日本名作映画紹介/溝口健二監督『山椒大夫』vo.2
日本名作映画紹介第二弾。
今回は、溝口健二監督に『山椒大夫』編〜!!
溝口健二監督の作品は「なんか、、すごい映画やん」と誰でも分かると思います。
一方で見るまでのハードルが高いとも思います。
・だって白黒だし
・とりあえず見るの疲れるし
・なんか…説教くさそう(古典の作品が多いから
という声をちらほら聞いたりしてます。
ただ、溝口監督作品はできる限り見た方がいい監督だと私は思っています!
そこで今回は、中田のあっちゃんがYouTubeで紹介していた山椒大夫であれば、
興味がある方も多いと思うので、
この作品で映画紹介をしていきたいと思います!
※ストーリーは非常によく分かります。
映画を見る上で、話は分かっていても分かってなくてもどちらでも大丈夫!
①溝口健二監督の何がすごいのか!
②この映画は何が面白いのかを、簡単に紹介していきます!!
溝口健二は、観客を引き込む大天才監督
日本三代監督の1人である溝口監督。
同じ三代監督である黒澤明監督と小津安二郎監督に比べ、少しだけ知名度は低いかもしれません。
ですが侮るなかれ、戦後すぐの1950年代にはヴェネツィア国際映画祭で3作品が受賞し、フランスの監督にも影響を与えるほどの、超すごい監督なんです。
「何がそんなにすごいの?」って思われると思いますが、彼の作品を見たら一目瞭然ですが敢えて一言で説明すると
鑑賞者全員を映画の世界に引き込む映画作りの天才なんです。
どういうこと?って思うと思うんですが(本当に見てもらえたらすぐ分かるんですが)、彼の映画の特徴としてよくあげられるのが、長回しワンシーン撮影。
長回しワンシーン撮影をすると、どういう作用が発生するかと言うと
一呼吸する時間を観客に与えないんです。
アニメ映画だとわかりやすいと思いますが、例えば主人公と敵が対立している(睨み合っている)シーンでこういうシーンってよく見かけませんか?
1:主人公と敵が睨み合っているシーン
2:主人公の顔のアップでセリフを話す
3:2を受けて、敵も顔のアップでセリフを話す
上記のような1・2・3のシーンはカットが切れているので、映画はどうしても流れが切れてしまいます。
物語はもちろん繋がっていますが、ここで言う「流れが切れてしまう」とは映画の緊張感のことを指しています。
私たちは商業映画やドラマを数多く見ているので、カット割が多いのに慣れて、BGMや雰囲気に流されて、映画の緊張感と言われてもピンとこないかもしれません。ですが、溝口監督作品を見るとずっと画面から目を話すことが出来ないんです、どの作品も。
俳優や音楽ももちろん凄いんですが、一番は監督がカメラを通して物語をどのように見せるかと言った監督力がすざましいからです。
その監督力の分かりやすい例が、上記の長回し手法。
カメラマンさんは監督の指示通りに撮影をするので、溝口監督が意図的に全て
・カメラを通して観客に、どのような印象・感情を与えるか
・世界観を壊さないように、カメラにどのように映すか
・今、このシーンではどこまでの情報を観客に与えるか
を全て計算して映画を創っています。
重たいテーマが多いのですが、溝口監督の手のひらで踊らされ、観客は知らず知らずのうちに映画に引き込まれのめり込んでるのです。
※ただもちろん、1・2・3みたいなカット割は良い作用もありますよ!観客は主人公または敵に感情移入をすることが出来やすいんです。顔のアップは分かりやすい感情による情報提供シーンなので。
サスペンス好きは『山椒大夫』を絶対に見た方が良い!
正直『山椒大夫』は重い作品です。白黒作品だし、説教臭くもあります。
ただ溝口マジックにより、これらの懸念点は見始めたら絶対にどこか飛んで映画に集中できます。
ここまで溝口監督を尊敬しているのに、私が全人類に「この映画見た方がいい!」と豪語しない理由があります。
緊張感が続く重い作品だから、気分が落ちてる時に見ると疲れてしまうからです。
サスペンス映画って、見る時のコンディションが良くないと見れなくないですか?
すごく落ち込んでる時や疲れている時、暗い作品を見ると思考も悪い方に考えてしまって自分がどんどん小さくなっていくから、私はコンディションが良い時にしか見ることが出来ません。
本当は全人類に映画を見てほしいのですが、その人ご自身のコンディションや好みもあるので、サスペンスが見たいと思ったら、ぜひNetflixで見てください。
ちなみに、中島哲也監督作『告白』を映画館で友人と見終わった後、友人が「こういう映画、他にない?」と聞いてきました。
私はすぐ『山椒大夫』をオススメしました(尚、友人が見たかは知りませんw)。
『山椒大夫』のあらすじを知っているのなら、絶対見た方がいい
「あらすじを知っているから、映画は見なくてもいいでしょ〜」
「中田のあっちゃんのYouTubeを見たら、十分でしょ」
って思っている方もいるかもしれません。
断言します、それは大きな間違いです。
溝口監督は社会派な監督で映画で独自のメッセージを伝えてくる監督です。
映画の『山椒大夫』では小説とは異なる溝口監督独自のメッセージが込められていると私は感じています。
ネタバレになりますが詳細は伏せますが、ヒントは”母親”。
小説『山椒大夫』の主人公は逗子王と安寿です。逗子王と安寿が山椒大夫のもとで働く様子やそこからの話は小説通りですが、映画で大きく違うのは母親の描写です。
母は田中絹代さんと言う、演技力がとても高い日本映画の大スターが演じています。
逗子王と母と出会う一歩前のシーンから注目して見てみてください。
小説では伝えてない「母から子の思い」や「母がどのように考えてきたのか」など溝口監督が映画で大切なことを教えてくれます。
確かに古い作品です。白黒映画だし、気軽に見ようと思える作品ではありません。
ただ、自分のコンディションが良くて何か良い映画が見たいなと思ったら、ぜひ『山椒大夫』を見てみてください。
絶対、「すごい作品を見た」と見た人全員が感じるはずです。
そして溝口監督が伝えたかったことを映画で感じてみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?