見出し画像

年末年始の【ほぼ百字小説】2022年12月24日~2023年1月8日


 
まあちょっと留守にしたりして更新が不規則になりそうなので、だらだらやることにします。それ以外は普段と同じです。
 あ、投げ銭は歓迎します。とてもやる気が出ます。

12月24日(土)

【ほぼ百字小説】(4239) サンタが街にやってくる。この時期になるとやってくる。あの山にUFOが落ちて以来、ずっとそう。どう見てもサンタにしか見えないそれは、プレゼントをくれる。人類はまだそのプレゼントの使い道を見つけていない。

 お休み中でしたが、まあクリスマスですからね。いちおう『ストーカー』とか『蟻塚の中のカブトムシ』とか『ソラリス』、そういう線ですね。そういう嚙み合わないファーストコンタクト。これまでは、異星人みたいなものがやってくると「戦う」と「和解」しかなかったと思うんですが、「すれ違い」というのはなかなかすごい発明だと思います。かなり説得力があるし。とりあえず向こうがやってることをわからないままに真似てみたりして、でも結局はお互いにわけわからん、みたいなことになる、というのはいかにもありそうな気がします。

【ほぼ百字小説】(4240) ヘリコプターから降下する兵士のように、アーケードの天窓からサンタがロープで降りてくる。煙突も暖炉も無いからこうなるか。商店街の天井に棲みついた狸、狸なりに考えているな。正月は何にどう化けるのか楽しみ。

 和風クリスマス。やっぱりサンタクロースはこの国にはかなり無理がある。でも、そこには目をつぶって大年中行事ですね。クリスマスより、クリスマスイブが日本のクリスマス。ということで、サンタクロースを成立させるにはどうするかを狸もいろいろ考える。そんな狸のクリスマス。

12月25日(日)

【ほぼ百字小説】(4241) 冷凍睡眠なのになぜか永久凍結ということになっていると夢の中で知ったが、異議申し立てをしようにも指一本動かせない。到着したら起こしてもらえるはずだったが何か問題が起きたのか。怒らないから起こしてほしい。

 ということで、冷凍睡眠あるある。ネタ元というか、まあ言ってしまうと、ツイッターのアカウントが永久凍結を食らいました。べつに何をしたってわけではないんですけどね。さっぱりわかりません。理由も教えてもらえない。それにしても「永久凍結」というのはなかなかすごい言葉だ。なんかもう怪獣とか悪魔とか、そんなのを封じ込める感じですね。しかし冷凍睡眠はやっぱり信用できません。起こしてクレームがきそうだったら、もうややこしいからこうしちゃうんじゃないでしょうか。 
           *
 てな感じで、ネタにはしましたが、しかしこれ、困ったもんですね。これだといったいいつこういうことになるのかわかったもんじゃない。まあ幸いにして【ほぼ百字小説】専用アカウントのほうが大丈夫だったので変わらずやれてますが、こっちもいつそうなってもおかしくない。
 そうなったときのことは考えとかないといけないですね。いちおう、そうなったとしてもここでこうして続けてれば大丈夫といえば大丈夫か。まあそういうことにしときます。ということで、もし今やってるアカウントが凍結されても、ここで変わりなくやってますので、よろしくお願いします。あ、写真はインスタのほうで。

https://www.instagram.com/yuusakukitano/


12月26日(月)

【ほぼ百字小説】(4242) 解体されても解体されても同じ場所に現れる。幽霊とかではなく自己修復機能によるもの。それをまた自動解体機械たちが休むことなく解体し続ける。そういう戦いなのだ、とも、そういう作品なのだ、とも言われている。

 肉体のある幽霊、みたいな存在を書きたかったのかな。それと「動的平衡」みたいな感じか。そう思うと生き物も幽霊みたいなものですね。壊れながら作られてるわけですから。生き物は細胞レベルで考えると、死に続けながら生まれ続けてるようなもんですね。そしてそれ自体が作品だとしたら、というか、作品として見ることもできますよね、どんな営みも。まあそんな話。

12月27日(火)

【ほぼ百字小説】(4243) 悪の組織に改造され、自分が誰だかわからない。しかしいったい何に改造されたのか。人々の反応から類推するに、何かのパチモン。でもパチモンとすぐわかるのならそういうオリジナルと言えるかも。いったい何モン?

 これはですねえ、商店街にそういうものがあるんです。商店街の天井のそういうキャラの作り物が吊ってある。じつはそれ、昔は、ふなっしーだったんですよ。それが今は色を塗り替えてクマモン。かなり無理がある。ちょっと考えられないんですが、本当です。不思議だが本当だ。


【ほぼ百字小説】(4244) いろいろ調べて検討した結果、従来通りのドラム式のものにしようと決めた。流行のオシャレな外見のやつより、長年使われてきてデータが揃っているもののほうが信頼できそうなのは、たぶん家電も宇宙船も同じだろう。

 このあいだ洗濯機がついに壊れました。で、こういうことに。いや、新しい宇宙船を買うにあたって、という話ですけどね。もちろん命がかかってますからこういうことになるのでは、と思います。ディスカバリー号って、たぶんドラム式ですよね。レオノフ号は何式なのかな。ちょっと違うと思う。まああれはオシャレな形ではないですけどね。 

12月28日(水)

【ほぼ百字小説】(4245) 人間の仕打ちに猫たちが全身の毛を逆立てて怒っている。人間にこれまで貸してやっていた猫の手を返してもらうのだ。もちろんたっぷり利息をつけて取り立てる。どの人間からでもかまわない。人間ならばどれでもいい。

 まああれです、猫のサブスクとかいうやつですね。そりゃ猫も怒るでしょう。そしてその怒りをぶつけるでしょう。もちろんその相手は、人間ならばどれでもいい。

12月29日(木)

【ほぼ百字小説】(4246) 小さな路地の中の小さな場所で、持ち寄った小さな話を声に出して読む。そんな小さな集まりを毎月やっていて今年はこれが最後だから小さな忘年会みたいな空気に。小さな話たちもそんな風に過ごしていた。よいお年を。

 これはもう日記というか覚書というか挨拶句みたいなもんですね。昨日の「まちのひ朗読舎」のことを書いてます。まあこんな感じでやってます。あったことをこういうふうにすぐ書き留めておけるのは、マイクロノベルのいいところで、それはほんと俳句とかに似ています、というか俳句は、カメラとか動画とかなかったころにいろんなものを言葉で定着するかなり便利な道具でもあったんだろうと思います。奥の細道なんか、旅のエッセイといっしょに並んでるかっこいい写真みたいですからね。実際、そういう役割を果たしていたのでしょう。そういう過程で、情景の喚起力みたいなものをすごく強化されのではないか、とか思います。俳句は写真で短歌は動画っぽいな、とか。

https://t.co/JqOKBoNfU1」 / Twitter

【ほぼ百字小説】(4247) 人の中には魚が、魚の中には人がいる。だから自分の中にいるものを自分と同じ大きさまで育てて自分を脱げば、人は魚に、魚は人になれる。人から魚、魚から人、何度でもやれる。どこで止めるのが正解かはわからない。

 陸上の動物はみんなもともと魚ですからね。そして、陸の動物の体の中には海がある。身体の内側に海を抱えて陸に上がったわけですね。そう思うと身体の海の中には魚がいるんじゃないかという気がします。そして陸からまた海に戻った動物もいる。鯨とかはどうやらそうらしい。みたいなことを考えて書いたやつ。

【ほぼ百字小説】(4248) 魚の道をたどって行く。細くて曲がりくねった薄暗い道ではあるが、きちんと丁寧にたどっていけば海まで行ける。そう聞いてずっと歩き続け、もうずいぶんになる。おかげで鱗も鰭も鰓もできた。まだ海には着かないが。

 で、そういうことをあれこれ考えたのは、『魚の道』という映像作品に出たから。人魚の話です。人がかつて魚だったのなら、逆にたどれば魚に戻れるかも。そういう道があったら。そんな話。だからまあこれも挨拶句みたいなもんですね。

『魚の道』は、こちら。1話5分くらいのショートムービーです。

こまつじゃんご (xdomain.jp)

ここから先は

9,128字 / 3画像 / 4ファイル

¥ 100

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?