言語学版 ガリレオ ch.9
第9章 わけがある言葉
「人間は計算式のように美しくはない」
そのため、人の悩みも千差万別である。
この「一筋縄ではいかない」人の悩みに向き合っているのが、この ↓ 本。
その中に、「好きなものが決められない」という大学生の質問がある。
この質問に対して、鴻上さんはいろんな角度から具体的に答えている。
その1つに「受け身のポジティブ」がある。
ここでのポイントは、「理由があるから選ぶのではない」ということ。
つまり、「選んだ後に理由がついてくる」ことだってある。
同じことを言っているのが、哲学者のサルトル。
(『哲学用語図鑑』 田中正人 著より)
ハサミは切るためにある。
でも、人間の存在理由はどのように生きるかで決まる。
つまり、「後から理由がついてくる」のである。
このサルトルの考えは言葉の意味にも当てはまる。
具体的には、理由 (わけ)がはっきりしているモノの場合、その理由が言葉の意味を決める。
たとえば、「本を好む」といった場合、どのように好むかは「本」の理由による。(『数理言語学事典』 畠山雄二 編より)
「本」は読むためにある。
そのため、「料理の本を好む」は「料理の本を読むのを好む」という意味になる。
また、本屋さんにとっては「本」は「売るため」にある。
その場合は、「(本屋は) 料理の本を売るのを好む」という意味になる。
このように、モノの理由が意味を決めるのは英語も同じである。
日本語では英語でも、わけのある言葉はそのわけ(理由)を省く。
このような言語間の共通性は、「実に興味深い」
To be continued.