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母が首を絞められる

 虐待サバイバーのゆうかです。

 最近よく聞かれるようになった面前DVについてですが、私達は面前だけでなく、普通に殴られたり罵られたり、性的・心理的・精神的虐待を受けていましたのですが、

 面前DVもとてもたくさんありました。自分以外の姉妹が虐待されてるのを、しょっちゅう見ていましたので、それも面前DVですが、父が母に暴力を振るう時は、とても強烈でした。

 父は私達にする暴力より、母にする暴力の方が明らかにひどかったです。

 私達は、朝起きたら、母の顔がむくんでいたり、あちこち痣だらけだったり、引っ掻き傷だらけだったり、時には首に締められた跡があったりするのを、何度も目にしていました。

 夜中に、父と母の叫び声が聞こえて、眠れなかった夜もありました。

 そして、時には私達姉妹の面前で、それは行われました。母が殴られたり、髪を引っ張って引きずられたりされるのを、私達はただただ見てるしかありませんでした。私達が騒いだり、止めようとすると、父はさらに酷いことをするので、私達はただ怯えるしかありませんでした。私は目をつむらずに、なぜだがしっかり見ていました。

 ある時、父が母の首を絞め始めました。母は倒れ込んだので、父は母に馬乗りになり首を絞め続けました。

 小学高学年だった姉と私は、まだ小さかった妹ふたりをハグしの目を覆いました。どちらからともなくそうすることが必要だと感じました。私達もまだ小さかったですが、妹たちには見せてはいけないと思いました。

 首を絞める時間がいつもより長くなり私達は心配になりました。その時です。母が「グエッ」と変な声を出したのです。

 私と姉は顔を見合わせ、お互いどうするか通じていました。妹たちを部屋から出し、そこで待ってるように言いました。

 そして、姉と私で父に向かって行きました。父は筋肉質な大きな体で力もとてもありました。いつも殴られていて怖い父でしたが、これ以上放っておいたら、母が殺されてしまう!と直感で思いました。

 私達ふたりの力では、父はびくともしませんでした。大きく硬い背中でした。とても怖かったです。それでも、泣きながら叫びながら、なんとか父の手を緩めようと必死でした。

 父にそんな私達の気持ちが伝わったのかはわかりませんが、父は首を絞めるのをやめました。父と母がどんな顔をしていたのか、覚えていません。どんな風にその場が終わったのかも、記憶にありません。

 ただ、母の首を絞められたときの声だけが、今も耳にこびりついています。

 面前DVにも様々あると思いますが、子供の心を壊す憎むべきものであることに間違いはありません。

 

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