有機かりん

不穏な香りのするエロティックストーリー   ※本職のライター業が繁忙期につき少しお休み…

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不穏な香りのするエロティックストーリー   ※本職のライター業が繁忙期につき少しお休み中です※

マガジン

  • OLエリナ

    エッチめなOLのお話です

  • 部長サカモト

    OLエリナの不倫相手、坂本さんのお話です

  • 古本屋店主オカモト

    中年店主の夫婦事情です

  • 会社員ユキト

    若手デザイナー男子のお話です

最近の記事

吉祥寺

-OLエリナの場合 4- 「メール見てくれた?」 ぽこんという間抜けな音を立てたスマホのライン画面を開くと、坂本さんからメッセージが入っていた。 どのみちラインを送ってくるのなら、初めからラインにすればいいのに。 ラインの方が怪しまれる、という謎の理由で連絡ツールをメールにしたがる坂本さんのために、仕事以外ではほぼ楽天やAmazonの通知でしか利用していないeメールをしばしば使うことになった。 メールは仕事上の連絡ツールでもあるから、ラインよりプライベート性が低いぶん、安

    • 豊洲 2

      -部長サカモトの場合 2- リビングの床に転がるおもちゃの数は、その夜に俺が抱えることになるストレスの数と同じだと思うようになった。 子供たちがおもちゃを出しっぱなしにするたび、片付けの途中で走り回って本来の目的から逸れるたび、俺がそれを見てみぬふりをするたび。 妻の表情はまるで般若のよう、ではなく、使い古した能面のように無表情になっていく。 般若だった時代はまだよかった。こらっ。いい加減に片づけなさーい!パパもちゃんと叱ってよっ 聞いてるのっ? その怒りすら、小さな

      • 豊洲

        -部長サカモトの場合 1-   体位も変えないまま、気づくと射精の気配が近づいてくる。 いくっいくよっと叫ぶと、妻は身を固くして俺の肩にしがみつき、俺は妻の中にドクドクとスペルマを放出する。 こんなに躊躇なく中出しができる日が来るなんて、結婚するまでは思いもしなかった。正常位のまま始まり正常位のまま果てるスタンダードなセックスでありながら、中出しができるというスペシャルオプションが付くことで、どんな変態性のあるセックスよりも価値があるような気がしていた。 いくらエロい女

        • 御徒町 2

          -古本屋店主オカモトの場合 2- ただいま、と玄関のドアを開けると、妻は帰っていなかった。 薄暗くしんとした玄関で靴を脱いでいると、ちょうちょ結びしたスニーカーの靴紐があの日と同じように斜めに傾いていて、つい1ヶ月ほど前の光景が突如生々しく甦る。 あの日、閉店時間よりも2時間ほど早く店を閉めた私は、スーパーに立ち寄り5本入りのナスと冷凍の枝豆を買うと、まっすぐ家に向かっていた。 コロナ禍以降は、きっちりと決まった時間に店を閉めるのではなく、その日の街の人出を見ながら閉店

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        • OLエリナ
          5本
        • 部長サカモト
          2本
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          2本
        • 会社員ユキト
          2本

        記事

          御徒町

          -古本屋店主オカモトの場合 1- 「あんっあんっあっあっああっ」 汗ばんだ尻に腰を打ち付けながら、猛烈に動物園のカバを思い出していた。 かわいそうなカバだった。 他の動物たちのように、空の下の広々とした敷地は与えらず、小さく仄暗いコンクリの飼育小屋の中で、窮屈そうにその身を縮ませて暮らしていたカバ。 どこかの遠い国の大自然からやって来て、日本の空も見えない小さな小屋の中で、仲間にも会えず狩りもせず、一生を終えるであろうカバ。 なんかかわいそうだね、と、来場客にも感動よ

          五反田

          -OLエリナの場合 3- 想像したよりも短い彼のペニスを口に含みながら、良さそうと思って購入したアボカドの中身が、割ってみたら黒い斑点がたくさん出ていて食べごろを過ぎていた…みたいな虚しさを感じ、その期待外れ感を払拭しようと必死にその棒を舐め続けていた。 私があまりにも濡れていることに興奮した様子の彼は、今日何度目かの「びしょびしょだよ」を発しては、しゃぶりつくように私の性器を舐め回している。 私がここまで濡れているのに、特に理由はない。相手のテクニックがすごいからとか、

          雑司ヶ谷

          -会社員ユキトの場合 2- 「このくらいの修正も正確にできないんじゃ、どの仕事も任せられないんだよね」 目の前の50近いディレクターは、先方からの赤の入った出力紙と、僕が修正をかけたデータの出力を2枚並べて、所々にブルーのマーカーを引きながらその修正ミスの多さを指摘した。 「すみません」 「確認しながら作業してないの?どういうやり方するとここまで間違うのかよくわからないんだけど」 「すみません」 「これじゃあデザイナーどころかオペレーターの仕事にもならないから。ちょっと

          品川 2

          -OLエリナの場合 2- 男性率の高い打ち合わせというのはもう、イチモツが何本も集まっているだけのギャグみたいな空間だ。 それっぽい企画書、それっぽい予算、それっぽい展望、それっぽいダメ出し、それっぽい提案、それっぽい結論。 それらを、全員が股に欲望だらけのイチモツをぶら下げたまま展開させているのだと思うと、私は心の中で笑いが止まらない。実際、下を向いて少しにやけてしまうこともある。そんな私の顔を覗き見て、「なんかエッチな想像でもしたんじゃないの?」と冗談混じりに絡んできた

          渋谷

          -会社員ユキトの場合 1- 「続いてのニュースです」 テレビのない僕の部屋で、つけっぱなしのパソコンに流れるネットTVのキャスターが深刻な声で切り出した。 「昨晩午後10時ごろ、池袋にある古本屋Sで、欲情魔とみられる女が現れました。過去3件の事件と同じく、女は官能小説を1冊レジに持って行くと、店主を何らかの方法で誘惑し無理やり性行為に及んだとのことです。店主はこれまで起きた3件の欲情魔事件と同じく、女にレジで官能小説を差し出された以降の記憶が朧げで、気づくと避妊具を付け

          品川

          -OLエリナの場合 1- 全ての本音をペニスの中に閉じ込めて、何食わぬ顔して生きているのが私にとっての男だ。 部下を叱っていても、商談をうまくまとめていても、彼女の作った生姜焼きの味付けを絶賛していても、休日に子供と遊んでいても、妻に感謝の言葉を述べていても、両親を初任給で食事に招待していても、お隣さんに朝の挨拶をしていても。 そんなものは全てが仮の姿で、真実はいつだって、ズボンを脱いだところにしか現れない。 もちろん、そうでない男性もたくさんいるのはわかっている。という