テニスの各種大会のマーケティング事情を少し考えてみる
テニスというスポーツを知らない日本人はまずいないでしょう。日本人選手や海外のトップスター選手も含めて、名前ぐらいなら知ってるよという人も多いと思います。
しかし私が常日頃感じるのは、テニスという競技自体の人気度・価値は果たして本当に高いのか?という疑問点です。
そのことについて色々とまとめつつ語っていこうと思います。
①テニスの大会ではATPやWTAのトーナメントですら観客動員が振るわない現状
錦織圭や大坂なおみのような選手も含め、トッププロの華やかな面がクローズアップされがちなテニスというスポーツですが、実際は大会の興行面・集客面では芳しくない現状を皆さんはどれだけご存知でしょうか?
例えばこの記事をアップする時点でも現在開催中のWTAのタイ・オープンですが、全体的に(特に1回戦2回戦など)空席が目立ちました。
(空席の目立つWTA大会。実力のある選手も多数エントリ-しているにも関わらず…)
選手の中にはランキングがトップ100以内でグランドスラム大会に出場できる実力者も多数いる中でこの実情はあまりにも寂しすぎます。
また男子でも特にATP250のトーナメントとなると観客動員の少ない大会が多く、場合によっては目視して数を確認できる程度のお客さんしかいないようなケースもあります。
(ATP250アンタルヤ大会。このように目視してお客さんの数を確認できるような実情で集客面の厳しさが窺える)
これはあくまでシングルスの試合についての話ですが、サブのコートに回されがちなダブルスの試合となると、座席が実質ないようなコートで試合をすることもあります。
②ATPチャレンジャーやITFの大会はもっと過酷、観客がゼロのケースも珍しくない
ここまではツアーレベル(一般的に言うとトッププロが参戦している大会)の話をしてきましたが、下部大会であるATPチャレンジャーやITFとなるともっと厳しい現実が待ち受けています。
(テニスの各種大会の仕組み。ATPチャレンジャーやITFワールドツアーといった大会は下部大会に相当する。)
テニスはどんな選手でもスタートはこの下部大会始まり、ここでポイントを稼ぐ(=試合に勝つ)ことによって更に上のツアーレベルの大会へと挑戦するという流れになっています。
"下部大会"という名から分かる通り、これらのトーナメントの多くは賞金や大会の認知度・規模等は低く、実に過酷な環境で戦うことを余儀なくされます。
当然ながらこのレベルになる興行面・集客面で多くを望むことはできず、場合によってはお客さんがゼロの中で試合をすることも決して珍しいことではないのです。
(ATPチャレンジャーのある試合。ご覧の通りやはり空席が目立つ)
③テニスというスポーツが興行面で成り立っていない、良くも悪くも選手個人の人気に依存してしまう実情
これだけ知名度の高いスポーツでもあるテニスですが、実際世界のスポーツ人気度の中でもテニスが国内でナンバーワンの人気がある国は皆無で、またシングルスが主体となる競技の性質上、特定の選手への人気に依存してしまう実情があります。
早い話、日本だと錦織圭と大坂なおみの試合はテレビで放送されたり、熱心なファンが駆けつけて多くのお客さんが集まることが多いですが、それ以外の試合はどうなの?という事になるわけです。
またATPやWTA(テニスツアー大会を管轄する団体)は各種大会に特定の人気・実力のある選手に出場義務を課しており、マスターズ1000やプレミアマンダトリー(グランドスラムに次ぐ大会)の大会には怪我以外では出場しなければならないという取り決めがなされています。
ジョコビッチやナダル、フェデラーといった人気選手の試合は注目度が高く反響も大きくなるけど、それはあくまで選手個人の人気度が高いわけであって、他の選手の試合になると集客面が振るわない…といった実情から分かる通りテニスという競技自体の人気度は他のスポーツと比較しても決して高くないのです。
④選手へのモチベーションや競技自体への振興にも関わる問題、ATPやWTAは各種大会のマーケティングをどれだけ考えられているのか?
ある日本人の選手は「海外の下部チャレンジャー大会になると、お客さんがほぼゼロのような大会が多くてモチベーションの部分であったり難しいところもある」といったコメントを残した人もいました。
やはり選手にとってもよりベストな条件・環境で試合をさせてあげることがテニス競技のよりさらなる発展にも繋がっていきますし、子供達が将来テニスプレイヤーになりたんだ、といった未来への投資・競技への振興にも繋がっていくと思います。
前述した通り、ATPやWTAの大会ですら空席だらけの現状をみるに、果たしてATPやWTA、ITFのお偉いさん方々はどれだけテニス競技へのプロモーションや各種大会のPRを頑張っているのだろうか、と思うことが多々あります。
また当然空席が多いとなるとチケット収入などは見込めないわけで、スポンサーの意向次第では大会自体そのものが終了させられてしまうケースも多く、今まで多くのトーナメントが終了していく実情を見てきました。
BIG4が並びそこに錦織が挑む…といった構図のあった頃はある種テニスの黄金期とも呼べるような時代でもあったのですが、それはあくまで選手個人の人気が高かったわけで、テニス競技の価値そのものが高かったわけではないのではないか、とも思います。
まとめ&総評
テニス競技そのものの価値・人気度を上げていかなければ将来の発展はないです。
「BIG3が未だに健在なのって若いスポーツやる子供がテニスを選びたがらないのでは?」「テニスで八百長が横行してしまっているのは選手の待遇やホスピタリティが弱すぎるから問題が起きてしまうのでは?」
そういった声がいわばテニス業界の外から起きてもおかしくないですし、ATPやWTA、ITFも含めた各種団体や、トーナメントの運営側も含めて選手個人への人気に依存するのではなく、テニスというスポーツがあり、そこに大会があり、お客さんを集め、興行として成り立たせていく…そういった働き・プロモーションがもっと必要ではないのだろうかと強く私個人は思っています。
その先にテニス競技の面白さであったり、将来の子供達が職業としてテニス選手を選ぶような流れ・環境へとつなげていくことが大事でしょう。
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