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Rod Stewart「Gasoline Alley」(1970)

私は最近、スモール・フェイセズフェイセズロッド・スチュアートと、一連の作品をよく聴いてます。そんな中の1枚、今回はロッドのセカンドソロをご紹介致します。
これもまた結構いいんですよね。最初はなんかフォーキー過ぎてどうなの??と思っていたのですが、1曲1曲、よく聴くと味わい深いものばかり。ここ数週間のヘビーローテーションです。

1969年春にスティーヴ・マリオットがスモール・フェイセズを脱退。残されたメンバーのロニー・レイン(B)、ケニー・ジョーンズ(Ds)、イアン・マクレガン(key)の3人は、新たな道を模索しますが、実質的なリーダーを失ってしまったバンドには存在価値などないとばかりにレコード会社でさえ彼らを見放してしまっていたらしい。そんな中、バンドの救世主となったのがロン・ウッドでした。ロンとロッド・スチュアートはジェフ・ベック・グループに参加していましたが、この頃、ロンは放浪の身。ロンはスモール・フェイセズのファンでもあったことから、1969年6月から4人でセッションを開始(ちなみにこの時期、ロッドはストーンズや後のレッド・ツェッペリンなんかへの参加を打診されていたらしい)。そしてやはり強力なリード・ヴォーカリストが必要ということで、1969年秋、ロッド・スチュアートのフェイセズへの加入が決まることとなります(バンド名はスモールを取った形ですね)。

ロッドは1969年6月にマーキュリー・レコードとソロ契約を交わしており、一方のフェイセズはワーナーと契約。この時点でロッドはソロと二足の草鞋を履くこととなるのですが、それだけ双方にとって魅力的であったということなんでしょうね。

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本作、「Gasoline Alley」は1970年6月に発表。それまでにロッドのファーストソロが1970年2月、フェイセズのファーストが1970年3月と立て続けに発表されていきます。当然、本作にはフェイセズのメンバーも参加。後にケニー・ジョーンズがインタビューで、ロッドのソロとバンド活動と区分けが出来なかったことに「マーキュリーと(マネージャーの)ガフに、(フェイセズは)うまいように利用された」と語ってますが、一方で「(ロッドのソロの)「マギー・メイ」が大ヒットしたとき、俺たち4人とも自分のことのように喜んだ」とも語っており、メンバーの仲は良かったことを物語ってます。

さて、ブリティッシュ・フォークの香り全開の本作、1曲目の①「Gasoline Alley」があまりにも有名ですね。ロッドとロンの共作。ロンのスライドギターがカッコいい。この曲はドラムレスです。もっとロック調に演奏すれば、かなりカッコよく仕上がる筈ですが、敢えてマンドリンも交えたフォーク調に仕上げたところに、ロッドの趣味嗜好が表れているような気がします。ロッドが単独で書いた⑦「Lady Day」、⑧「Jo's Lament」も作風はフォーキーですね。
アップしたのはフェイセズでの名演。メンバー、仲良さそう。

ボビー・ウーマックの②「It's All Over Now」。
こちらはストーンズのバージョンが有名ですが、ストーンズやボビーはR&B的に、ちょっと黒っぽい仕上がり。一方ロッドのバージョンは完全にフェイセズ、つまりパーティ・ソング、かなり明るい仕上がりです。これが(ロッドというよりも)フェイセズの魅力なんですけどね。

ロッドはカバーする選曲にもセンスを感じます。⑤「Country Comforts」はエルトン・ジョンのナンバー。
今聴いても古臭さを感じさせない名バラード。エルトン・ジョンとは同時期にレコーディングしていたようですが、発表はロッドの方が先となりました。バック・ヴォーカルはハリー・レイノルズという方。この方は後にAshman Reynoldsというバンドを結成する方でしょうか。

そして⑥「Cut Across Shorty」はエディ・コクランのカバー。
オリジナルはアコギをカキ鳴らすロックンロールですが、ロッドのバージョンはフォーキーかつワイルドな演奏、そしてロッドのハスキーヴォイスが楽曲にピッタリ。ヴァイオリンのソロなんか秀逸です。原曲を超えたカッコいい楽曲!

⑨「You're My Girl (I Don't Want To Discuss It)」はリトル・リチャードがオリジナル。
オリジナルは激しいR&Bナンバーなんですが、ロッドはファンク調に仕上げてます。この曲と④「My Way Of Giving」は、バックメンバーは完全にフェイセズのメンバーと一致します。この曲の演奏は、相当迫力ありますね。結構気に入っている楽曲です。

この後、1971年3月にフェイセズとして「Long Player」を、そして「マギーメイ」の大ヒットをリードに、1971年に発表されたロッドのソロ作「Every Picture Tells a Story」が英米でNo.1を記録するのでした。この頃のロッドやフェイセズ、最高にカッコ良かったです。

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