ヤクルト症候群な夫
うちの夫は大のヤクルト好きだ。
あの腸内環境を整えてくれるヤクルトではなく、同じ名前でも野球チームの方だ。
シーズンが始まると、夫の話の話題の多くを占めるのがヤクルト関連のことで、目が毎日ハートではなくヤクルトになってしまっている。
数ヶ月前も廣岡が巨人に移籍してしまったと大変ショックを受けていた。
夫は廣岡が一番と言っていいほど好きだったのだ。
『ダメ息子みたいでかわいい』
と一流のプロ野球選手に大変失礼なことを言っていた。
夫は東京生まれ東京育ちなので、結婚する前に
『どうして巨人じゃなくてヤクルトファンなの?』
と聞いてみると、
『お金がなくて弱いから』
と、随分と前からヤクルトに関しては失礼な発言をしていた記憶がある。
しかし弱いところが好き。というのがミーハー嫌いな夫の理由らしい。
先月も神宮のヤクルトショップに通い、
村上のタオルだの、つば九郎グッズなどを買ってきていた。
別に好きなものを買ってくるのはいいのだけど、
こっちは仕事が終わったら早く帰ってきて、まだ3ヶ月足らずの娘のお風呂を入れてもらいたいし、息子たちのご飯の準備やらを手伝ってもらいたい。
そんな私の心をよそに、
『仕事帰りに急いでヤクルトショップに行ってきたのに、つば九郎のスノードームが売り切れてた!』
と大変悔しがっているではないか。
いやいや、スノードームは冬で良い。
今はもう春だ、夫よ。
変な燕のグッズだって買ってもいいけど、どちらかといえばオムツを買ってきてくれ。
と心の中で思った。
しかしそんな私の心中など全く気づかない夫は
『スノードームーがあぁー』
とまだ悔しがっている。
シーズンが始まると、毎日我が家ではテレビで野球観戦となる。
夕食中テレビを見ると息子たちは箸が止まり食事が進まないため、
普段は食事中はテレビを消しているのだが、ヤクルトは例外だ。
夫がDAZNを契約していて、毎日必ず見まくっているし、
なんなら夫の箸が一番止まっている。
結婚当初は子供のためにも夕食中は控えてと言ったような覚えがあるが、
隠れてコソコソ見ている夫に呆れ、もう何も言わなくなった。
しかし結婚生活というのは不思議なもので、夫があまりにもヤクルトヤクルトいうものだから、
(息子2人も)
こちらもスーパーでヤクルトをよく買ってしまったり、ニュースでヤクルトの選手が映ると、
『あ、山田だ。なんだ負けちゃったのかあ』
などと反応してしまったり、私の身体が『ヤクルト』に反応するようになってきているのを年々感じる。
結婚して何が一番変わったか、と言われたら、多分私がヤクルトに詳しくなりつつあるという事だろうなぁと思う。
1人で生きていたら絶対に私の人生には関わらないであろうヤクルトスワローズが、
夫との結婚により、かなり私の人生に出現してくるからだ。
絶対に見ない景色を見せてくれるのが結婚というものなのだろうか。
毎年時期が来ると花粉症になるように、夫のヤクルト症が今年もまた始まるのだった。
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