見出し画像

今週の【ほぼ百字小説】2022年11月7日~11月13日

 今週もやります。ひとつツイートすると、こっちにそれについてあれこれ書いてます。解説というより、それをネタにした雑談だとでも思ってください。

 マイクロノベルと私が勝手に呼んでいるこの形式は、中学生くらいのための小説への入口だったり、しばらく小説から離れてしまっている人の小説へのリハビリだったり、もちろん普通にそんな形式の小説として、他にもまだ誰も気づいてないいろんな可能性があると思うし、このままでは先細っていくだけだとしか思えない小説全体にとってもかなり大事なものだと私は思います。気が向いたらおつきあいください。

 あ、投げ銭は歓迎します。道端で演奏している奴に缶コーヒーとかおごってやるつもりで100円投げていただけると、とてもやる気が出ます。

******************

11月7日(月)

【ほぼ百字小説】(4155) 蚊も出なくなったので公園へ行ったが、思った以上に日が短い。真っ暗な中を自転車で帰る途中、知らない路地を抜けようとして線路やら水路に阻まれて出られなくなり、前もそうだったと思い出し、でも出た記憶がない。

 こないだあったこと。ほんと、日が暮れるのが早くなりました。そして方向音痴のくせに知らない道とかにすぐ入りたがって、やっぱり迷う。大人になってもしょっちゅう迷子になるのは困ったもんですが、でもなかなかいいんですよ、あの頼りない感じ。

【ほぼ百字小説】(4156) 戦争になってしまったら、誰もこんなの読まないな。戦争になってしまったら、誰も気づいてくれないな。戦争になってしまったら、もういないのと同じだな。戦争になってしまったら、もう誰も幽霊なんか怖がらないな。 

 そういう反復ですね。頭のフレーズを最初に思いついて、まあこれは実感です。そうなったら存在がなくなってしまうもの。そこからの連想で、恐怖の対象だったものが、大したことなくなってしまう。それを語っているのは誰か、という定番の型。

11月8日(火)

【ほぼ百字小説】(4157) すべての猫は常に静止している。運動しているのは猫以外のすべて。それを成立させるために時間と空間は伸び縮みする、というのがこの理論の要。信じられないほど伸びている猫を見たとき、彼はこの発想を得たという。

 相対猫理論みたいなもんですね。猫不変性から導かれる世界構造、みたいな。いろんな理論とか発見を思いつくエピソードはおもしろいですね。アルキメデスの原理の、風呂に入っててエウレカ! とか、ニュートンのリンゴとか。いろいろ盛ってあるだろうとは思いますが、でも基本的なところではけっこう本当のことが多いんじゃないかと思います。考えに考えて煮詰まったときに、何かを見て一瞬視点が変わったときにひらめく、とか。そういう架空の理論とエピソード。あ、猫は信じられないほど伸びる、というのは本当。

【ほぼ百字小説】(4158) 路地の細い空に填め込まれたみたいな月。今夜は月食で、夕方のニュースで見たのか何人もが表に出て空を見ている。二階の窓から覗いている人もいて、地上はなかなかいい景色。月は月でなかなかいい感じに欠けてきた。

 今さっき見てきたのをそのまんま。近所の人たちがわらわら出てきて月を探してるのがなかなかよかった。ああ、ここから見えてますよ、とか。天気が良くてよかった。

11月9日(水)

ここから先は

6,084字 / 1画像 / 2ファイル

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?