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「今が人生でいちばん華なのよ」by 4人のおばあたち
2歳の末娘と歩いてスーパーに行ったら、
道中から帰宅までに、様々なタイプの計七人のおばあたちから声をかけられた。
今までで1番の、史上最高おばあ声かけられ率だったため、その件を元に今日は書きたい。
まず、今日声をかけられたおばあたちを簡単に紹介します。
あったか帽&紫スカーフのおばあ
「あら〜かわいいわねぇ〜〜〜。いくちゅ?」
ねこ柄ニットおばあ
「そんなに小さい靴売ってるの?へぇぇ〜〜〜。かわいいあんよだことぉ。」
ポシェットに大量キーホルダー付きおばあ
「手がかかる時期よねぇ。アラッ ばいばいしてくれるの?ばいばいね。ばいばい〜」
中でもなぜか4人のおばあから言われた言葉が偶然ほぼ被っており、
「今が人生でいちばん華だからね。大変だろうけど頑張ってね。」
(黒飴を拳の中に握らせてくれたおばあ他)
という言葉だった。
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4人もの見知らぬおばあ達は
励ますつもりで私に声をかけてくれたのかもしれないが、
短時間で4回も言われたその言葉たちは、威力があり、
(エーーーじゃぁこれからどんどん華がなくなってゆくってことなのぉぉぉぉ)
と、少し悲しい気持ちが残ってしまった。
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帰宅してから
リビングにいる2歳の娘の横を、
12歳の長男がとおりすぎた。
その娘と息子の顔を交互に見ながら、
そうかぁ。これがあぁなるんだもんなぁ。
と改めてびっくりした。
ふしぎな気もちにもなった。
いや、あの子も、赤ちゃんだったハズなんだけどなぁ。。。
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12歳の長男はもう少しで私と同じくらいの背丈になる。
足なんてもう私と同じ23、5センチ。
「え!もうこの靴履けないの!?この前買ったばっかなのに…」というセリフをここ5年間ほどリピートしている。コワイ。
近頃はだんだん少年からオトコに上昇気流中。
身体も、食欲も、声や、興味などもイロイロ。
まだギリギリ子供らしい発言や、まっ裸でおフロから上がってくる姿を見て母は理不尽にホッとする。
そして
あぁ、突然見知らぬオトコに変わってしまったらやだなぁ。
と、また少し不安になる。
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あたり前だけど2歳の娘はまだお人形さんが履くような靴を履いているし、
オムツだし、抱っこだし、まだまだ甘えん坊でどちらかというと子どもというより赤ちゃんのよう。
しかし、2人を見比べて、10年間の子供の成長がわかりやすく見えてしまう。ヒィ。コワっ。
だってコワイよ。こんなにプニョプニョした子が。
「りんごくだしゃい」
とおみせ屋さんごっこしている子が。
10年経って
「ハラ減った〜なんかないのーー?」
と冷蔵庫を何度も開け閉めしているんですもの。
いや、ないよ、卵と牛乳と味噌しかないからもう開けないで冷蔵庫。
韓国海苔でもとりあえず食べてまってて。
12歳でダイソンの掃除機を強にした時並みの食の吸引力。高校生とかどうなるの。あなおそろしい。
♦︎
あたり前だけど、長男だって10年前は
「まま、だっこ」とか言っていたのだし、
ぎゅ〜とかちゅっとかしていたし、手をつないで歩いたり、
ベビーカーに乗ったりしていたし。
冷蔵庫は1人で開けられないし、そんなにお腹だってすぐ減らなかったはずなんだけど。
ほんとうにあの日々は今どこにいるんだろう?おーい!
どうしてもふしぎで切なくて、でも嬉しさもちょっとあったり、不安にもなったり、
やっぱりまだかわいいなぁとも思ったり。
なんだかツンデレ+ゆるふわ+ロンリネスみたいなおかしな気持ちだ。
私の大して変わらない10年間の間に、子どもは鼻唄をうたい、スキップしてあっという間に母の向こう側に行ってしまったような。
うぅ、やっぱりさみしいヨォ。
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いつか今のこの12歳の年齢さえかわいく思えるようなずっとずっと大人になってしまい、
今どきのニイチャンみたいになり、母のL I N Eは既読スルーし、お正月だけはお年玉をもらいに帰ってくるような、他人のような息子になってしまうと思うと涙が出そうだ。
いや、出る。今もう出ちゃう。
子どもの手が離れていくさみしさと、成長し自立していく嬉しさを混ぜ合わせて、
ジュースを作ったら、きっとりんご酢青汁ジュースのような、
甘くて酸っぱくて苦くて、うまいんだかまずいんだかわからないような味になるに違いない。
4人ものおばあたちに言われたように、
今がいちばん幸せな時期で、これからはどんどんさみしくなっていく一方なのかしら。
ツライよぉ。そんなの。
そんなことを母に電話で話したら、
「40歳近い息子でもかわいいと思うよ。今も」
と言っていた。
40歳近い息子って…兄のこと?
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え、あの無口なちょびヒゲおっさんのことかわいいって思うんだ。
口数も少ないし、あんまり笑わないけど。
…かわいい?
え、かわいい?!
それってどうゆうかわいさなの?
と聞くと、
「まぁ息子なんて一生かわいいって思うのよ。ニュアンスが変わるだけで」
と言っていた。
40歳近いおじさんのかわいさのニュアンスってどんな感じなんだろう。
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息子は一生かわいいんだって。
てことは、息子が50歳になっても、60歳になっても、ずっとずっとかわいいって思うのかな。
これまたふしぎな気持ちになった。
だけどそれならなんだか少し安心した。
その頃は、おばあたちが言っていた人生の「華」の時期ではないかもしれないけど、
今日みたいな、なんでもない日の陽だまりくらいはあたたかいといいなぁ。と思う。
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