上司とカラオケに行きたくない人のための「ビジネスカラオケ完全攻略マニュアル」
上司と行くカラオケ、端的に地獄
上司の入れる曲が、全然分からない。
自分がどんな曲を入れればいいか、分からない。
もうトイレに行ったフリをして、逃げ出したい。
上司やクライアントとのカラオケ。それは人生で最も家に帰って寝たい時間である。そう考えている人も多いのではないか。
実際、当noteの筆者yuuuはそうであった。
大学で加入した英語サークルでは、飲み会の一発芸でダダ滑りして幽霊部員となった。
対人コミュニケーションが苦手すぎて、希望したゼミ3つ全て面接で落とされてノンゼミになった。
当然ながら、カラオケなんて大嫌いだ。ましては仕事で行くなんて正気の沙汰ではない。
そう考えていた。にも関わらず、入ってしまったのだ。電通に。魑魅魍魎の世界に。
この電通という会社、この世に「カラオケ天下一武道会」があればほぼ間違いなく第一シードだろう。それだけ陽キャ力の高いお日様人材が日本中から集う企業だ。
筆者が電通で配属されたのはテレビメディア部署。電通の中でも屈指の体育会系の猛者が集う。
テレビ局との信頼関係が全ての部署である。信頼関係を切り結ぶために会食が頻繁に催されるが、会食が一次会で終わることなんて、絶対ない。
二次会ではスナックやカラオケが選択されることも多い。カラオケに苦手意識のある筆者は常に頭を悩ませていた。
筆者は歌うことが苦手なだけでなく、カラオケ特有の内輪ノリにまったくついていけないのだ。
新宝島、GReeeeNのキセキで出てくるおじーちゃん、FANTASTIC BABYばーぶーよちよち、山形名物サクランボ、すっごいよ!一体感!×4、あなたが私にくれたもの、あーおーいそらは〇〇〇〇。
会社同期は、「ウルフルズのバンザイ~好きでよかった~」を入れたと思ったら、
イェェェェーイ
ジャースティース!!!!
とサンシャイン池崎をやってのけた。ウルフルズちゃうんかと。
こんな奴らに勝てるか。匙を投げた。
広告代理店の人間と自分は人種が違うことを悟った。こちとら大学生活の大半を公務員勉強で棒に振った隠キャなのだ(しかも落ちた)。
絶え間なく注がれる盛り上げ曲、暗黙知として受け継がれてきた飲みコール、不気味なタンバリン捌き。
バイブスが絶頂に差し掛かる中、お手洗いに行くフリをして脱走したこともある。
カラオケが嫌いで仕方がなかった筆者であるが、会食と同時にカラオケを数百回こなすにつれて「上司やクライアントとのカラオケにおいて、80点は取れる」ようになってきた。
上司やクライアントとのカラオケのことを、「特に楽しくないし早く家に帰りたいが、仕事上なんとか乗り越えなくてはならない試練」という意味を込めて、ビジネスカラオケと呼ぶ。
ビジネスカラオケでは、満点を取らなくていい。満点を取るのは根っからの陽キャに任せればいいのだ。
これからカラオケが嫌いで仕方なかった筆者が、電通で一子相伝的に学んだビジネスカラオケで最低限の責務を果たすためのメソッドを伝授したい。
なお、以下の内容は筆者が2/28に出版した「ビジネス会食完全攻略マニュアル」の内容を加筆したものである。当書はカラオケだけでなく、会食をはじめとしたビジネスにまつわる食事会のすべてを制する実務的な方法論を載せている。会食機会がある方もそうではない方もぜひ手に取っていただきたい。
①1曲目は必ず自分が入れろ
「歌いたくなければ1曲目を入れるべき」と心得よう。
この誰もが敬遠する「1曲目」を、「いいんですか! 嬉しい! 僕が行っちゃいますね!」と爽やかに言えば、そのあとは消化試合になる。
周囲から「あいつは先陣を切って、みんなが嫌がる1曲目を入れた」と評価されるのだ。 この役割さえ最初に果たせば、後は歌の好きな方たちに勝手に歌わせておけばいい。
②スマートフォンを死んでも見るな
これが何より重要だ。
他人の歌ほどつまらないものはない。
今すぐジャンプ+で推しの子を読むかメルカリ出品の売れ行きがどうなっているのか確認したいところだが、グッと堪えてポケットにしまおう。
なんならスマホはカバンに入れておくといい。
人は必ず、見ているのだ。
自分が歌っているときに他の人が真剣に聞いているかどうかを。
そして、自分の歌に集中せずにスマホを見ている人間、デンモクをいじっている人間にひっそりと心を閉じるのだ。
カラオケ中にスマホを見る行為は、今マイクを持っている方に対する侮辱行為だと心得よう。
ゆえに、どの曲を入れるかは前日時点で頭に入れておくか、スマートフォンでリストにしていつでもトイレで確認できるようにしておくとよい。このnoteの後編にカラオケリストがある。きっとみなさんの武器になるはずだ。
③十八番曲被りをさけよ
ここまで調べるとか本当にきついのは知っているのだが、得てして上司たちは十八番となる曲があるのだ。上司であればまだ良いが、クライアントとのカラオケで十八番曲が被ったら相手はたちまち不機嫌になるだろう。
では、どうすればいいか。面倒極まりないと思うかもしれないが、以下を推奨したい。
一つだけアドバイスをしておこう。若手が絶対に入れてはならない曲がある。
もう、これだけは絶対にアカン。絶対に十八番のやつがおるんよ。絶対に。上司かクライアントの中に。
当時のyuuuはそのことを知らなかった。比較的歌いやすいからと入れた瞬間、この曲を十八番にしていた〇〇放送の栗○さん、僕のこと残して駆け出していったから。
追いかけて ただ謝り 頭下げたから。
カラオケで入れるべき曲の3つの基準
1曲目に何を入れればいいかわからない、異なる世代の方が一緒の際にどういった曲を歌えばいいかわからないという方も多いだろう。
特にコロナ禍においてはカラオケが制限されていたために、厳しいカラオケをほとんど経験せずに就職した方もいるのではないか。
そういった方のために、世代が異なる方に対してもオールマイティに盛り上がれる歌手と曲の選定基準を、独断と偏見で述べたい。
選定基準は3つだ。
①歌手の知名度が高い
②世代を問わず聞いたことのある曲
③アップテンポ(男性歌手の場合は特に)
裏を返せば、周囲が知らず、あまり聞いたことのない曲を入れるのは場が白けるということだ。自分が歌いたい曲は、プライベートで入れればよい。
仮に十八番であったとしても歌わないほうがいいだろう。「みんながわかって、盛り上がれる」を意識しよう。
なお、難易度は高いが自分のキャラを踏まえた替え歌もアリだ。
私のかつての上司は
Chu! きたなくてごめん
血圧高くて ごーめーんー!
と替え歌をして爆笑を掻っ攫っていった。
1970-80年代生まれを攻略するための「テッパンカラオケ曲リスト」
1970年〜80年生まれの参加者がカラオケで入れる代表的な歌手・曲をリストアップした。
ここに挙げた歌手は知名度が高いので、マイナー曲でなければ他の曲を選定しても問題ない。これらの曲を知らない場合は、ぜひ聞いて練習してもらえれば幸いだ。
「この曲入ってねえじゃねえか」「なんで微妙に世代ごっちゃなってんの?」
分かります分かります、石を投げないでください。
書籍抜粋なんです。ページ数に限りがあるんです。
なお、このリストに載ってはいないが特定の層にブチ刺さるゾルトラークのような曲がありまして。
新卒の女性が1曲目に入れた瞬間、イントロで全員総立ちしたのはこの曲しか知らない。必ずしも全員が知っている曲ではないので使いどころは要注意だが、身に着ければ魔族のような上司でも瞬殺できる。
カラオケ上級者になると、自分たちの世代ど真ん中の曲をあえて入れ、「俺はもちろんその曲知ってるよ」と「若者文化理解してるぜマウント」を上司に取らせることもできる。こうなれば一人前だ。
字数の関係上書籍で補足できなかったが、当リストの中でも1990年代がメインターゲットの曲を一部入れているのはそれが理由である(全力少年や夏色など。流石に上の世代も知っている。50代にとってはこの曲レベルも"若手が歌う曲"に該当するのだ)
なお、自分たちの世代の曲といっても「紅白ででた歌手×紅白で歌った曲」くらいに止めておく方が無難である。
Vaundyのニッチな曲とか入れたらわからないから。上司は。入れていいのは『怪獣の花唄』まで。
もう一つ気を付けたい点として、上司に対して「こいつ俺たちに気を使って上の世代の曲ばっかり入れてるな」と思わせないことだ。
そう思わせないために、「父親or母親がいつも車でこの曲をかけていて、自分も大好きなんです」と伝えるのが極めて有効なテクニックである。
最後に、音痴な人に対してどのように声をかけるべきか。
決して上手いか下手かに言及してはならない。上手いと言ったらあからさまに嘘だとバレるし、下手寄りの話を言ったら地味に傷ついてしまう。
答えは、ある。
「○○さんが歌うと場が盛り上がりますね」
場の盛り上がりを褒める、、、それでやり過ごすんだ、、、、それしかないんだ、、、、
ビジネスカラオケにも希望はある
ここまで筆者のような隠キャにおけるカラオケ戦略を述べてきたが、この一見面倒で逃げ出したいビジネスカラオケにも取り組むべき価値がある。断言する。
上司やクライアントも、分かっているのだ。若手が自分たちに気を遣っていることくらい。
上司やクライアントは、こういった面倒でしんどい雑務に対してどれだけ真摯に向き合って取り組んでいるかを見ている。必ずだ。
だからこそ、ビジネスカラオケの場で精一杯頑張ると、人間関係の歯車が噛み合うようになるのだ。今までうまくいかなかった仕事もきっとうまくいくようになる。
自分も、辛いながら会食やカラオケを頑張ったお陰で人生が好転した。胃がもげそうな地獄の交渉を、乗り越えてきた。自分がやりたい仕事を社内で手にし、転職の機会まで獲得できた。
日頃厳しい上司であっても、こういった場で全力を尽くす若手を絶対に無下にはしない。昔の自分が、そうだったからだ。
令和の時代だからこそ、戦略的に昭和的価値観を取り入れよ。それが自身のキャリア・人生の打開策となる。
以上である。
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