借金カップルが結婚式やってみたら、ウエディングケーキがホットケーキだった。
まだカラオケオール三昧を人生の軸に生きていた学生の頃、
できちゃった婚で今の夫と結婚をした。
結婚式をあげる準備として
通常なら貯金をためて、ゼクシイを買い、
ウエディングプランナーに相談とか、そういう流れなのだと思うのだが
そのころ私は、親に月1で貧困アピール電話をかけ、計6万円もの借金をしており、
ゼクシイを買うなら、牛丼をたらふく食べたいと思っていたビンボー学生だった。
ちなみに夫はパチンコ代をア○フルから借りて数十万の借金があったため、
借金カップル、できちゃった結婚!!
というなんとも情けない結婚のはじまりであった。
そんなひもじい借金プレ夫婦は、
結婚式なんてそんなピカピカした式は
まぶしすぎるゼと言い、
今のオイラたちにゃあ、
穴の空いたスウェットにクロックスくらいがちょうどいいんでぇ。
と夜空を見上げ、坂本九をうたった。
しかしウチの両親はちがった。
まだ私の兄弟で結婚しているものはおらず、
初めての「ケッコン」というイベントを開催するのが私であったため、
めちゃめちゃ張り切り出した。
「お金をかけないで式をあげて、お祝儀で借金返済よォ!!!!!」
と、母は結婚式で一稼ぎすることを目論み、
父は知人から小さなイベントスタジオのようなものを手をもみもみして激安で借りてくれた。
そして、ウエディングプランナーは父である。
あのヘンテコひげじじいがウエディングプランを練るというのである。
じいさんや、
練るのは、ねるねるねるね じゃないよ
ウエディングプランだよ
60すぎだ父にムスメのウエディングプラン練れるのか。てか、母じゃないの、どっちかといえば。
さっそく父は
「式でみんなでうたう歌を決めよう。富士山はどうかな」
と言い出した。
参列者と
「ふ〜じ〜は♪ にっぽ〜ん♪ い〜ちのやま〜♪」
と歌うことを想像した。
なぜ私の結婚式で、富士山をたたえなければいけないのか。
どちらかというと、私たちをたたえてほしい。
父に
「富士山はやだ」
というと
「えっっどうして??」
と言った。
エッッ ドウシテ(`・ω・´)??じゃないよ。
why?じゃないんだよ。
プランナーに立候補したのだから
いいプランをひとつお願いしますよ。
しかしその後も父は
「ふるさと は?」
「気球に乗ってどこまでも は?」
「幸せなら手を叩こう は?」
などを提案してきた。
「し〜あわっっせなら手をたったこうっ♪
パンっパンっ♪」
とかそういうノリなんだっけ。結婚式って。
小学校のうたの会じゃないんだからさ。
もう少しセレブレイト感がほしい。
そしてプランナーは
「ウエディングケーキはお金がかかるから、おれが作る。」
と言った。
しかもウエディングケーキではなく、ホットケーキを家のフライパンで焼くらしい。
軽っ!
ウエディングケーキがホットケーキ。
軽食じゃないですか。
日常のおやつ代表じゃないですか。
しかも、フライパン…
せめてオーブンなど使って、ちょっとパーティ感をかもし出してほしい。
洋梨のタルトとか、キイチゴのなんちゃらとかせめてそのレベルを望んだ。
大丈夫だろうか。
軽すぎてあっという間に離婚してしまうのではないか。
しかしプランナーは
「結婚なんて日常のことなんだから、そんな特別で豪華なケーキじゃなくて、日常的なホットケーキぐらいでちょうどいいんだよ」と言った。
ちょっとカッコイイこと言ってやがるぜおやじ。
その後も父のプランは日常に毛が生えたようなプランだった。
牧師役として、近所に住む牧師っぽいおじさんを連れてきたり、
ウエディングドレスはネットで激安ドレスを買い、
服飾関係の父の友人が、私のサイズになおしてくれたり。
お金がかからなくて、身の回りのものでまかなえて、手づくりで、人の温度が感じられような。結婚式はそんなプランで埋めつくされた。
当日は、予定通り父がフライパンで焼いたウエディングホットケーキに野菜切り用のデカイ包丁でケーキ入刀した。
「入刀っっ!
ケーキ薄っ!!!」
とツッコミ入りのケーキ入力であった。
2次会に行くと、父はサンタの帽子をかぶって号泣していた。
早い。
2次会で両親へ手紙を読むつもりだったのだが
もうすでに泣いている。
感謝の手紙からの両親号泣という十八番コースが台無しじゃないか。
それにしてもあのサンタの帽子、
1人で買いに行ったんだろうか。
号泣サンタを見ながら
ちょっと涙がでそうになった。
♦︎
そして今日は
「おめでとう」と言われまくった日の
マイギネス記録を達成した。
それと同じくらい、
「ありがとう」と伝えまくった日だったと気づいた。
「私たち、けっこんしまーす!」
というのが結婚式だと思っていたけど、
「両親や、兄弟や、友人たち、いつもありがとう!オイラたちがんばる!!」
という、
まわりの人たちに感謝を伝えるのが結婚式なのかも。と思った。
こんなにたくさんの人たちに
丸一日使って
「ありがとう」と伝えることのできる会なんて
結婚式ぐらいしかないもの。
ツッコミどころ満載のヘンな結婚式だったが、
本当にやってよかったと思った。
ウエディングプランナーに感謝である。
たくさんの人たちに
「ありがとう」と伝えることができる
人生でいちどきりの感謝祭だと思うから。