恥さらされた事件
1歳8ヶ月の娘と地元のゆめタウンに行ったときのこと。ママは仕事でいない。その日は娘と二人でデートだ。俺の好感度をあげなければ!!
娘と2人でエレベータに乗った。
2階のゲームセンターにあるアンパンマンのポップコーンを娘に買ってあげるためだ。
なんと優しいパパだろう。俺。
少ないおこづかいを可愛い娘のためにせっせせっせと貢いでいるのだ。
パパと結婚ちゅる!!
と言わせるために頑張っているのだ。
まだ言われてはいない。
そんな俺だが、ミスをおかした。
ブッ!!!
エレベータの中で不覚にも屁が出てしまったのだ。
幸いにも俺と娘だけしか乗っていなかった。
娘はよくしゃべる。最近はすごい勢いで言葉を覚えている。
娘「パパぁ。ぷーちたね?」
俺「ぷーでたぁ!!あはははは!!」
娘「きゃっきゃっきゃっ!!」
なんとも幸せな時間。
おなら一つでここまで喜んでくれるとは、この子は天使だろうか?
嫁だったらすごい剣幕で怒ってくる。昔は優しい嫁だったのに、子どもができてから俺に厳しいのだ。イケメンなのに俺。
エレベータが2階に到着する。
ドアが開く。
エレベータの前にはたくさんの人が待っている。
娘「パパぁ。ぷーちたね?」
俺「してないよ」
娘「パパぁ。ぷーちたね?」
俺「なにが?」
周囲の目が痛い。
みんなが俺を、密閉空間に屁をかました犯罪者のような目で見てくる。
クスクスと笑い声も聞こえてくる。
なんてことだ。
俺はイケメンパパなのに、屁をかました悪いやつと思われてしまっている。
娘「パパぁ。ぷーちたね?」
俺「………………。」
娘「パパぁ!!!ぷーちたねっっ!?」
なんでキレてんねん!俺の娘!声もでかいって!!1歳8ヶ月で体小さいくせに声だけでかいって!!
娘「パパぁ!!!ぷーちたねっ!!??」
俺「しましたしました!!ミもちょっと出ました!!!」
娘「きゃっきゃっきゃっ!!」
俺は泣きべそをかきながら、ゲームセンターにあるアンパンマンのポップコーンを買ってあげた。
娘「あい!どーじょ!」
娘の小さな手から渡される一粒のポップコーンを無言で受け取った。
ポップコーンの塩味なのか、涙の味なのか、俺には分からなかった。
娘「あっとは??」
俺「ありがと」