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Deep Purple「Whoosh!」(2020)

今月のレココレ8月号は「ポップ史を塗りかえた1984年をふり返る」といった特集で、特に私が洋楽にのめり込んでいた時代のアルバムをレビューしている興味深い記事でした。1984年の洋楽が、「ポップ史を塗りかえた」とは意識しておらず、新たな気付きもありました。

さて、先日ラジオから新曲と称されたハードロックが流れてきました。どこかディープ・パープル風な曲調に、ついつい聞き入ってしまったのですが、この曲が正真正銘、ディープ・パープルの新曲でした。この新曲「Lazy Sod」を収録したニューアルバムは19日に発売されるとのこと。このアルバムのレビューは当面先になると思いますが、この新曲があまりにも素晴らしく、正直まだこんな素晴らしい作品が発表出来るくらいの活動を彼等がしていたことに驚愕してしまいました。

お恥ずかしい話、私の中でのディープ・パープルは第一期~第三期、そして1984年の復活作「Perfect Strangers」で終わっております。それ以降のパープルはパープルではないと勝手に決めつけていたんですね…(すみません)。
なので「Lazy Sod」を聴いたときはビックリ致しました。そしてもっとビックリしたのは、ディープ・パープルにリッチー・ブラックモアが在籍していた年数と、スティーヴ・モーズが在籍した年数を比較すると、実はスティーヴの方が長いということです。

ということで最新作の前、今から4年前の作品がどうだったのか、気になったのでチェックしましたら、こちらもかなりの力作なんですね~。

プロデュースはボブ・エズリン。懐かしいお名前…。過去2作は彼のプロデュースだったらしく、続いて本作も、そして今月発表される新作も彼のプロデュースです。

メンバーは…、
  イアン・ギラン(Vo)
  スティーヴ・モーズ(G)
  ロジャー・グローヴァー(B)
  イアン・ペイス(Ds)
  ドン・エイリー(Key)

という布陣。最新情報を知らなかった私にとって、まだイアンが歌っていること、ジョン・ロードの後釜がドン・エイリーというのにビックリ。最年長のイアン・ギランはこの当時で74歳。凄いですね…。

新曲「Lazy Sod」にも驚きましたが、この4年前のアルバムのトップナンバー①「Throw My Bones」も同様にミディアムテンポの今のパープル・サウンドで実にカッコいい。
リッチーとは違うスタイルですが、今のパープル・サウンドにスティーヴのプレイは実にフィットしてます。イアン・ギランもシャウトこそしていないですが、未だに歳を感じさえない太い声、そしてやっぱり歌上手いなあ。

本作中、一番キャッチーでいいなあと思ったナンバーが②「Drop the Weapon」。このメンバーで、まだまだこんなキャッチーなナンバーをやっていたとは、ちょっと驚き。サビのコーラスなんか、昔のパープルのイメージとは違うなあ。
ただギターソロの展開なんかは往年のパープルっぽい。つまり適度に昔の雰囲気を残しつつ、うまくキャッチーに仕上げているという感じでしょうか。ドンのキーボードもジョン・ロードを彷彿させるようなプレイでいいですね。

サード・シングルにもなった④「Nothing At All」。
このPVは「本当に何でもないのか?」といった問題提起をしているものになってますが、ここではライヴ映像をアップしておきます。
そしてギターはスティーヴ・モーズではなく、サイモン・マクブライド。スティーヴは奥さんの看病に専念したいということで、2022年に脱退しております。45歳のサイモンは、メンバーとは一回り以上歳の差がありますが、ここでのプレイを聴く限り、全く違和感ありませんね。この曲のギターは、ドンのキーボードと呼応するようにメロディを奏でるところが聴き所でもあり、見事に弾きこなしてます。

ロックンロールしている⑦「What The What」。
こんな明るい曲調のロックンロールをディープ・パープルがやるなんて、ちょっと意外。一瞬「Highway Star」的な展開かと思ったら、曲自体はロックンロールです。

⑫「And the Address」…、この曲名を聞いて、ピンと来た方はパープル・マニアですね。
この曲、ディープ・パープルのデビューアルバム「Shades of Deep Purple」のオープニングナンバーです。リッチーとジョンの共作。現在のディープ・パープルは、リッチーとイアンの確執が発端となった経緯ですし、またジョン・ロードは既に他界。それでもやっぱりパープル創業の立役者である2人への敬意が込められているものと思われます。また、これは邪推ですが、やっぱり本当はこのアルバムでパープルの幕を閉じられようとしていたのではないか…とも思える選曲ですね。
こちらのバージョンは、原曲のイントロのサイケな展開を省き、ドライブ感溢れるロックパートのみを演奏。今聴いても古臭さを感じさせないナンバーです。スティーヴのギターソロは、随所にリッチーらしさを残しつつ、彼のオリジナリティが発揮されたもの。

落ち着いたディープ・パープルも実にカッコいい。これは新譜が楽しみですね…。

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