今週の【ほぼ百字小説】2022年12月12日~12月18日
今週もやります。ひとつツイートすると、こっちにそれについてあれこれ書いてます。解説というより、それをネタにした雑談だとでも思ってください。
マイクロノベルと私が勝手に呼んでいるこの形式は、中学生くらいのための小説への入口だったり、しばらく小説から離れてしまっている人の小説へのリハビリだったり、もちろん普通にそんな形式の小説として、他にもまだ誰も気づいてないいろんな可能性があると思うし、このままでは先細っていくだけだとしか思えない小説全体にとってもかなり大事なものだと私は思います。気が向いたらおつきあいください。
あ、投げ銭は歓迎します。道端で演奏している奴に缶コーヒーとかおごってやるつもりで100円投げていただけると、とてもやる気が出ます。
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12月12日(月)
【ほぼ百字小説】(4221) あの怪獣が倒された場所はすっかり人気スポット。聖地などと呼ばれてもいたり。もちろん倒された怪獣はもういない。死体も処理されてもうない。かわりにお墓が立っている。生前の怪獣が倒したビルと同じ高さのお墓。
怪獣です。ついこのあいだも書きました。怪獣率はけっこう高い。【ほぼ百字小説】の書籍化のために、ある言葉でくくった塊をいくつか作っています。それが出てくる、というだけではなく、同じリアリティ上にあるもの。今まで、「猫」「SF」「狸」「亀」「天使」と作って並べてみたんですが、今度は「怪獣」かな。あべのハルカスを見て書いた。高層ビルってお墓みたいに見える。ビル街を遠くから見るといつも、墓地みたいだなあと思います。
【ほぼ百字小説】(4222) 鏡の中に何かがいる。私によく似た何かが鏡の中からこっちに何かを言っている。音は聞こえないが、私によく似ているから、同じように口を動かしたら何を言っているのかはわかるはず。私の中の何かがそう言っている。
まあ鏡と言えばホラーの定番小道具ですね。最近、ネットというのは鏡なのだな、と思わせられることがあって、それでこういうことを思った。鏡だと同じポーズをとらせることはできるけど、同じ言葉を言わせるのはどうしたらいいのだろう、とか。あとひさしぶりに「2010年宇宙の旅」を読んだり観たりしたので、HAL が唇を読むあのシーンも入ってるかな。
12月13日(火)
【ほぼ百字小説】(4223) いわゆるグレイ型宇宙人にアダムスキー型UFOの中で頭に何かを埋め込まれたが、昨日マクドナルドの隣の席で女子高生が同じ話をしていて、とても信じてもらえそうにない。今日も別の女子高生が同じ話をしているし。
最近、こんな体験をしたんですよ。いや、頭に何かを埋め込まれた、のではなく。マクドナルドの隣の席での女子高生の会話をツイートしたら、嘘松構文っていうんですか、そういうのがあるらしくて、そう言われたらそういうツイートがバズってるのを見たことがありますが、まあそれだからこんなもの嘘に決まってるだろう、なに騙されてんの、馬鹿じゃねえの、的なことが書かれてて、ツイートの内容じゃなくて、その道具立てだけで嘘だって思う、というか、そんなに警戒しているんですね。そんな地雷原を歩いてるみたいな気持ちでツイッターしてるってなんか大変だなあ。UFO を目撃してしまった人ってこんな感じなのかもな、とか。
【ほぼ百字小説】(4224) いわゆる女子高生型宇宙人がマクドナルド型UFOの中の隣の席で捕獲してきた地球人の頭に何かを埋め込んでいたのだが、こんな話とても信じてもらえないのだろうな。そうか、それで彼らはそんな形態をとっているのか。
ということで、続き、というかシリーズ? あるフォーマット通りにやれば目撃されても誰も信じないから大丈夫、というのはなかなかいいんじゃないか、ということで。新しい侵略の形としてけっこういけるんじゃないでしょうか。
【ほぼ百字小説】(4225) いつものあの店のはずなのに、なんだか妙に作り物っぽい。隣の席の女子高生もやっぱり作り物っぽい。あのSF映画の白い部屋みたいだ。自分の場合はファストフード店の内装になってしまうのか。まあそうだろうなあ。
ということで、マクドで隣の席の女子高生が三部作。でもないですが、まあ人間の持っているひとつの型みたいなものを人間以外のものが模倣する、となるとやっぱりあの映画のあの部屋ですよね。そして、私の頭の中から取り出したら、きっとこういうことになってしまうのだろうなあ。
12月14日(木)
【ほぼ百字小説】(4226) 昔はね、再生には物理的な回転が付きものだったんだ。技術の進歩によってその回転の仕組みは移り変わっていったが、回転させることで記憶の再生を行うのは同じ。簡単に言うとそういうこと。惑星が自転している理由。
あ、もう回転してないんだ、というのはけっこう衝撃だったりします。レコードもテープもCDも、回転してましたからね。そういう点では蓄音機と同じ線の上にあった、とも言えますね。ウォークマンⅡを見たときは、この大きさにモーターを入れられるんだ、というところに感動みたいなものがありました。昭和も平成も遠くなりにけりですね。そして、いちばんの回転と言えば、というサゲ、というか、ちょっとした見立てみたいなもんですね。
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