Van Halen「5150」(1986)
エディ・ヴァン・ヘイレンがもうこの世にいないという事実は、どうもまだ信じられません。80年代洋楽をリアルタイムに聴いていた私にとって、やっぱりヴァン・ヘイレンは通過儀式のように熱心に聴いてました。
ということで、ヴァン・ヘイレンのアルバムをご紹介致したく…。
個人的にはデイヴ・リー・ロス在籍時の6枚のアルバムが大好きなんですが、今回はサミー・ヘイガー加入の1作目「5150」を…。
以下の音源、エディの音って一発で分かりますよね。クリアなトーンで有りながらも激しさが伝わってくるような熱い音。実はエディはヴァン・ヘイレンのメジャーデビュー前に、あるアーチストの楽曲に参加してます。ご存じでした? それがニコレット・ラーソンのデビューアルバムに収録されている「Can't Get Away from You」って曲。もちろんプロデューサーはテッド・テンプルマン。ヴァン・ヘイレンの陰の立役者ですね。この「Can't Get Away from You」のクレジットにはギターは「?」って表記されてます。でも音で分かるんですよね。せっかくなので楽曲アップしておきます。
いきなり話がそれてしまいましたが、ヴァン・ヘイレンは1984年に発表した「1984」で超ブレイク。エディのキーボード・プレイも話題になりました。彼らの作風も、キーボードをフューチャーするような楽曲が増えてきました。ところがヴォーカルのデイヴ・リー・ロスが脱退。バンドメンバーとの不仲とも「Crazy From the Heat」という映画を制作するためとも云われていますが、諸々のタイミングが合ってしまったんでしょうね。
そしてデイヴの後に加入したサミー・ヘイガーが、想像以上にこのバンドに大きく貢献。「1984」というモンスターアルバムの後という大きなプレッシャーをものともせず、良質なハードロックアルバム「5150」を1986年に発表します。当時、私はサミー・ヘイガーのヴァン・ヘイレンはどうしても好きになれませんでした。それだけデイヴのスタイルに愛着があったんですよね。ですから「5150」もスルーしておりました。でもこのアルバム、決してスルーしてはいけない、素晴らしい内容のアルバムなんですよね。
まずはオープニングナンバーの①「Good Enough」。このエディのギター、先にアップしたニコレット・ラーソンで弾いた音とあまり変わりありません。よりトリッキーにはなっていますが。ヴァン・ヘイレンの特徴でもあるトリッキーなギターソロ、ハイトーン・コーラス。ここでも後半にふんだんに登場してきます。このコーラスの中心はベースのマイケル・アンソニー。彼のハイトーン・コーラス、個人的に大好きなんです。そういった意味ではこの曲、ヴァン・ヘイレンらしい素晴らしい名曲です!
ある意味問題作の②「Why Can't This Be Love」。先行シングルカットされた楽曲で全米3位を記録。サミー・ヘイガー色が濃い作品と云えるでしょう。ポップでありながらも彼等らしさも垣間見れるヒット曲。当時は「ヴァン・ヘイレンも軟弱になってしまった…」と嘆いていたものですが、今聴いても新鮮。途中変拍子も入ったりして、妙に変な曲でもあります。プロデューサーがミック・ジョーンズ(もちろんフォリナーの)であったことも功を奏しました。
本作中、一番超ハイテンションでスピーディーな③「Get Up」も彼等らしいお祭りソングですね。なにしろイントロのアレックスのツーバスの応酬が凄い、っていうかうるさいくらい(笑)。アレックスのドラムって、あまり好きじゃないんですが、彼の素晴らしさは認めます。ここでも随所にシンセドラムを効果的に挟み込み、スピーディーかつリズミカルな楽曲にドラムが仕立て上げてますね。カッコいい!この曲は是非こちらのライブを見て欲しい!この超ハイスピ―ドな演奏力(リズムに付いていけません(苦笑))。3人だけで演奏しているんですよ。超絶エディのギターソロも堪能出来ます。あとマイケルのハイトーン・コーラスも。
このアルバムからも数々のシングルヒットが生まれましたが、当時私が好きだったシングル曲が⑥「Best of Both Worlds」。シンセ音もないストレートなロックが私の好みにフィットしました。フロント3人の妙な振り付けも愛らしいですね(笑)。でもこのPVも彼らのステージングの楽しさをよく表してますね。そう、ヴァン・ヘイレンにはブリティッシュ・ロックに見られる暗さがないんですよね。間奏のショーも楽しい…。
もうひとつのヒット曲、⑦「Love Walks In」もご紹介しておきます。ここでの聴き所はエディのキーボードとサミーのギター。アップしたステージングは興味深いですね。ずっとエディがキーボードを弾き、ギターソロはサミーが弾いてます(一瞬タッピングも披露しております)。デイヴの時にはこうしたサウンド・プロダクションは出来ませんでした。サミーもギタリストとしても一流ですからね。エディ、楽しそう…。
アルバムタイトル曲のハードな⑧「5150」も緩急をつけたアレンジなんかはヴァン・ヘイレンらしい。また⑨「Inside」は彼らの新境地、なんとなくピンクフロイドを思わせるような楽曲。
本作を改めて聴いてみると捨て曲なしの名アルバム。今、聴いても、実に新鮮なんですよね。やっぱりヴァン・ヘイレンはいいなあ~。
最後にこの当時に撮影されたと思われる、ザ・フーの名曲「Won't Get Fooled Again」のカバーを見て下さい。超カッコいい、そして相変わらずエディが楽しそうにギター弾いてます。あ~、エディ、R.I.P.
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