Michael Jackson「Off the Wall」(1979)
クィンシー・ジョーンズが亡くなられました。巨星逝く…といった感じでしょうか。個人的にはクィンシーがジャズマンだった頃の「SOUL BOSSA NOVA」って曲が大好きでした。某CMに使われてましたよね。
それから日本でも超大ヒットした「愛のコリーダ」。最初クィンシーが歌っているものとばかり思っていたのですが、実はそうではなく、彼はダンサーだった(笑)という名ライヴ。ルイス・ジョンソンのベース、これも凄い!
ピンクのクィンシーにばかり、目が行ってしまいますが(笑)、よく見ると凄いメンバーのライヴです。曲が終わったと思ったら、またまた激しいリフが…。この映像も大好きでした。
でも何といってもクィンシーの最大の功績は、やはりマイケル・ジャクソンをスターに仕立ててことではないでしょうか。
1979年のマイケルの「Off The Wall」、そして上の映像の1981年の「愛のコリーダ」、そして1982年のマイケルの「Thriller」…、これら、この時代のクィンシーが最高に輝いていたような気がします。
この「Off The Wall」というアルバムには、ジャクソン5とは一味違うマイケルが居て、また後にビッグになり過ぎてしまうマイケルとも違う、まだまだ初々しさも残っているマイケルが居ります。私は「Thriller」よりも、こちらのアルバムが大好き。そしてこの時代のマイケルが大好き。
クィンシーがマイケルにいろいろ指導している姿が目に浮かびます。
マイケル伝説はこの1曲から始まったと思っている①「Don't Stop 'til You Get Enough」。強烈なダンスチューンですね。強力なビートを刻むのはベースはルイス・ジョンソン、そしてドラムはジョン・ロビンソン。70年代ソウルミュージックの集大成といった感もあります。同時にこの曲が80年代の架け橋となったといっては言い過ぎでしょうか?
今となっては懐かしい70年代ブラコンの香り漂う②「Rock with You」。
作者は元ヒートウェーブのロッド・テンパーソン。簡単そうに聞こえますが、このジョン・ロビンソンのドラムのグルーヴは凄いですね。
こうしたブラコンの王道的な楽曲は、以降のマイケルにはあまり聞かれなくなったような気がします。
これまた超強烈なダンスチューン、③「Workin' Day and Night」。イントロのマイケルの雄叫びがまたかっこいい。ライヴでもよく歌われました。このアップした映像のライヴも相当なリハーサルをしたものなんでしょうね。見せ場がいくつもありますね。この曲は登場しませんでしたが、ついつい映画「This Is It」のリハーサルシーンを連想してしまいます。
このアルバムのAOR的な楽曲群であるB面は私の好みですね。恐らくこのアルバムが大ヒットした当時は、逆にこのB面はどう思われたのでしょうか?
そのトップを飾るのが、なんとポール・マッカートニー作の⑥「Girlfriend」。楽曲は後に超ビックヒットした「The Girl Is Mine」を思わせるほのぼのとしたもの。如何にもポールらしい1曲。ポール自身もアルバム「London Town」にこの曲を収録しております。
邦題「あの娘が消えた」(⑦「She's Out of My Life」)は従来のマイケルにはない屈指の名バラード。
プロデューサーのクインシー・ジョーンズは「マイケルはこのような大人びた恋愛表現を知らないのではないか」と思い、この曲を提供したとのこと。マイケルはこの曲のレコーディングにおいて、毎回泣いたそうです。非常に純粋なアーチストなんですね。ちなみにこの楽曲のギターはラリー・カールトン。よくギターが聞こえないのですが。
wikiにも書かれてますが、このPV、後の派手なマイケルとは全く逆で、シャツにセーター姿、ただ座って歌う極めて地味なものになってます。イントロで頭をかくマイケルも極めて普通の人間的ですね。
そして恥ずかしながら、あまり認識していなかったのですが、マイケル、このナンバーを歌っていたんですね。そのナンバーこそ⑨「It's the Falling in Love」。
AORの超名曲です。もちろん原曲は作者本人のキャロル・ベイヤー・セイガー。マイケルはパティ・オースティンとデュエットしてます。このアレンジもAOR的ですね。マイケルとAOR、すごく意外な感じがします。
このアルバムで文字通りマイケルはスーパースターとなりました。このアルバム、ブラコンの最高峰に位置するアルバムだと思います。
そしてマイケルは1982年、いろいろな意味で完全に別世界へ行ってしまうのです・・・。「Thriller」は「Off The Wall」と同様にクィンシーとマイケルの共同プロデュースとクレジットされてますが、恐らく「Thriller」のマイケルは、クィンシーの指導下から既に離れ、自身で相当プロデュースしていたのではないでしょうか。
そんなクィンシーが、その後のマイケルをどう見ていたのか、ちょっと気になります。