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最近の【ほぼ百字小説】2023年5月10日~5月19日
だいたい16篇くらい溜まったらそこまで、という形式でいきます。あとはべつに変わりないです。ひとつツイートしたら、こっちでそれに関してあれこれ書きます。
百字劇場3『ねこラジオ』の見本ができてきました。かなりいいです。ピンクです。思った以上にピンクです。ということで、よろしくお願いします。
5月10日(水)
【ほぼ百字小説】(4467) 流されてきて拾われた子供が一人前に育って怪物を倒すが、怪物を倒した報いで彼は怪物化する。そしてまた流されてきて拾われた子供が、というループ、それこそがあの怪物のライフサイクルなのでは。そんな話もある。
これは何なのかな。なんとなくそういうのが浮かんで書いたやつですねえ。なんか桃太郎って、ずっと繰り返しっぽいじゃないですか。それはずっと繰り返し繰り返し語られるからなのかなあ。もしかしたら桃太郎というのは、鬼の幼生みたいなものなのかも、とか。
5月11日(木)
【ほぼ百字小説】(4468) 陽だまりに猫がいる。ひとつの陽だまりに一匹の猫がいて、陽だまりが動くと猫も動き、猫が動くと陽だまりも動く。どうなっているのか確かめるために近づこうとしても遠ざかっていくから、たぶん猫に動かされている。
猫に陽だまりはよく似合う。猫が日向ぼっこしているのは、それだけで見入ってしまう。もうそんな季節も終わりですが。陽だまりに一匹ずつマイ陽だまりみたいにして猫がいたのは、実際に見た光景。そこからの猫動説。そして、人は猫に簡単に動かされる。
【ほぼ百字小説】(4469) 包装紙とか焚きつけとか、昔からいろんな役に立つものだったが、こんな使い道があったとは。揉みしだくその音がざわめきになって、世界が立ち上がる。新聞が不要になっても新聞紙は必要だ。少なくともこの世界には。
これの稽古でのこと。
「本読みの時間」〜今宵、ほがらに〜
— 甲斐祐子 (@bagusoyo) April 25, 2023
🌙日時
5/14(日)14時/18時
5/15(月)19時半
🌙会場
コモンカフェ(中崎町)
🌙朗読
北野勇作
徳田祐介(ワイワイワイ)
甲斐祐子(「本読みの時間」)
🌙音効果
峯素子(街の劇)
🌙料金
予約:3000円(当日精算のみ・税込)→ https://t.co/DIOhgLFvd3 pic.twitter.com/WlD73OaTQX
朗読にいろんな音を入れてもらってるんですが、まあこういうのもあります。音というのは不思議なもんですね。新聞紙はなかなかいい音を出します。
5月12日(金)
【ほぼ百字小説】(4470) あんなに鮮やかな彩雲を見たのは初めて。筍が見つからなかったこと、自転車がパンクしたこと、他にもいろいろと重なって、たまたま見ることができたのだ。気づいていないこんなことが、きっとたくさんあるんだろう。
このあいだ実際にそういうことがあって、そう思った。それをそのまま。実際にはあれは彩雲ではなく何とかアークとか言うものらしいんですが、まあそういう定義はどっちでもいいし、そもそもこれは小説ですから。まあかなりくっきりしていたんですが、それにしても、たまたま外にいて、そしてけっこう空が広いところにいて、その方向を見ないと気がつかない。いろんなたまたまが重なって見ることができたわけで、まあこれがそういうはっきりしたものならそうだとわかりますが、わからないうちにそうなってることのほうがはるかに多いんだろうなあ、とつくづく。
【ほぼ百字小説】(4471) 驚いたのは、縁の下に畑があったこと。小さな畝に小さな作物が収穫を待つばかりになっていた。いったい誰の畑なのか。こんなところで作物が育つのか、という疑問のほうは、小さな太陽が発見されたことで解決したが。
まあ『借りぐらしのアリエッティ』みたいな話ですね。家を壊してみたら縁の下に。そして、縁の下となるともうひとつ疑問が、でも畑といっしょにそれも発見される。全然解決にはなってなくて、さらにすごい謎のなってる、というのがサゲ。
5月13日(土)
【ほぼ百字小説】(4472) ひとだまを採りに行く。捕虫網で捕まえて持って行けば買ってくれる。何でも常温核融合反応が見られるとか。網にお札が貼られていることを確認する。なぜお札で封じ込められるのかは、まだ理論化されていないらしい。
ひとだまを捕虫網で追いかけてるところは『ゲゲゲの鬼太郎』に出てきた。あれはあこがれたなあ。お墓で採って、てんぷらにするんだったかな。まあそのへんのイメージから。そして、ひとだまの正体。あの常温核融合って結局なんだったんでしょうね。初めに聞いたときは興奮したけどなあ。怪談と科学の交差、みたいなやつ。ここでは、お札の効果もいちおう計測されてはいるらしい。原理はわからないけど、再現性はある。
【ほぼ百字小説】(4473) 機械も嘘をつくことができるようになったので、嘘をついた機械が行くところが作られ、その入口で、嘘をついていないと嘘をつく機械たちの嘘を判定する。そんな目的でその機械は作られた。メカエンマと呼ばれている。
チャットGPTとか見ていると普通に嘘をつきますが、あれは嘘というより、現実という概念がない、という感じですね。ネット上のデータだけの世界があって、それを組み合わせてるから、現実と合ってない、ということがそもそもわからない。だから普通に事実とは違うことを言う。文章として正しければそれで正しい、みたいな感じです。そこからもうひとつ進んで、現実世界という概念を機械が認識するようになってから初めて「嘘」というものが出てくるような気がします。これはそうなってからの話かな。彼らにとっての「現実」があれば「あの世」もできるかもしれない。
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