【薬剤師】薬剤師にまつわる法律
薬剤師に関する法律で大きいものは薬剤師法と薬機法(医薬品医療機器等法)の2つでしょうね。
この法律を遵守して仕事をしていないと薬剤師法違反、薬機法違反となります。
今回は薬剤師法で大事なところを紹介して、私たち薬剤師がどのような法律に基づいて仕事をしているのかというのを書いておきたいと思います。
薬剤師の任務とは
薬剤師法 第1条に記載があります。
「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」
なんか壮大なこと言ってんなぁって感じですよね。
薬を通じて、皆さんの健康な生活を確保するだけでなく、公衆衛生にも関係してるんです。
学校薬剤師とか、保健所関係とかね。麻薬取締官なんてのもありますね。
この辺は機会があれば書きます。
薬剤師の業務について
薬剤師法 第19条
「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。」
この法律があるから薬剤師以外が薬を売ったりすると捕まっちゃうわけですね。
フリマアプリなんかでは医薬品の転売が横行していたりしますが、もちろん法律違反です。
薬剤師法 第20条
「薬剤師でなければ、薬剤師又はこれにまぎらわしい名称を用いてはならない。」
薬剤師という国家資格を持ってない人が薬剤師を名乗ることももちろんアウトです。
ちなみに薬剤師の国家資格を持ってるかどうかは、薬剤師名簿に載っている薬剤師であれば誰でも検索することができます。
詳しくはこちらへ → https://licenseif.mhlw.go.jp/search_iyaku/
薬剤師法 第21条
「調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。」
正当な理由の線引きにもいろいろありますが、まぁ「めんどくさいからヤダ」みたいな理由で人命にかかわる仕事を拒否するなんてことはしちゃダメだよってことですね。
正当な理由は
①疑義照会ができない
→後述する条文によるもの。
②やむを得ない理由で薬剤師が不在
→ 薬剤師じゃないと調剤しちゃダメって話ですしね。
③医薬品の調達に時間が掛かる
→ 薬局に置いてある薬も色々ありますが、全ての薬を網羅しているわけではありません。すぐにはご用意できないものもあり、時間がかかっても良いという方はいいのですが、今すぐ!という方には薬を用意できるほかの薬局を紹介することもあります。
④物理的に調剤が不可能である
→災害時などのことですね。とは言っても災害時だからこそ何とかしようと行動する薬局が大半だとは思います。
薬剤師法 第23条
「薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。」
「薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して調剤してはならない。」
医療用医薬品と一般用医薬品がありますが、医療用医薬品については処方箋がないと調剤できません。
「薬が足りなくなったから売ってくれ!」はできませんの悪しからず。
また、「こっちの薬の方が良いって聞いたからそっちにしてくれ。」なんていうのも、先生に確認を取って了承してもらわないとできません。
処方権は医師にあり、薬剤師は処方箋という指示書によって患者様にお薬をお渡ししています。
薬剤師法 第24条
「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。」
薬剤師の仕事の一番はここでしょうかね。
処方をしている医師も人間なので間違うこともあります。
また、専門領域ではない薬に関してはよく知らないなんてこともあります。
「あれ?この薬こんな使い方できたっけ?」
「この患者さんにはこの量は多すぎる(少なすぎる)んじゃないか?」
「この患者さん前にこの薬で副作用出たことあるらしいけど先生把握してる?」
なんていうことは本当によくあります!
なので、薬剤師は医師に確認して、この疑問点を解決しないといけない義務があります。
この業務を疑義照会といいます。
この確認作業に時間がかかって、待ち時間が長くなってクレームになったりするんですがそれはまた別の機会に(笑)
そのうち疑義照会の実例なども踏まえた記事を書いてみます。
薬剤師法 第25条の2
「薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならない。」
薬剤師は薬を用意して患者に渡すだけ…なわけないですよね。
ちゃんとどういう薬なのか、どうやって飲む(使う)のか、副作用の可能性とか、そういうのは説明しないといけません。
もし説明していないせいで、患者が不利益を被ったら薬剤師の責任になっちゃうわけですね。
薬剤師法で、薬剤師の仕事に関する部分で特に大事なところ、基本のところはこのあたりかな?
薬剤師としての仕事の根拠はこのあたりだと思うから、なんでこの業務をしているのか、なぜこれをやっちゃダメなのかっていうのはしっかりと理解しておきたいところですね。