Carole King「City Streets」(1989)
キャロル・キングやジェームス・テイラー・・・。彼等の音楽には「音楽の魔法」が感じられ、彼等なりの指針、ポリシーが感じられます。
キャロルとジェームスのセッション、実に楽しそうですよね。未だに現役の彼等、きっと生涯現役なんでしょうね。
キャロル・キングというと70年代に活躍したアーチストであって、以降の作品って???、という方が多いと思います。実際キャロルの最新のスタジオ録音アルバムというと、2001年発表の「Love Makes the World」ですから、もう20年以上もオリジナル作品を発表しておらず、そう思われるのもしょうがないでしょうね。
でもこの「Love Makes the World」も素敵な作品ですし、今回ご紹介する1989年発表の「City Streets」も味のある作品ですので、キャロルの80年代以降の作品もポップスファンには是非聴いてほしいですね。
といいつつ私自身もこの「City Streets」は一旦購入して、すぐにスルー状態だったんですけどね。一聴して80年代風アレンジが耳につき、以降一度も聴いてなかったんですね。
で、先日、自宅のCDを整理していたところ、このアルバムがひょっこり出てきて、BGM代わりに聴いていたのですが、これがまたイイ。メロディが耳に残ってくるんです。やっぱりキャロルの楽曲は味があるんですね。
80年代のキャロルは1980年に自身のカバーアルバムである「Pearls」を発表後、キャピトルを離れ、アトランティックへ移籍。そして82年「One To One」、83年に「Speeding Time」を発表。正直、商業的には失敗に終わった作品群でした。
そしてキャピトルに戻り、1989年に本作を発表します。でもこの作品もチャート上では最高位111位と全く振るわなかった・・・。とはいえ、このアルバム、内容的にはエリック・クラプトンとブランフォード・マルサリスが参加している素晴らしい1枚なんですね。
プロデュースはキャロル自身とギタリストのルディ・ゲス。ルディとは以降も長い付き合いとなりますね。
当時シングルカットされたナンバーがアルバムタイトルトラックの①「City Streets」。
エリック・クラプトンが参加してますが、あえて彼が参加するようなナンバーだったのかな、といった疑問は残ります。シングルカットナンバーだから参加したのかな・・・、話題作りで・・・、と穿った見方をしてしまいます。正直それほど魅力的なナンバーではないので・・・。
でもエリック参加しているもう1曲の方、⑦「Ain't That The Way」。これはイントロからエリックらしい泣きのギターが楽しめます。こちらはエリックがギターを弾いている意味がよく理解できます。楽曲も素晴らしい。
心に染みるブルージーなナンバーです。
それからブランフォード・マルサリスが参加している⑧「Midnight Flyer」。これもいいですね~。
ルディ・ゲスの趣味だと思われますが、彼のマンドリンが楽曲をカントリータッチに仕上げてます。確かイーグルスにも同名異曲がありましたが、初期イーグルス的楽曲を80年代タッチに仕上げた感があります。
ブランフォードのソプラノサックスは最初違和感を感じたのですが、これはこれでアリかなと思います。
2001年に発表された「Love Makes The World」ではいいバラードが結構収録されてましたが、ここでも⑤「I Can't Stop Thinking About You」が実に往年のキャロルらしいメロディを聞かせてくれます。いいバラードですよ。
興味深いところではカーペンターズの作品で有名な作詞家のジョン・べティスが⑨「Homeless Heart」でキャロルと共作しております。
エンディングの⑩「Someone Who Believes in You」は御馴染みジェリー・ゴフィンとの共作です(ちなみに「Midnight Flyer」も彼との共作)。離婚しても共作している仲なんですね。やっぱりこのコンビが一番しっくりきます。素晴らしいバラードです。
やっぱりキャロル・キング、いいです。