思わぬものを見た映画

思わぬもの、それは父の涙する姿である。

それまで父の涙を見たのは父の母、祖母の葬儀の時だけだった。

それほど、父が泣くというイメージはなかった。

反対に母は、映画やドラマ、本など、
感動する場面でもそうでもない場面でもすぐ涙する。

えっここで?と思ったことが何度あったことか。

それに引き換え、父の涙はあまり見たことがなかった。

そして今のところ、その日が最後である。

あの日は、家族3人でテレビで放映されていた映画を見ていた。

あらすじを見ただけで痛みを感じるくらいに、切なく苦しくなる映画だなと思っていた。

もちろん私も母も泣いていた。

その時ふと向かいで見ていたはずの父を見た時、私の涙は止まった。

父が静かに涙を流していたのである。


音もなくひとしずく、ひとしずく父の目からこぼれ落ちる涙。

そのあとすぐにまた映画に引き込まれ、私と母は嗚咽を漏らしながら泣いていたので、父の涙を見たのは一瞬であったが

あの光景は今でも忘れない。

さて、その映画のタイトルとは「グリーンマイル」である。

スティーブン・キングの小説に基づき1930年代の死刑囚舎房の看守が殺人容疑で投獄された死刑囚が不思議な癒しの力の保持者ということを発見し、彼自身の義務について道徳的なジレンマに直面する様子を描いた感動作。

Filmarks映画情報

好きな映画は他にあるが、映画の思い出と言われると思い出すのはその光景だ。

この映画を私がこの先みることはないだろうと思っている。

見る前から、考えるだけで気持ちが苦しくなってしまうからだ。

でもとても良い映画なので、興味のある方とか、最近涙を流していないなという方は是非ご覧あれ。

#映画にまつわる思い出

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