〘お題de神話〙憧憬
従わない理由ならいくつもある
従う理由ならひとつで充分過ぎる
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遥か昔、見上げた空に一条の銀の光が流れた。それが天駆ける万物の王だと知って湧き上がった、あの何物にも代えがたい憧憬を、どうすれば良かったと言うのか。永遠など有り得ないと知りながら、傍近く在りたいと願い、義兄弟の契りを叶え、そして分かたれた道を。
どれほどの喜びだったか──義兄弟の杯を交わした時。
どれほどの絶望だったか──所詮、交わらぬ道であると知った時。
ならば、神々の黄昏を選ぶしかなかった。
その序章は光の神殺し。バルドルの弟に仕掛けた巧妙な奸計。
バルドルは死に、絶望したバルドルの妻も死んだ。オーディンがリンドと言う女に生ませた弟──バルドルの復讐の為だけに生まれたヴァーリ──にヘズも討たれた。
失望され、いっそ憎悪されれば諦めもつく。憧憬と憎しみを同時に与えたのは他でもないオーディンで、ロキがオーディンを殺せば連鎖となる。
切っても切れない、断ちたくなくとも断たれた、絶つべきではなかったのに絶ってしまった糸を、憧憬も憎しみも共にスルトの炎で燃やし尽くすために。
『あなたは、本当に勝手な方だ……』
神々の黄昏よ
全てを連れ去れ──
それでも、憧憬だけは消せないと知っていた。
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バルドル殺しの話にも『古エッダ』と『スノッリのエッダ』とあり、どちらもロキの奸計によってヘズに殺されてしまうのは一緒なのですが、エピソードに違いがあります。
『古エッダ』は、悪夢でバルドルの運命に不安を感じたオーディンがニブルヘルに下り、死んだ巫女から避けられないバルドルの死と、仇討ちをするヴァーリ誕生に関する予言を得ます。
『スノッリのエッダ』は、オーディンの正妻でバルドルの母フリッグがバルドルを生き返らせる為に奔走し、最後の最後でロキに阻まれてしまう展開です。
この他にデンマーク版とかもあるみたいですが馴染みがないので割愛しますwww
実際問題、ロキがバルドルに嫉妬していたのか単にイケズなオーディンに対する腹いせだったのかはわかりませんが、私はある話に影響されまくっててロキがオーディンにベタ惚れ設定の固定観念出来上がってるのでこーゆう風にしました(笑)
ちなみに、ラグナログの後、新たに生まれた世界でヘズとバルドルは復活し、今度は和解して再建の為に協力するらしいです。
二人ともニブルヘルにいたのでラグナログでも消滅せずに済んだとか何とか……(ご都合主義やねん)
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※以前、自分で書いた『ラグナログ──神々の黄昏』と、オマージュを書いてくださった矢口れんと部長の『ロキの解放』にちびーっと寄せてます。
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