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#11 奈良屋本店

こんにちは。

be-en 代表のゆうかです。

蔵元巡り第11弾は奈良県奈良市にお店を構える『奈良屋本店』をご紹介します!

奈良屋本店では奈良漬を製造販売しています。奈良漬は、塩漬けした野菜類を酒粕に複数回漬け込むなどして漬け変えを行ったものです。

奈良漬の歴史

奈良漬は奈良発祥の伝統食品です。その歴史は古く、奈良時代に遡ります。近年には、長屋王(684年-729年)の屋敷跡から「進物加須津毛瓜(たてまつりものかすづけけうり)」と記載がある木簡が発見されました。また、平安時代中期延長5年(927年)に編纂された延喜式の中に「粕漬」という名で、瓜、冬瓜・ナスが記載されているそうです。当時の酒は現在の透明度のあるお酒とは違い、白く濁ったどぶろくを指し、粕とは搾り粕ではなく、どぶろくの底に溜まるドロッとした沈殿物の染(おり)を指していました。そこに野菜を漬けこんだものを「粕漬」と呼び、当時は貴族の保存食・香の物として珍重されていたそうです。

また、奈良は清酒発祥の地と言われ、正暦寺で「菩提泉」という清酒が日本で初めて醸造されたという逸話があります。そのため、清酒を醸造する過程で、良質な酒粕を供給することが出来たことが、奈良漬の発展につながったとも考えられています。

奈良漬の作り方

奈良漬の製法は大きく分けて5つの工程に分けられます。各工程で1~2か月ほど寝かせて熟成させます。

  1. 塩漬け

  2. 漬替え・下漬

  3. 漬替え・中漬

  4. 漬替え・上漬

  5. 漬替え・本漬

  6. 塩漬けでは、野菜にまんべんなく塩をふりかけて塩漬けにしますが、この時の塩分は20%を超えます。これは、野菜中の余分な水分を外へ排出させ、酒粕に含まれる旨味を吸収させるためです。塩漬け完了の目安は、重石を置いた時に出てくる水分が飽和塩水になることです。

  7. 塩漬けが完了したら酒粕で漬け込みます。下漬の主な目的は塩抜きです。

  8. 中漬は脱塩と調味を目的に行います。調味の段階に入ると、漬替えの時期、漬種により粕の量を変えます。

  9. 上漬は脱塩と調味を目的としていますが、より調味に重点を置いています。上漬では新しい酒粕を使用します。

  10. 最後に、仕上げの工程である本漬を行います。本漬も新しい酒粕を使用します。上漬での漬かり具合等により使用する酒粕の種類、量が変わりますが、この時の酒粕の配合で味が決まります。

奈良屋本店のこだわり

①地産地消

奈良屋本店では地産地消をテーマに奈良漬の製造をしています。現店主の増田幸彦さんが家業を継いだ際、奈良漬用野菜が奈良に一つもなかったことに衝撃を受けたとのこと。奈良漬用野菜の多くは徳島県で生産されているため、奈良漬の生産量も徳島が日本一となっています。

そのことに課題意識を感じ、奈良漬用の野菜のタネを買い地元奈良の農家さんを回って何度もお願いし、奈良県産の野菜の生産から塩漬けまで自社で行えるようになりました。現在、一から奈良漬を製造しているのは奈良で三軒のみで、その内塩漬けまで行っているのは奈良屋本店しかないとのことです。また、奈良県内で唯一、JAS認定の奈良漬を製造され、「大和三尺きゅうり」、「大和の丸茄子」等の奈良市の伝統野菜として指定されている品種や地元で生産された野菜を優先的に使用しています。

奈良屋本店の奈良漬

②サステイナブルで自然な奈良漬

奈良屋本店が考える「自然な奈良漬」とは、奈良の野菜や酒粕を使い、奈良で漬け込んだ奈良漬です。奈良屋本店では「自然な奈良漬」を、何世代にも渡って受け継がれる製法で製造されることを目指しています。

そのために、奈良漬の製造過程をデータ化しています。今まで勘で作っていた奈良漬のロジックをデータから把握し、1,000年を超える奈良漬の製法を引き継ぎながら、サステイナブルな製法の確立に取り組んでいます。「データの一貫性を見つけて枝を張っていくことで自分の子供も継いでいける」との幸彦さんは考えています。

このように、サステイナブルな食環境を考え、料理等にその考えを表現することをガストロノミーといいます。奈良屋本店はガストロノミーの賛助会員でもあり、「奈良漬とは何かを理解してほしい」という思いの下、サーキュライズ型エコノミーを模索しています。

奈良屋本店さんの思いや取り組みは下記 HP でも詳しく記載されています。是非ご一読ください🔽

今後、奈良屋本店さんの取り組みをお手伝いしていきたいと思っています。そして、地元奈良の発酵食品や食文化を起点とした地域活性にも取り組みんでいきたいと考えています。

奈良屋さん、そして私自身の新しいチャレンジをまたnoteでお伝えしますので、是非楽しみにしていてください!

奈良に訪れた際は是非、奈良屋さんこだわりの奈良漬をお召し上がりください^^

それではまた次の記事でお会いしましょう!

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