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Deep Purple 「Who Do We Think We Are」 (1973)
今日ご紹介するパープルの作品、第二期黄金のメンバーによる最後の作品…とはいえ、一番地味と云われている作品。ヴォーカルのイアン・ギランとギターのリッチー・ブラックモアの仲が最悪な状態の中で制作されたもの。全体的にリッチーのやる気のなさは明らかで、ギターソロは明らかに激減。その代わりジョン・ロードのキーボードがフューチャーされております。
イアン・ペイスのハイハットワークからスタートする①「Woman From Tokyo」。第二期パープルのポップ度NO.1の名曲。
この曲はメロディリフが奏でられるまで、長いイントロがありますが、そのイントロをリードしているのがイアンのドラミング。ハイハットをオープン・クローズして絶妙にグルーヴ感を出したり、メロディリフに入る直前のフィルインとか、イアンならではのドラミングが堪能出来ます。また間奏の浮遊感はジョンの力量が存分に発揮されてます。間奏からまたメロディリフへ入る直前の、静寂の中の高速ハイハットワークもイアンならでは。
エンディングは本来リッチーのギターソロが弾かれる筈だったらしいですが、リッチーがうまく弾けず、ジョンにソロをお願いしたということらしいです。
シングルカットされた1曲目のポップさに隠れるように収録されている②「Mary Long」。でも実は味わい深い1曲です。この曲を聴くと、イアン・ギランは改めて上手いヴォーカリストだと認識させられます。イアンの歌い方、カッコいい!またイントロのジョンのキーボードアレンジなんかは絶妙ですね。またこの曲、本作では珍しく(?)、リッチーのギターソロが楽しめます。ただこの曲の白眉はエンディングの4ビートアレンジのところかな~。発表当時、本作中、唯一ライブで演奏された曲。
第二期パープル流のロックンロールが④「Smooth Dancer」。ギターリフの後ろでロックしているジョンのキーボード、そしてそれに続くキーボードソロ、カッコいいですね~。ここでもジョンのキーボードが活躍。イアン・ペイスのフィルインも相変わらずグルーヴィーで心地いい。
ギターのリフがカッコいい⑤「Rat Bat Blue」。イントロのギターリフや、カウベルを鳴らしたドラムなんかはZEPの曲を連想させます。重量感ある楽曲ですね。この曲もジョンがフューチャーされてます。特に間奏の激しいキーボードソロが圧巻。リズムがスピードアップして、ジョンが暴れまくります。実にスリリング!ある意味、本作のハイライトかもしれません。
ジョン・ロードがフューチャーされた⑦「Our Lady」。ほとんどリッチーの存在が無視されたような作品ですが、ある意味、第一期パープルのサウンドを彷彿させます。ちょっとサイケがかったサウンド。本作エンディングトラックにして、第二期パープルの最後の作品になんとなく相応しいアレンジですね。
どうですか。決して駄作ではないと思うのですが、なぜか地味なアルバムなんですよね。確かにリッチーが目立たない作品ではありますが、カッコいい曲が随分収録されていると思うのですが。
1973年6月29日の日本公演を最後にイアン・ギランとロジャー・グローヴァ―は脱退。リッチーは自分が脱退するか、イアンをクビにするか、マネージャーに決めさせ、結局イアンが脱退。イアンにくっ付いてきたロジャーも(ついでに)脱退。ただし後にリッチーは、「ロジャーには悪いことをした…」と語ったらしい。ハードロック界の人間模様はドロドロしてますね~。