思った。

帰宅して年下女子ちゃんとのLINEを再開し、後輩女子ちゃんにいじられたことを伝えると、

「実はさ…」
と年下女子ちゃんがあらたまって、

「後輩女子ちゃんに、『釜石さんと年下君て付き合ってるんですか?』って聞かれたことがあるんだよ」

と教えてくれた。

確かに毎日一緒にいるし仲は良いけれども、悲しいかな浮ついた雰囲気には全然ならないが、やっぱり男女が二人でいるとそういう推測もされるんだな。

同時に、
「私が言い寄っているとかではなくて『付き合ってる』という対等な邪推でマジでよかった…!」
と安堵したりもした。

続けて年下女子ちゃんは、
「後輩女子ちゃんはね、『釜石さんは年下君と仕事するようになってからすごくイキイキしてるし、キレイになりましたよね』って言ってたんだよ」
と教えてくれた。

だからそういう邪推をされたんだよ、
ということなんだけれども、

「キレイになった」の部分が嬉しすぎてじーーーん…としてしまった。

褒め言葉を日頃受け取ることがないので、もうめちゃくちゃ染み込んであたたかな気持ちになったのだった。

ありがとう、女子ちゃん二人とも。

しかし私のこの絶望的な自信のなさこそが、時折メンタルブレイクを引き起こすに原因なのだとつくづく思う。

さて、そのまま年下女子ちゃんと引き続きLINEをしていたら、日付が変わって仕事納めの日になった。

「そういえば、他部署の人たちに『出社しているメンバーで忘年会しよう』っていわれたから釜石さんも行こう!」
と誘ってくれる年下女子ちゃん。

「一応、年下君も誘うね」
とのことで、まあ宴好きな彼のことだから絶対来るんだろうなと思いながら、いい時間なので年下女子ちゃんとおやすみを言い合って眠りについた。

翌日、仕事納めの日。

「年内ラストだからどこかにお昼食べに行こうよ」
「いいっすね」
と年下君と二人でいつも通りランチに出かけた。

「昨日もみんなの前で彼女の話してたね」みたいなことはもちろん言わずに、「昨日楽しかった?」とざっくり聞いてみると、

「楽しかったっすよ。楽しかったっすけど、なんか年下女子ちゃんから変なLINE来て…」
と不可解な表情を浮かべる年下君。

聞けば年下女子ちゃん、私がトイレの個室から「年下君がまた彼女の話しててなんかムカつくよー」とダサいLINEをしてしまったとき、

「いま釜石さんと一緒にいる?釜石さん大丈夫?」
「釜石さん絶対酔ってるからお水飲ませて!」
「ちゃんと見てて!」

と、年下君に裏で私を気遣うLINEを送ってくれていたようなのだ。

「僕には釜石さんがそんなに酔ってるようには見えなかったんで『平気だと思いますよ』って返したんですけと、なんか年下女子ちゃん、言い方が怒ってたっぽくて…」

と言われ、

うわあ

私のために年下君にちょっとキレてくれてたんだ

と思ってちょっと泣きそうになってしまった。

いい子すぎるよ。

そして、まさか原因が「年下君が彼女の話をして私の地雷を踏み抜いたから」だとは年下君も思うまいよ。

理不尽な怒りをぶつけられる形になってごめんよ。

そこからご飯を食べながらいつも通り雑談して、「来年はどうなるかねえ」なんてちょっと先の話もして。

年下君はとにかくいま体調とか心の具合とか仕事とかいろんな調子がよろしくないので、そのあたりの話なんかもしつつ、ちょっと湿っぽくなってきてしまったので、
とっさに

「何かあったら彼女も支えてくれるだろうし、大丈夫じゃない?!」

と振ってみた。

昨晩のことがあったので、自分的にはちょっとしたリハビリ気分だ。

しかし年下君は暗い顔のまま、
「いやまあ、そこで頼ろうとは思ってないんで…」
と答え、さすがにそれはプライドが許さないよな…(ごめん)と思ってすぐに話題を変えた。

こうやって結局「なんかどちらかが機嫌悪くなるので彼女の話はタブー」みたいな空気が、我々には出来上がってしまっている。

…完全に私のせいなんだけれども。

できればなんでも話してもらって、恋愛相談にも明るく乗れるような濃い関係を築きたかったけれども、しばらくそれは無理そうだ、私が拒否反応を出してしまうだろうし。

「来年はしばらく一緒の仕事もないから、他のチームでもがんばってね」
「そうっすねー」
「まあでも、何か困ったら全然言ってね助けるから」
「それは多分言うっすね」

と、互いに目を合わさずぽつぽつしゃべる。

「釜石さんがいるから仕事やめなかった」と言っていたちょっとかわいげのある君はどこへ行ってしまったんだと思いつつ、来年は年下君への過保護は物理的になくなりそうだなあ、ちょっと、いやかなり寂しいなあと思った。

会社に戻る道すがら、
「喫煙所寄っていいすか」
と言いながら非喫煙者の私は吸わないのにそこへ連れ込まれて、彼の喫煙姿を見ながらだべるのも、すっかり恒例になったなあ…とまたしみじみする。

「ほんと寒いっすね」
と言う彼の手には、私がクリスマスにプレゼントした電気カイロが握られており、
「それあったかい?」
と聞くと
「あったかいっすよ」
と、温度調整ボタンをカチカチ押しながら答えてくれた。

さっそく持ち歩いてくれて、正直めちゃくちゃ嬉しい。

流れで「年下女子ちゃんから忘年会のお誘いきた?」と聞くと、

「来ましたよ。風邪っぽいからどうしようかな…まあ、無理せず行けたら行きます」

とやる気のない返答が。

「とにかく疲れてるんすよ…」
「寝たい、とにかく寝たい!」

が口癖になってしまった年下君。

キラキラ笑顔で「どこへでもついて行きますよっ!」と言っていた頃の彼も、当然、もういない。

不平不満疲弊愚痴全部私に向かって垂れ流すマンになってしまった。

まあいいよ、気を許してくれてるということにします。

そのまま仕事していたら、夕方頃に他部署の方々がやってきて、寿司やらファストフードやらをたくさん飲食スペースのテーブルに並べ始めた。
そのうち缶のお酒もたくさん出てきて、すっかり忘年会の準備が完了する。

…ああ、忘年会ってお店行くわけじゃないのか!
会社でやるのか。

と、おそらく私だけでなく年下君も思ったはず。

早めに仕事を終えた人たちが背後でトランプを始めると、年下君が小さな声で「俺もやりたい…」とつぶやいたので、「これは絶対参加するな」と確信した。

そのうち我々も仕事を終えて忘年会に合流。

年下君、ただでさえお酒が弱いので疲れている時は飲まないのだが、一人だけ飲まないのは気まずかったのだろう。冷蔵庫の前でウロウロしていたため「ほろ酔いみたいな甘いやつあるよ」と言うと「飲む」と言うので、内心倒れないかハラハラしながら横目で酒の進み具合を見守るなどした。

普段交流の少ない他部署の人たちともたくさん話して、よく飲みよく笑った。

序盤、年下君が知らない人たちの前で明らかに萎縮していたので、色々ツッコんでみんなの注意を引いてみる。
次第に周囲が「ああ、この子のこともっといじっていいんだな」と認識して、瞬く間に愛すべきツッコまれ役が完成。

年下君も「釜石さんすぐそうやっていじる!」「バラすなバラすな!」「ほんと僕のことよく見てるな!」と徐々に調子を取り戻していき、発言も交流も目に見えて増えて勝手に安心した。
(そう、私はめちゃくちゃ年下君のことを見ている)

同時に、「ああまた年下君にかまってしまった、こういう時は絶対自力で社交したかっただろうに」と反省したりもした。

過保護はすぐにはなおらない。

最後は全員でトランプをして大盛り上がりのうちに解散。

電気カイロをさすりながら駅まで歩く年下君を見ながら、「これで年内会えるのは最後かあ」としんみりする。

「ほんと寝正月になるっすわ。毎日12時間ぐらい寝たい!」
と大学生みたいなことを言う年下君。

急に寂しくなって
「1月はみんなで鍋しようね」
と言うと、
年下女子ちゃんは「わーい」と喜んで、年下君は「はーい」と生返事した。

「良いお年を〜」「気をつけてね〜」
と手を振って駅で別れて、方面が同じ年下女子ちゃんと電車に乗ったら「まだちょっとだけ飲まない?」と可愛いことを言うので、結局いつもの女子二人で、私の近所で二次会を開催。

結構お酒も入ってきて、年下女子ちゃんの恋愛事情や愚痴を聞きつつ、最近の私と年下君の様子などをたくさん話した。

しばらく聞き役に徹してくれた年下女子ちゃんは、
「年下君のこと嫌いじゃないけど、正直色々困らせられることが多くて惹かれるポイントがわかんない!」
と言った後、こう続けた。

「釜石さんはなんで年下君が好きなの?どこが好きなの?!」

もう、私が年下君のこと好きなの前提なんだな。

年下女子ちゃんには、"好き"がバレバレだったのだ。

いいや、と思って特に否定もせずに

「一緒にいると落ち着くし、話してるとめちゃくちゃ楽しいから」

と即答した。

そして答えながら自分でも「え、それだけ?」と思う。

本当は年下君のにおいも、細身なシルエットも、猫背も、眠い時の気だるそうなまぶたも、笑った時の糸目も、色々と好きなんだけれども、もちろんそれは他人が聞いたら気色悪いので口には出さない。

なんだか決定打に欠けるような気もするが、
好きの一番の要因は、答えた通り「一緒にいると落ち着くし、話してるとめちゃくちゃ楽しいから」だと思っている。

「だからいつも一緒にいるんだね」
と年下女子ちゃんに言われて、ほんとそうだな、だから私は彼をそばに置きたがるのだなと思い知った。

だけど最近は本当に一緒にいすぎて、さすがに年下君には先輩としても飽きられつつあるのではと思い始めている。

私への態度が信じられないぐらい、雑だし。

年下女子ちゃんは、

「それはあるかも。でも本人がいないところで釜石さんが楽しそうにしてるの見たら、多分年下君、惜しくなって向こうから来てくれると思うよ」
「釜石さんがかまってくれて優しくしてくれるの、当たり前だと思ってるんだよ」

と真面目な顔で話す。

それを聞いて、まあ確かに一理あるよな…と思ったのと、私がとにかく年下君に囚われすぎてメンブレが加速しているのがまずすぎるので、

「来年はさすがに、もっと年下君離れしようと思う」

と、年下女子ちゃんに宣言した。

「いいと思う」

と力強く頷く年下女子ちゃん。

「年下君といると楽しすぎて連れ回しちゃうし、私がなんでもあげようとしちゃうから、結局甘やかしてるだけの先輩になっちゃってあんまりこれ、良くないなと思ってたし」

と胸の内を明かすと、年下女子ちゃんは眉毛を八の字にしながら

「も〜!釜石さんはほんとにシェアハピの人なんだね!」
「とにかく楽しいことを好きな人に共有したり与えたりしたいんだね。それってすごく優しくて素敵なことだと思うよ!」

と、私を褒めてくれた。

正直そんなことを考えられる年下女子ちゃんこそが一番優しい人だし、この子はどこまでも私に寄り添ってくれてなんて優しいんだろうと、あらためて彼女と仲良くなれたことをありがたく思った。

年下君側の事情はこの際どうでも良いので置いておく、
とにかく彼女がいようがなんだろうが、私が年下君に入れ込みすぎているのが本当によろしくない。
仕事でも結局甘えにつながっている気がする。

来年は年下女子ちゃんとはもっともっと遊んで、年下君とはそこそこにして、早く他のお気に入りを見つけることに注力するのだ。

年下女子ちゃんと再び乾杯して、閉店したら私の家に移動してまた飲んで、寝落ちするまで話して、年内最後のお泊まり会をした。

今年最も幸せだったのは、年下女子ちゃんと仲良くなれたことだった。

それが本当に身に染みてよくわかった夜だった。

彼女のことは引き続き、大切にしていく。
絶対に。

今年の春に年下君と出会ってすぐ好きになって親しくなれたことも、間違いなく私にとってはかけがえのないものになりましたよ。

あなたが病めるときもなんとかして救いたいと足掻いたけれども、私は無力で何もできなかったし、別にそれをするのは私じゃなくてもよかったんだと今では思います。

助けを求めてくれたらこれからも応えるけれども、助けるつもりが逆にあなたに依存してしまうから、来年からは必要以上にかまわないことを決めました。

もしかしたら急に接触頻度が減って拍子抜けするかもしれないけれども、それを寂しがってくれるのなら、私は密かに喜んでしまうでしょう。

…というのも全部独り言なので、あなたがそんな私の些細な決意を知ることはありません。

年下君、私と一緒にたくさん過ごしてくれてありがとう。
もはやあなたの存在自体が私にとっては尊いです。

体と心を大切に年を越して、来年はもう少しだけ元気になっているといいね。

さあ正月休みはじまったぞ、連休満喫するぞ!!!!!!



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