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ARTはいつから“特別”になった?

木村:なんか、ARTとかそういう理由のないものが“特別”なものになり過ぎてると思っててさ。ARTはいつから“特別”になったんだろうって考えたきっかけがあって。もともとは日常の中にあったはずじゃん。

大野:うん。うん?

木村:あ、えっとこの間あれに行ったの、上野でやってる縄文展!それで面白いのが縄文展って、1万年前のARTなのよ。イエスキリストが生まれるはるか昔、1万年前の縄文人達が作ってた縄文土器とか火焔土器とか土偶とか。国宝もかなり集まってたけど、それ見て来たの。

特別展「縄文-1万年の美の鼓動」(縄文展)公式HPより

遮光器土偶 東京国立博物館

ハート形土偶

木村:んで同じ日の夜に今度は、豊洲にあるチームラボ観に行ったの。2018年最先端のテクノロジーART作品。

チームラボ プラネッツ TOKYO 公式HPより

シルエットが木村。どう撮ってもインスタ映えする展示の中にありながら、見事に中途半端な姿を捉えることに成功した貴重な1枚。

大野:真逆のね。笑

木村:そうそう真逆の。笑。1万年前のART世界から2018年のART世界に一気にワープしてきた。おれは1万2018年の時空をARTによって飛び越えたんだけど、
どっちにも共通したのが身体性というか、『自分とARTが分離していない』のが共通してると思っててさ。

大野:うんうん。

木村:火焔土器とかすごいのよ、観たことある!?

大野:ないね。笑

木村:あれはね、すごい立体的なんだ。ベースの土器があるでしょ。そこに粘土をさらに貼り付けていって、立体的な作品になってるんだけど。

火焔型土器 新潟・十日町(十日町市博物館保管)

木村:それで、明らかに使いにくいんだよ、火焔土器!色々出っ張ってるし、持ちにくいし洗いにくいし。笑。でもそれ普段から使ってるんだよ、日用品なの。だからきっと、縄文人からしたら、実用性よりもARTの方が重要だったんだよ。『機能がなんだよ、美しい方がいいだろう!』って感覚を持ってたんだと思って、それってすごい素敵なことだと思わない!?

大野:うん、確かに。

木村:もちろん例えば土偶とかさ、そういうのは神事として、祈りの意味としての機能はあったと思うけど、そこに論理的な説明があったわけではないと思うよ。火焔土器なんてさ、炎の形を元に作ってるけど、あんな風には見えてるわけないじゃん。あー、でもどうだろう。おれたちの炎を見る解像度が下がってて、そう見えないだけなのかな。

大野:どうだろうね。あんまり炎を見る機会はそうそうない、ってかもう何年も見てない気がする。

木村:でもこう、日常の中にある炎を見て、それを美しいと感じて、それをアートにしようとかさ。基本的に毎日使うようなお皿とか器を、縄を押し付けて柄をつけようとかさ、理屈で考えたら意味分かんないんだけど、でもすげぇんだよ。もうね、放ってたよ、壮大さが、生命の迫力が溢れ出てた。

大野:勢いだけはすげぇ伝わってきてるよ、木村くんから。笑

木村:そういうさ、日常生活の地続きにあったわけじゃん元々ARTって。江戸時代にしたってさ、侘び寂びみたいな、ふとした日常の中に美しさを感じてた美意識があったわけでしょう。
野に咲く花を美しいと思って摘んで帰って、花瓶に活けて楽しむ、っていうのは日常の中で行われていたわけじゃない。要は “普通” だった。屏風にだって絵が書かれてたくらいだし。

大野:それはそうだね。

木村:それがさ、今はなんか遠いものになっててさ、それはいつからなんだろうなって。チームラボの作品はさ、基本的に身体との境界がない作品じゃん。
触れるし、重なるし、干渉し合う。そういう意味で身体と接続するって意味では縄文ARTと共通してるなって。

大野:今って美術館にある土器とかってものすごく価値があるけど、それって当時は普通に使われてたんだもんね。当時の人たちもそれ使って鍋パとかしてたんだろうね。笑

木村:そうだね。笑。みんな一品持ち寄りで集合ね!みたいなね。笑

木村:なんかこう、おれたちが歩いてるときに空を見上げて美しいと感じ、お皿に料理を並べるときに美しく並べてみようとすることもARTの一部だったはずなのに、気がつけばテーブルの上にはニトリのお皿が並びさ。最低限の機能を備えた道具で満たされているわけじゃない。


いつから機能がARTを上回ったのか

大野:イギリスの産業革命でさ、労働者が集まって来てそれで仕事してたけど、
そこでまず最初は『食』って文化がおろそかにされたんだって。食堂ができて、大量に、簡単に作れるものを食べるようになったっていう。それで、なんだろうね、こだわりを持てる人がいなくなったんじゃないかな。

木村:こだわりを持てる人。。こだわりを持てる余裕?

大野:余裕!社会的な優先順位がつけられてさ、経済発展が最優先で、食へのこだわりは二の次っていうかさ。それで優先順位が低い方は蔑ろにされてしまったっていう。

木村:日本でもさ、発展を重視するようになってからかもね、ARTが追いやられたのは。縄文時代は長く安定して、成長をそこまで求めてなかった時代だったから、それだけのARTを育む余裕と時間があったというかさ。

大野:機能性より芸術性の方が優先されてた時代から、それが逆転したのかなって思うかな。

木村:縄文展で観てきて、美しいものを求めるのって、人間の本質なんだなと思ったよ。
美しいものを見たい』
『美しいものを作り出したい』
『美しいものを使いたい』
っていうのは人間が持ってる根源的な欲求というか本能というか。本質なんだろうな。

大野:あー、なるほど。

木村:それが美しいものを美しいと感じる余裕がなくなったっていうのかな。何かを見て“感じる”時間とか余裕がなくなったのかもしれないね。忙しくないと不安になるとかさ、スケジュール帳が埋まってないと焦るとかさ、そういう価値観って、何かを感じる力を弱める気がするよね。

大野:それはある気がするよね。忙しくないといけない、人と同じじゃないといけない、理由がないといけない、みたいなことは実は共通してるのかも。

木村:“感じる”って余白に入ってくるものというかさ。精神的両手がふさがってる状態のときって、気持ち的にも「そんなことしてる暇ない!」みたいな考えになっちゃうじゃん。

大野:それ、ほんとそれよ。

木村:縄文人達は燃えている炎を見て、美しいと思って、それを自分でも作りたい!って思ったわけじゃない。暗くなったら活動できなくなるしさ。

大野:うん。

木村:でもこの感覚って、今日はこのあと寝る前にあれとあれやって、明日は何時からなに、そのあとはどこからどこに移動しつつ、その間にあれをやって、そのあと何時からは。。。みたいな精神状態じゃきっとそう思うことはなくてさ。

木村:そういう状況になったことで、ARTは特別なもの、自分とは関係ないものにどんどんなっていったのかなとか、思うんだよな。

大野:これからARTが求められていくとしてさ、これからのARTって縄文時代のARTと同じなのかな、もっと違う何かなのかな。

木村:うーん、どうだろうね。

大野:既に過去になりつつあるけど、充実の年金保証、大卒からの安定的ビジネスマンライフ、夢のマイホーム、みたいなものがあってさ。

木村:うん。

大野:今はもっと不確実性の時代でさ、明日なにがあるかわからない、みたいになっててさ。

木村:Logicじゃ無理じゃん、って肌感覚で感じ始めてる人も多いのかもね。なんかおれは螺旋が大きくグルっと回ったんじゃないかと思うけどね。
縄文のさ、
『機能性なんかより芸術性だろ!!』って時代から、
『芸術性ってなんだよ、機能性優先しろ!!』って時代に回ってさ。
それがまたグルっと回って、やっぱ美しさって大切じゃない?みたいな。

大野:でもその間に培われた機能美の感覚は新しい芸術を支えるよねきっと。

木村:それこそ芸術家がAIを使うみたいな話で統合されていくだろうね。


次回『入門編は“興味はあるけど、書けることなんてないよ”って人向け』へ続きます。


お知らせ

8月19日(日)16:00〜18:00に【入門編】AI時代の出版ゼミ 『つくる人の武器』としての出版講座第を渋谷で開催します。

詳細はこちら👉 https://aipublish.peatix.com/

【イベント概要】
AI時代の出版ゼミ 『つくる人の武器』としての出版講座

AI時代に力を持つのは、自らの感性、美学、哲学を技術を駆使して形にする “つくり出す人” です。

データやルールがあるものや、そこから導き出せる『正解があるもの』はAIに任せればいい。データやルールのない『感性を元にした、正解のないものをつくり出す人』が活躍していくこれからの時代。

そんな時代に活躍する、アーティスト、デザイナー、パフォーマー、カメラマン。はたまた、料理人やパティシエ、ライターや作家、映画監督に作曲家。そんなアイディアと技術を駆使して『つくる人』たちにとって『著書』は武器になります。 

そんなAI時代に向けて、『つくる人の武器』としての出版講座を開催します。

例えばアーティストなら作品の説明や制作過程をまとめた著書をポートフォリできるのはもちろん、展覧会のグッズとして販売したり、それらをテキストに初心者向けの絵描き講座をすることもできる。
例えばパフォーマーなら自分のパフォーマンス動画を電子書籍にリンクさせて、
写真と動画と文章で作品を紹介することもできる。
 
しかもアマゾンの自己出版サービスを使えば、スマホだけで電子書籍もペーパーブックも出版することができる。どちらも1冊から販売できるから、何冊以上売らないといけないというノルマもなければ、初期費用も無料でリスクもありません。

ゼミ中には目次作りのノウハウを教えるだけでなく、どのような切り口で本にすればヒットする内容になるかの個別相談を行います。同じく出版に向けて努力するクリエイターの仲間ができるのも大きな魅力です。

■対象人物

・「出版や内容に興味はあるけど書けることないんだよなぁ」という方
・『つくり出すこと』をしているすべての社会人、学生
・独自の技術や作品を持つクリエイター
・自分のノウハウを体系化させたい人
・電子書籍やペーパーブックで出版したい人
・ニッチな言語や技術を極めている人(初回ではアラビア語の詩集の出版を目指している方も来ました)

■場所

くるくる Global Hub
(JR渋谷駅から徒歩5分 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1丁目13−5)

■日時

8月19日(日)16:00〜18:00

■料金

・一般3,000円
・【一芸払い】2,000円
※一芸払いとは:AI時代の出版ゼミでは、アーティスト・デザイナー・クリエイター・ダンサー・カメラマン・パティシエ・ライターなど、何かを『つくりり出す』人を応援しています。そのような人向けに、料金の一部をそれぞれの『一芸』で支払うコースを用意しました。アーティストの方でしたら作品1点を参加費の代わりに提供いただき、パフォーマーの方はゼミの休憩時間でパフォーマンスを披露していただき、カメラマンの方でしたらゼミ中の撮影をしていただくなど、その方の『一芸』を提供していただくことで、参加費の一部とするコースです。

詳細はコチラ 『一芸払い、始まる』


■お申込み方法

peatixにてチケットをお申し込みください。
詳細はこちら👉 https://aipublish.peatix.com/
※Facebookで参加ボタンを押すだけではお申し込みにはなりません
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参考note記事

・アーティストよ筆を取れ。出版は爆発だ。


・スマホがあれば出版できる


・10冊売れると10.000円。電子書籍の印税の話


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