全社会人が東洋思想を学ぶべき理由
近頃は経営者が陽明学などをやることが流行っているという。実際大いに意義があると思う。人の上に立つものは如何に己をおさめ、また人を導くか。誰しもが悩み、考えることであり、また、人類の長い歴史においても、悩まなかったものなどそうおるまい。
逆に、悩まない者などは物事を深く考えていないだけではなかろうか。
古来聖人と呼ばれ、人間の出来た者も、はじめから完成されていたわけではなく、あらゆる努力の末にその境地へと至ったにすぎない。
だからこそそうした古き教えは現代に悩める者にも響くのである。
さらに、我々がそうした立場にあって悩む時というのは、部下と上司の板挟みであったり、善意のぶつかり合いであったり、一概に正解がない時である。
サラリーマン指南書の様な、「~のときには~しろ」といったもので解決し得る簡単な問題ならば、誰もそこまで苦労しないのだ。
従って、我々の真の苦労や懊悩は、精神的な疑問の本質へとたどり着かざるを得ない。
つまり、「人は、上に立つ者は、どう生きるべきか」である。
これを自己の中で確固たるものにし得た時、いかなる困難にも躊躇や後悔といったものなく邁進できる。
さらに、「いかに生きるか」は、時代によって変わらぬ人間の本質の問題ゆえに、古来の聖人の教えが非常に有効であることも多い。
これが、現代人にも東洋思想を学ぶ意義があることの理由だろう。
人間の本質を考えることは、生涯欠かすことのできないものである。
私などは東洋思想を分かりやすく広めることで、少しでも皆の助けになりたいと常に思うのである。