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自分のために
魂が震える1日だった。わたしは歌えないけれど、自分のために自分の言葉を綴ろうと誓った夜だった。たくさんのアーティストさんたちが、たくさんの気持ちを、小さな想いを、誰かへの愛をまっすぐに歌っていた。誰に届くかなんて関係ない、でも誰かに届くように祈りながら、誰かを想いながら、自分の命を燃やし続けるために、歌っていた。
自分のために歌え、と彼は歌い叫んでいた。誰かのためにと思いながら、最後にその矢印がたどり着くのは自分だ。自分のため、結局はそうなのだ。優しくするのも、真面目にやるのも、愛するのも。歌うことも、踊ることも。書くことも。
あの日見た彼女の踊りに、あまりにも心打たれたのは、彼女が彼女自身のために踊っていたからなのだと今更気づかされた。
ここ2週間くらい、ちょっとだけ気持ちが晴れない日を過ごしていた。いろいろと考えなければいけないことがありすぎたのだ。人生は大変なことのほうが圧倒的に多いとつくづく思う。なにをするにも大変すぎる。楽しいことなんて、その先の先にやっとあって、そこに向かう過程でたくさん嫌なこととか面倒くさいこととか、やりたくないこととかあって。全部投げ出したって生きられるけれど、投げ出さずに真っ直ぐに向き合う姿の美しさをたくさんの人が見せてくれたから、わたしもできるだけそうでありたいと思いもがいている。
もうワンコインでは買えない牛丼をテイクアウトして品川駅のロータリーで夫と食べた。気楽だ。気楽って幸せだなと思う。気楽に生きていたい。
昨日聴いたアーティストさんたちの歌声がまだ脳裏に響いている夕暮れの月曜日。わたしの心や身体や人生はひとつしかないけれど、ただひとつの心でたくさんの幸せなことを祈り、感じ、抱きしめることができるんだと知った。いつか笑えるようにならくてもいいし、いつか愛せるようにならなくてもいい。ただ今だけは、今だけは、と思う。これからは、と思う。
わたしは旅に出る。これは逃避行なのだけれど、でも感じたことをたくさん表現して、たくさん伝えていこうと決めた。全ては自分のために。旅に出るわたしたちを「すごいね」と多くの人が言ってくれるけれど、わたしにとってこれは自分を解放するための最終手段で。これからの人生を生きていくための治療のようなもの。目的も、どうしても行きたい場所も、見たい景色も、全然ない。やり遂げたいことも思いつかない。
ただ、旅をすることは自分にとって最も自分らしくあれる手段だということは知っているから。もしかしたらこれは間違った方法だったと後で気がつくかもしれないけれど、今はこれしか方法が思いつかないから、だから旅に出てみるのだ。全ては自分のために。
誰しもが、自分のために生きて、願い、命を燃やせる世界であるように。どうしようもない日々も、くだらない恥ずかしい思い出も、自分の好きなところも嫌いなところも、あの人との思い出も、あの日の涙も、あの夜の愛も。いつか忘れちゃう。いつか、いつか、いつかはいつかやってくる。いつか命終わるそのときまで。精一杯、愛をしようよ。東京の高いビルの窓から半分の月がのぼる空を遠くに見ながら、こう思ったことをそのいつか、思い出すのだろうか。
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