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Eric Clapton 「Slowhand」(1977)

70年代のクラプトンは非常に味がありますね。スワンプ、レイドバック、ブルース・・・。そのサウンドはとても豊潤で、どのアルバムも魅力的です。そんななかで、個人的に70年代のクラプトンで1枚のアルバムを挙げるとすれば本作でしょうか?

プロデュースはグリン・ジョンズ。イーグルスのプロデューサーとして有名ですね。ひさしぶりの英国録音ということもあり、非常にリラックスムード漂う作品です。バックメンバーは「461 Ocean Boulevard」からの御馴染みのクラプトン・バンドの面々。気心しれたメンバーによる、クラプトンの充実した歌と演奏が楽しめます。

オープニングはJJケイル作の①「Cocaine」。クラプトン自身、「Cocaine」との縁を断ち切る意味でも採り上げたのかもしれません。クリーム時代のヘビーなギターリフが印象的です。
この曲のライヴ映像は結構YouTubeにアップされてますね。

メロウなクラプトンの代名詞的な楽曲となってしまった②「Wonderful Tonight」。確かに素晴らしい楽曲です。でも根っからのクラプトンファンはこの曲をどう受け止めたのでしょう。私はコアファンでないので、すんなり受け止めてますが・・・。後のアンプラグド・ブームの中心的なナンバーとなっていきますね。

③「Lay Down Sally」は当時全米3位のヒットを記録したそうです。軽快なカントリーナンバーなんですが、全米3位というビッグヒットを記録した楽曲にしては地味ですね。それだけ当時のクラプトンに勢いがあったのでしょうか? カントリー好きな私としては、この曲、かなり好みです。

この曲に続いてクラプトンのオリジナルである④「Next Time You See Her」もレイドバック感覚溢れるカントリースタイルのナンバーですね。そしてしっとりとしたナンバーの⑤「We're All the Way」はカントリー界のスターであるドン・ウィリアムスのカバー。
この辺の感覚は、多少プロデューサーのグリン・ジョンズの影響もあるのかもしれませんね。

本作中、一番熱いナンバーが⑥「The Core」。Marcy Levyのソウルフルなヴォーカル、ヘビーなクラプトンのギターがかっこいい。ちなみにマーシーについては全く予備知識がなかったのですが、もともとはボブ・シーガーのバンドにいたらしい。確かドラムのジェイミー・オールデイカーもボブ・シーガー・バンドの出身。ボブ・シーガーとクラプトンって、つながりが全く見出しづらいのですが、結構近い関係だったんですね。
ちょっと話がそれてしまいましたが、とにかくこのナンバー、かなりヘビーで、ライヴ向きですね。

そしてエンディングは非常に穏やかな⑨「Peaches and Diesel」。インストナンバーですが、マイルドなクラプトンのギターが心落ち着かせます。このアルバムでのクラプトンのギターは実に多彩ですね。

このアルバム、こうして聴いてみると実にバラエティに富んだ内容になってますが、決して散漫な印象はなく、むしろ非常にかっちりした作りに聴こえます。ジャケットも最高にかっこいいし、個人的には70年代クラプトンの最高傑作と思ってます。

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