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最近のほぼ百字小説   2025年2月5日~

【ほぼ百字小説】をひとつツイート(ポスト)したら、こっちでそれに関してあれこれ書いて、それが24篇くらい溜まったら、まとめて朗読して終わり、という形式でやってます。気が向いたらおつきあいください。


2月5日(水)

【ほぼ百字小説】(5749) 人喰い怪獣っていうかさ、そもそもあれに喰わせるために人間を創って増やしたわけでね、と店主は言う。だからあれは、養殖もの、ってことになるだろうな。いや、天然もののほうが味がいいのはわかってるんだけどね。

 怪獣がどこから来てどこに去っていくのか、というのはけっこうな問題で、もうそんなの辻褄があうはずがなくて、だからこういうことを思ったりもする。人間のレベルとはまるで違う上位存在みたいなレベルでのことが、人間から見るとああ見える、とか。いやまあこれもそういう人間レベルの小噺ですが。

【ほぼ百字小説】(5750) 修理しなければならない。なのにいろいろ足りない。部品がない。工具がない。マニュアルもない。これではどうしようもない。このまま壊れていくしかない。まあ、そうなれば何も考えない、という救いがなくもない。

 ないない尽くし、みたいなやつ。それと、あるあるですよね。直そうと思ってももう部品がない、とか。で、もし自分で自分を直さなければならないとして、もう部品は作ってません、とか言われたらどうなんだろう、みたいな話。

2月6日(木)

【ほぼ百字小説】(5751) 前にいちど諦めた曲だが、もしかしたら、とふと思って毎日やっていると、すごくゆっくりならなんとか吹ける。すごくゆっくりではどうしようもないがそれでも嬉しい。すごくゆっくり書いてもいいから、小説はいいな。

 あったことそのまんま。日記みたいなもんですね。そしてこれが最近あった嬉しかったこと。
 曲は、コンファメーション。チャーリー・パーカーの曲。もう何年も前にトランペットの練習曲としてやってたんですが、ああなんかもうよおわからんし吹けん、と諦めたやつ。まあ私が吹けないだけなんですが。そして、ずうっとそのまんまになってたのが、最近ちょっと前より吹けるような気がして、もしかして、と譜面を引っ張り出してやってみたら、まあなんとか吹けた。いや、めっちゃゆっくりですよ。呆れるくらい。
 でも、小説の場合はどれだけゆっくり書いても、一日百字とか二百字でも関係ないですよね、当たり前ですが。まあそういうことのほうが向いてはいるんでしょうね。下手でも楽器は好きですが。

【ほぼ百字小説】(5752) 大きな窓の前で夜が来るのを待っている。窓から見えている西の空はまだ白くて明るいが、もうすぐだ。もうすぐ外が暗くなり、この窓が鏡の代わりに私の顔を映してくれるだろう。でも、なぜそれを待っているんだっけ。

 一種のホラーですね。記憶がない、というのはホラーの定番ですが、それは、自分自身がいったいどうなっているのかがわからない、という恐怖でしょうね。なぜか鏡で自分の顔を見たいんだけど鏡がない、という状況で、どうやったら自分の顔を見ることができるか、というところから考えて、夜になると窓は鏡の代わりになるから、窓辺で夜を待っている、にしました。そして、カードの出し方として、記憶が頼りない、というのをサゲに。

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