読書感想文 むき出し
はい、今回は出版されるのが楽しみ!と言っていた「むき出し」の読書感想文を書きます。とは言え、一周読めただけ。「すぐにもう一周読みたい」これがすぐに言える正直な感想です。ネタバレ含みます。まだ読了してない方はすみません、回れ右をおすすめします!
むき出し
著者 兼近大樹
発行 文藝春秋
2021年10月30日 第一刷
読書感想文を書く前にまず私の話を少しだけ。
私はもともとオタクかつヲタク。小学校から高校、浪人を経て、大学生になり、何となく授業を履修し、漠然と社会人になる。就職でお金を稼ぐことの大変さと主に仕事での理不尽な対応の数々を学ぶ。世の中そんなに甘くないと知る。そのうち新型感染症が流行りだし、マスク生活が始まる頃に「なんか疲れたなぁ」「もう嫌だなぁ」「こんなはずじゃなかったのに」と思う。時々仕事を辞めたくもなる。そんな毎日を過ごしている。
そんな時、当時定期的に通っていた飲食店の店員さんがお笑い好きで、お笑いに興味をもつ。結果、テレビ露出が多いEXITが目に止まる。昔からなぜかギャルやヤンキーに憧れがあった私は、EXITにハマり始める。いろいろ調べるうちにスキャンダルでテレビ露出が一気に減った時期があったものの盛り返したことを知る。このことで余計にEXITが気になる存在となる。時間が経たないうちにEXITのYouTubeは全作見漁り、漫才をルミネに見に行くようになる。テレビも見られるものは録画して見る。更に兼近さんの同居人さんの影響で神保町の漫才劇場にも足を運ぶようになる。こうしてお笑いを見ることが私の新たな趣味となる。去年の11月ごろにEXITのファンクラブに入る。今でもEXIT始め、お笑い好き。
まぁそんな私が「むき出し」を読みました。本作は、兼近さんが彼自身の人生を基にして書いた渾身の初小説(だと思っています)。主人公「石山」はいわゆる非行少年で紆余曲折経て、entranceというコンビを組む。仕事が増えて来た頃にスキャンダルが世に出て仕事がほぼなくなり、最後に残った1本のラジオを撮り終わるまでが描かれています。ただ時系列順に淡々と書かれているわけではないので、読んでいる途中で何度も何度も前に戻って読み返すほどの結構な読み応え(それだけ登場人物も多い)。そして自分が経験したことのない事柄たちの赤裸々な描写に、驚きの連続。それでも人間のいわゆる「綺麗汚い」さまざまな感情の描写には思わず納得。
兼近さん自身がインスタライブ?か何かで「人に優しくなれる小説だ」と言っていたので、ここ数日心がささくれ立っていた私はもてる時間を使ってすぐに読了しました。
一周読んでみて思ったこと。
世の中にはいろんな生い立ち、環境でそれぞれ違った経験をした人がいる。だからこそ、自分の当たり前は他の人にとって当たり前でない。(これはご本人がよく言うことでもある)私はまず人に優しくというより前に、目の前の人をまず見て知ろうとしよう、そしてむやみに拒絶するのはやめようと思いました。そして、今私に関わってくれている人たちに感謝の気持ちを持ち続けて末永く関わり続けていきたいと感じました。
他にもいろいろ思ったことはありますが、一周目はざっとこんな感じでした。
分からないものを分からないままにしたり見えないように視野を狭めてしまうのではなく、知ろうとすること、考えること、理解しようとすることがいかに大切かを再認識した気がします。
そして兼近さんはいろいろな経験を経たからこそ、今あんなに人に優しくできるんだなぁと思いました。人間誰しも忘れたい過去のことはあるけれど、兼近さんは自分の人生で覚えていることをなるべく全て忘れないように生きている。つまり自分の人生から目を逸らしていない。それって誰にでもできることではないから、純粋に尊敬します。と同時に自分も少しでもいいからそうなりたいなと私の人生において憧れる人の一人になりました。それはもうガッチリと。
なんかこれ以上何を書いたらいいのか分からなくなってきたのでこのへんにしておきます。お笑いに興味がない、とかあまりEXIT詳しくないとかそういう人にも読んでみてほしいなぁと思う一冊です。たぶんいろんな人に刺さる小説。
じゃあ二周目行ってきま〜す!
素敵な小説を書いてくれた兼近さんと、そんな兼近さんの人生に関わったご家族ご友人、そしてりんたろーさんたち、いろんな方々に勝手に私からの感謝の気持ちを添えて。