TTTブログ No.19 『「叱る」「叱られる」をかんがえる』
こんにちは!
The Thinking Time主宰の吉田結美です。
TTTブログNo.19です。
執筆が遅れており大変申し訳ありません…!
今回は、2021年の8月・9月と2回に分けて開催された、かんがえよう会Vol.11の振り返りをしたいと思います。
イベント概要
今回は初の外部企画。
かんがえよう会の企画はTTTメンバーの特権となっていますが、TTTメンバー以外の方の企画も取り入れていくことで、内外の空気の循環が良くなり、様々な視点で物事を考えていけると考え、今回の企画が実現しました。
今回の企画者は阿部花菜(アベカナ)さんです。
テーマは『「叱る」「叱られる」をかんがえよう』
初の二部制ということで、第一部は「叱られること」を、第二部は「叱ること」をそれぞれメインにして言葉を交わしました。参加者は録画視聴も含めると、全体で12名の方にご参加いただきました。ありがとうございました!
叱るってそもそもどういうことだろう?
怒るとは違うのか。諌めるとか諭すはどうだろう?
この企画をいただいた時からもう叱る叱られるについては思考がぐるぐる回っていて、参加者の方々からどのようなご意見がいただけるか、当日をとても楽しみにしていたのでした。
阿部花菜さんってどんな人?
阿部花菜さんは看護学校卒業後、看護師としてお仕事をされる中で、キュアではないケアへの関心が高まり、現在は看護師を退職して様々な人や場所と積極的に関わりながら学びを深めているそうです。
イベント開催時は兵庫県の豊岡市にあるゲストハウスひととまる(https://hitotomaru.com)にて、住み込みで宿業のお手伝いをされていました。
その間、土曜日のみ本と暮らしのあるところだいかい文庫(https://carekura.com/daikaibunko)にて相談員をされています。誰かと交わることでちょっと楽になったかなという場所になればという想いでお店に立たれているそうです。
本を読みにいったら相談ごとができてしまうというのは、なんだか開かれていてとてもいいなあと思います。私は本屋さんに、本を買う・読むためだけに行くわけではなくって、ちょっと悩んでいる時とか塞ぎ込んでいる時に、本屋という場所の落ち着きや本の世界や思考に飛び込むことに癒しというか、安らぎを求める時があります。
もちろん1人でいたいからほっといてくれ!という時もあると思いますが
実はそういう時に、自分の話を少しでも聞いてもらったり言葉をもらえたりすると、少し気持ちが軽くなることもあるのですね。
阿部花菜さんもきっと、押しつけではなく、相談者の言葉をまず受け入れて温かく丁寧に対応してくれるのだろうなあと思います。いいなあ。
現在は京都の西陣エリア、鞍馬口にある月光荘・八雲食堂(http://www.gekkousou.com/kyoto/yakumo.html)にヘルパーとしていらっしゃるようです!お近くの方はぜひ足を運んでみてください^^
叱る・叱られるをかんがえよう
今回のテーマ、『「叱る」「叱られる」をかんがえよう』について、なぜこのテーマで企画することになったかをまずお話しいただきました。
阿部花菜さんは老年看護学を専攻したことで認知症状の行動に関心が生まれ、さらに学びを深める中で岸見一郎・古賀史健の『嫌われる勇気』(ダイアモンド社)と出会い、アドラー心理学に触れていきます。
アドラー心理学では「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」としています。
それを受け、阿部花菜さんは自分にとっての対人関係の悩みってなんだろうと考えました。
そうして
「叱られたとき、怒られたとき、注意を受けたときにめっちゃ凹む」
「叱られたり怒られたりする時が、自分にとってストレスの溜まる時なんだ!」
ということに気がついたそうです。
「気づいたはいいけれど、ではそれをどう対処したらいいか、どう受け止めていけばいいのだろう?1人で考えるのはなかなか難しい。ならば人とシェアして意見交換したい!」と思い、かんがえよう会の外部企画枠をご利用いただくことになりました。
初めてお話をいただいたのは6月。そこから何度か打ち合わせをし、内容を詰め、今回の開催に至りました。
Thinking Time!
前半は阿部花菜さんの自己紹介と今回の開催に至るまでの経緯のお話。後半はTTTに寄せて「Thinking Time」と題した時間を取りました。
以下はその時の対話をグラフィックレコーディングしてくださったものです。
(タップするとPDFの綺麗な画像が見られます)
第一部(2021年8月4日)
Q1. 叱られた時、あなたはどんな気持ちになりますか?
Q2. どうして相手はあなたを叱ったのだろうか?
第二部(2021年9月3日)
Q1. 前回の何かんがえよう会から変化はありましたか?
Q2. 叱り方のコツはありますか?
Q2‘. 齟齬が生じて互いが嫌な気持ちにならないよう、どうしてますか?
まず…グラレコ可愛い…!!!!
絵で描くとイメージがしやすいのでこれこそ齟齬を減らすための重要な手段のように思えます。絵と言葉によって意味とイメージの両方を共有する方法です。
第一部での「叱られた時はどんな気持ちになるか」という質問には、「悲しい」「悔しい」「落ち込む」などネガティブな感情になる意見が多い中、「言ってもらえてありがたい」や「やっちゃった☆と思う」というポジティブな意見もありました。
これは個々人の性格もあると思いますが、叱ってきた人に対する本人の信頼度や尊敬度なども関わっているよね、という話が出てきました。興味深いです。
尊敬できない人からのお叱りは、「あなたに言われたくない」という気持ちが先に働いてしまう。それは悔しさや反発、プライドを保持したいという気持ちなどが関わっていそうです。あとは、認めたら自分の価値が下がるのではないか、という恐怖。
素直に聞けないのはなぜか、ということを掘り下げて考えてみるのも、ストレスの軽減になるかもしれないなと思いました。
第二部の「齟齬が生じて互いが嫌な気持ちにならないようにするにはどうしていますか」という問いに対しては、資料の共有、相手と自分のペースを確認、イメージの共有、という意見が出てきました。やはり互いの考えやペースの違いの擦り合わせのために、対話は必要なのかもしれません。
少し前の時代には、職場で叱る・叱られるというのは当たり前だったというご意見もありました。それが当然の時代と、このように議論される時代、どのような変化があったのか、それは全てが改善に向かっているのか、というところは、こんごも丁寧に考えていくべきことかもしれないなと思いました。イベント中には「諭す」という言葉も出てきました。いろんな考え方があります。
ちなみに私の場合はですけど、大きな声が怖いので、怒鳴られると萎縮して硬直してしまいます笑
「まとめたいなあ、まとめ」の余白
「答えを出そうとしたり、かっちりとまとまらなくていい」というかんがえよう会の性格に合わせて、阿部花菜さんはこのようなタイトルで最後のまとめ時間を作ってくださいました。「まとめたいなあ、まとめ」。柔らかくて気に入っています。余白があるのですよね。
今はこう言っておくけれど、こう考えることもできるし、状況が変わればもっといろんなことが考えられるよね、という余白。まずは知るということ。
今回『「叱る」「叱られる」をかんがえる』というテーマでしたが、対話の内容自体も幅が生まれてよかったなあと思います。
みなさんは「叱る」「叱られる」についてどう思いますか?
解決ではなく緩和
言葉でのやりとりって実はとても抽象的な行為で、誰かが発した言葉の真意とそこから受け取るイメージというのは、やっぱりどこかで齟齬が生まれます。その齟齬をどうしたら緩和できるのか…。解決ではなく、緩和。わたしは阿部花菜さんのかんがえよう会に関わらせてもらって、それが今回の大きな気づきだったかなと思います。
今回、「オープンダイアローグ」というものを阿部花菜さんから教えていただき、その方法を取り入れる形で開催いたしました。オープンダイアローグとはフィンランド発祥の対話による精神療法です。「対等の関係性の中で話す」「その人のいないところで、その人のことを話さない」「全員の声が大切にされる」「チームで対話する」ということが大切にされています。
この考え方は、私がしゃべろう会やかんがえよう会で大事にしたいことととても重なっていたのです。The Thinking Timeにはとても重要な考え方だと感じました。
今回阿部花菜さんにご紹介いただいた本、森川すいめい「感じるオープンダイアローグ」を載せておきます。試し読みも可能なのでぜひ!
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000351734
言葉よりもまなざしや行動の方が伝わったりすることもたくさんあります。でも言葉にしないとわからないことっていっぱいあります。
私も言葉について考える一人の人間として、また美術予備校で働く一人の講師として、自分なりの正解と、そこへの果てない自問自答と、人との関わりの中で生まれてくる齟齬の緩和のために何ができるかを考え続けたいと思います。
さいごに、阿部花菜さん、この度は色々なことを考えるきっかけとなる、素敵な企画をありがとうございました!また、ご参加いただいた皆様にも感謝申し上げます!今後もあれこれイベント開催して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
The Thinking Time主宰 吉田結美
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