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『100文字SF』の目次


 100文字SFには、目次がありません。各篇にタイトルはないし、本のデザインとしてもそのほうがいいとは思うのですが、ええっと、あれ何ページやったかな? とかいうときに、それらしきものはあったほうがいいと思うので、ここにつけておきます。ということで以下は、ページ数と冒頭の文章です。

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目次

P    5 娘と月刊漫画誌を買いに
  6 勇敢な人間たちは武器を
  7 火星を目印にすれば
  8 定期的に襲ってくる人食い
  9 洗濯機が次々に空へ
 10 千年ほど前、この坂の下は
 11 滑り台として使う斜面を
 12 いざというときのために
 13 かつての校舎は、もう
 14 水筒の中に何かがいる 
 15 あの金属の塔、じつは
 16 どんな包装紙も大切に
 17 花瓶の中で妖精らしきものが
 18 近所に猿が出たと聞いた。
 19 嵐の翌朝、海岸で神様を
 20 急坂にある商店街だ。
 21 モノレールで行く山の上の
 22 生乾きのコンクリートに
 23 妻と娘がそろって工場へ
 24 生きた恐竜のいるパーク
 25 一種のヘルメット
 26 ダムの底には村が
 27 ずどんと正面からぶつかった。
 28 見上げる空の青が
 29 シャボン玉の中で
 30 家の前に何かが
 31 古道具屋で買ったロボットを
 32 枕の中に誰かがいて
 33 まず、座布団だけが
 34 不法投棄されブロック塀に
 35 青いボールがまた大きく
 36 地面にやたらと林檎が
 37 この年齢になって初めて
 38 子供と大人は、じつは
 39 いつからか日傘が必要な冬
 40 嘘みたいに早く日が暮れる
 41 級が上がると頭の中で
 42 壁新聞が張り出される
 43 月世界に行く方法は
 44 世界が夜になると
 45 真夜中、カーテン越しに
 46 とっくに辞めたはずの会社に
 47 テラフォーミングに狸が
 48 亀の甲羅を磨く。
 49 突如として知性を持った
 50 今でこそ真っ暗だが、昔
 51 フィクションのロボット
 52 ここもシャッターが下りて 
 53 電子化しますね。これで
 54 綺麗だったが、綺麗に消えて
 55 掘って掘ってやっと
 56 舞台の照明の調整が
 57 平面を折り曲げて立体に
 58 あんたなあ、ちゃんとせんと
 59 自分よりも自分が書いた小説
 60 流れに逆らうのは無理だし
 61 梯子を登る仕事。
 62 見るたびに死者の数が
 63 泥のように眠りながら
 64 まず膜。膜を繋いで
 65 好きだったあの坂の町に
 66 毎晩時刻たがえず幽霊が
 67 もう政治はロボットに
 68 伸び縮みする紐としての
 69 今夜も明るい満月の下を
 70 冷凍睡眠装置の調子が
 71 いつもどこかでごろごろ
 72 新しく生まれた空き地を
 73 妻が二人に分裂した。
 74 闇の奥には、大きな四角い
 75 紐だな。
 76 決められた時刻に集合し
 77 子供の頃から、遠くに見える
 78 空き地に宇宙ステーションが
 79 破片だけを使って作ろうと
 80 どんなことにも終わりは
 81 ディスプレイの上を蟻が
 82 突然の高波に眼鏡を
 83 産卵が終了すると
 84 夏が終わっていろんなものが
 85 空が夕方みたい、と妻に
 86 鍵盤の上に風景を見る。
 87 同じ時刻に同じ道を歩くのは
 88 ここは主語が大きな世界。
 89 必要なのは単純な工具だけで
 90 夕方、宇宙ステーションが
 91 遺品の整理に田舎へ
 92 商店街の脇に昔のヒーローが
 93 ラッパの中に棲む筒状の生き物
 94 地獄は地上に遍在しており
 95 アンドロイドが夢に見た電気羊
 96 嘘の世界で歌ったり踊ったり
 97 同じことを繰り返し行うのは
 98 今日も二足歩行を教えに
 99 亀の甲羅は、前にひとつ
100 今も回転している。
101 ひさしぶりに大学を卒業
102 自走式の何かが、
103 雨が上がって日が射して
104 屈折率を同じにするのは
105 もともとあそこは高地などでは
106 まず、種が埋められる。
107 昔、ここは川だったのでは。
108 見渡す限り屋上だ。
109 母から打ち出された母が
110 ヒトがいろんな動物を
111 左右にほぼ等間隔で炎が
112 ここが裏路地であることは
113 夢の中で天井を逆さに
114 壁紙を変えるよりも
115 なかなかうまくいかない日々
116 男と女の間とか
117 布団の国というものが
118 赤い星でも青い星でも
119 いつからか、天国と地獄は
120 今ならもれなくいろんなものが
121 とりあえず、使う前にそこに
122 ずいぶん前に書いたキャラクターで
123 地上を尖らせることに決めた
124 メールが届く。妻と娘が
125 長い坂の上に鏡があって
126 長い坂の上に闇があって
127 今夜も坂の上の路地には
128 当たると評判の占いだが
129 必要があって部屋の隅から
130 目には見えず身体にも
131 上空を巨大な何かが
132 限定された空間と時間内ではあるが
133 恐怖の異星生物から
134 部分を拡大すると
135 洗濯ものを干していると
136 風の言葉を砂の言葉に。
137 たくさんあるように見えていても
138 この坂を通るたび、
139 上へ上へと積み重なっているから
140 三体寄ればもうその未来は
141 好みの水路だ。
142 新しい風景を仕入れに
143 再生を行うたびに傷が
144 蒸気の町に陽が沈む。
145 あれもこれも無人化されて
146 死者を材料にして美談を
147 荒れ地を耕したり種を
148 今夜も自転車で台地を
149 自動車の自動運転が
150 歩きながら憶えるのが
151 ほぼ、としたのは、
152 たしかにここにあったのに
153 何か新しいことを始めるときに
154 敷かれたレールの上を
155 最近やけに紫陽花が
156 傘が大きいから
157 同じ状況で同じ動作を
158 出てきた順に番号を
159 泥から生まれた者は
160 亀の動きで未来を占う
161 あの巨大生物たちが
162 この暗く細長い空間から
163 ゆっくり回っているこの円卓が
164 時間を逆転させたかのように
165 少し力を与えれば、
166 壊れた頭はもう直らない
167 昔住んでいた町に芝居を観に
168 丸い地球も切りようで四角
169 Kが奇妙な夢からNとして
170 夜にヘタをつけたような茄子と
171 妻が旅に出ているあいだずっと
172 分担して持ち帰りそれぞれで
173 ぽたぽたと落ちてくるのは
174 ダンスは、物理空間を使った
175 充分な容量と計算速度を有する
176 何かが生まれた、という結論に
177 ここには昔の自分が今も
178 二次元からはみ出してきたり
179 出演はしてたけど、現場では
180 プラスチックケースの隅では
181 昔はね、このあたりぜんぶが
182 咳から始めて様々な症状を
183 子供の頃は空くらい飛べた
184 未来から来た猫型ロボットの
185 道を歩いていたら、いきなり
186 頭の中から引っ張り出して
187 ああ、振り出しに戻る
188 これだけ数が揃うと
189 水路の曲がり角の手前
190 はるか下に見える水面に
191 ほぼ百字を声に出して読むと
192 壊れやすいこの世界は
193 渦を飼っている。
194 暗いものを抱えている。
195 失うものなど無い者だらけに
196 今宵の物干しからは
197 近頃夢を見ないのは
198 世界を作る現場に立ち会う。
199 砂漠であると同時に砂時計の
200 こじんまりとした暗い場所で
201 世界の精度を少しずつ上げて
202 我々の頭上には穴だらけの
203 こちらからすればあれは穴で
204 帰り道の夕焼けが

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 ということで、『100文字SF』をお持ちの方は、ええっと、あれってどこやったかな、のときなんかにお使いください。逆に、これどんな話やったっけ、というのもいいかもしれません。

 こうやって冒頭だけ書き出してみると、自分の小説の立ち上げ方みたいなものがわかってなかなかおもしろいです。なるほどこうやってるのか、という感じ。


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