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なんでもない日記

⚪︎月×日(くもり)
10月にみっこおばちゃん(じじの妹)の3回忌があるからね、と母に言われたことをふと思い出して、この梅雨のせいで少しカビ臭いのが気になった礼服をクリーニングに出した。

クリーニング屋のおばちゃんに「急ぎじゃないかしら?」と聞かれて、わたしは「はい。」と答えた。「じゃあ2週間もらっていいわね?」と聞かれて、わたしはほとんど考えることもなく「はい。」と再度答えた。

それから3日経ち、夫の身内が亡くなった。わたしは礼服が手元にないことを思い出して、どうして10月まではこれを着ることはないだろうと考えたのかと、情けなくなった。

どうして、誰も死ぬわけないって思ってたんだろう。

誰かが死んでしまう準備などしておく必要ないけれど、したくないけれど、命はいつだって有限だって心に刻みたい。わたしだって、今この瞬間だけが命の事実のかたまりみたいなものである。

などと考えていたら、満員電車でだれかのsiriが発動して訳の分からない音声が電車内に響く。ふっと笑ってしまって、平和さに安堵する。にしても満員電車は辛い。

こういうときには頭の中で文章を綴る。忘れないように、しかと脳内メモリにおさめながら。満員電車から逃避しようとぎゅっと目を瞑ったときにこそ、心にハッとする言葉がおりてきたりするからだ。じっと耐え、解き放たれたらさっと書く。大切なことはいつも心の中。

⚪︎月×日(くもり)
今度行く両親との旅行。父、計画が大好きすぎて、分刻みの行動計画に加えて、着る服まで決めていた。すごすぎる。母曰く、ちゃんと全部着ながら考えたらしい。

恐るべし


⚪︎月×日(晴れ)
気がつけば7月。梅雨だというのに雨が降らない。嬉しいけれど、わたしの周りには農家さんもたくさんいるので困ってるのではないかな、と不安にもなる。晴れ女のわたしのせいかもしれない。

もちろんそんなわけはなくて、地球が変わっているせい。地球温暖化を初めて学んだ小学1年生のとき、わたしたちが大人になるころ、ああなってしまう、こうなってしまうと教科書に脅された。あのころのように世界はなったのだろうか。思ったより大丈夫だったことも、そうではないこともあるのだろうなと思う。先のことは分からないから、今日のことと、1年後の目標だけは決めておこう。あと自分に出来ることはやっておこう。プラスチックをなるべくやめる。セブンのコーヒーからローソンのコーヒーに乗り換えよう。

⚪︎月×日(雨のち晴れ)
幼なじみがうち(実家)にきて、両親と笑っていてとても幸せだった。スポーツトレーナーでもある彼女は、父が剣道で外腿を痛めた原因を見事に紐解いて、ストレッチ方法を教えてくれた。かっこよかった。毎日は会えなくても、何ヶ月かに一度は、せめて1年に1回はこういう時間が欲しい。

⚪︎月×日(晴れ)
初めて庭で野菜の収穫ができた。(いちばん簡単だと言われて育てたほうれん草はあまりにも育ちすぎて食べられなかった)ズッキーニがとれたのである。知り合いの農家さんから苗を分けてもらって大事に育てた。なかなか雌花と雄花が同時に咲かなくて、苦労した。受粉ができなかった。作物の尊さを実感した。採れたズッキーニは本当に美味しかった。

⚪︎月×日(晴れ)
家に人を招いてフィジー料理を振る舞った。美味しかったなあ。幸せだったなあ。お誕生日の人がいたからみんなでケーキを食べてお祝いした。嬉しかった。嬉しそうだった。幸せだったなあ。子どもも大人もみんな笑ってた。いつまでも笑っていたい。それから、やっと梅を漬けた。楽しみ。

3日目の梅

〇月×日(晴れ)
キンビスのアスパラガスというお菓子が幼い頃から大好きだけれど、あれって全国区ではないらしい。小さい頃、じじとばばの部屋にお菓子箱が姉と弟とわたしの分それぞれあって、そこにばばがいつもお菓子を入れてくれていた。よく入れてくれるお菓子のラインナップのひとつだったアスパラガス。ひとマス?ずつ割りながら大切に食べた。牛乳に浸しながら贅沢に食べた。見る度にばばを思い出す。たまにお駄賃も入っていたりして。ばば、会いたいな。

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Yuuri
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