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#53 高校での「質問ありますか?」の沈黙をどうにかしたい!
高校生の探究学習の発表を見に行ったときのこと。
各グループが3分間のプレゼンをした後、先生が「何か質問ありますか?」と聞く。
…シーン。
少しの沈黙の後、「じゃあ、次の班の人が質問してみようか?」と先生が促す。
仕方なく手を挙げる生徒、でも出てくる質問は…
「えっと、清掃活動をした時間はどのくらいですか?」
「2時間です。」
「ありがとうございます。」
…以上!
その後も質問タイムはどこかぎこちないまま進んでいきました。
高校生にとって「質問する」って、そんなに難しいの?
大人のミーティングやセミナーでも「質問ありますか?」のシーンは見かけますが、特に高校生同士の場面だと、それが顕著です。
同世代に質問をするというのは、実は大人よりも難易度が高いんじゃないか?と感じます。
質問が鋭すぎると「なんか意地悪じゃない?」と思われそう
質問が浅すぎると「ふざけてるの?」と思われそう
何より、みんなの前で質問するのは恥ずかしい
例えば、ゴミ拾いの発表をしたチームに対して、
「清掃時間はどれくらいでしたか?」
という質問があったとします。
「2時間です。」
これで終わってしまうと、正直、何も広がりません。
質問が苦手な理由:「質問する意味」がわかっていない?
そもそも、高校生は「なぜ質問をするのか?」が腑に落ちていないのかもしれません。
僕が思う「質問をする理由」は3つあります。
相手の考えを深めるため
自分自身がもっと理解を深めるため
場の雰囲気を盛り上げるため
でも、もし「質問をするのは、先生に言われたから」とか「無理やり役割として当てられたから」という意識だと、どうしても義務的な質問になってしまいます。
どうしたら「ちゃんとした質問」ができるのか?
僕が考える解決策は、「事前に質問のテンプレートを用意する」ことです。
例えば、こんな感じの「100の質問リスト」を作っておくのはどうでしょう?
「現場で一番印象に残った出来事は何ですか?」
「取り組みを通して、自分の中で変わったことはありますか?」
「今後、同じ活動をするなら、何を変えたいですか?」
「一番大変だったことは?」
「次に挑戦してみたいことは?」
事前にこうした質問集を配布しておいて、発表を聞くときに「この質問が使えそうだな」と考えながら聞いてもらうんです。
さらに、発表者側も「こんな質問が来るかも」と想定して準備できるので、より具体的な発表が期待できます。
質問をすることが探究心を育てる
「探究学習」と言いますが、その本質は「問いを立てること」だと思います。
発表後の質問タイムも、ただ形式的に「何か質問ありますか?」で終わるのではなく、質問を通して互いの考えを深め合う時間にしたい。
ゴミ拾いの時間を聞くなら、「2時間です。」で終わらずに、
「2時間でどれだけ拾えましたか?」
「その時間で足りましたか?もっと必要でしたか?」
「他の活動と比べて、時間の使い方はどう感じましたか?」
こんなふうに、質問が次の質問を生み、考えが広がるような場にできたら理想的です。
「探究力を育てること」と「質問力を鍛えること」は一緒かもしれない
質問をすることで、自分自身の探究心も刺激されます。
「なぜ?」
「どうして?」
「本当に?」
そんな問いを持ち続けることが、探究心を深める一番の方法だと思います。
次回の探究学習発表会では、質問がどんどん飛び交う、そんな活気ある場にしていきたいです。