David Foster「The Christmas Album」(1993)
またまたクリスマスアルバムのご紹介です(クリスマスまでにあと1,2枚はご紹介するかもです)。こちらはなかなかクオリティの高いアルバムなので、敢えてご紹介させて頂きます。ご存知AORの大家、デヴィッド・フォスター・プレゼンツ・クリスマスアルバムです。
こうしたプロデューサーがアーチストを集めてクリスマスアルバムを制作するスタイルは、フィル・スペクターが1963年に発表した「A Christmas Gift to You From Phil Spector」がその先駆けでしょうね。このアルバム、フィル・スペクターの武器である「ウォール・オブ・サウンド」を駆使した素晴らしいポップスアルバムとなってます。デヴィッドも間違いなくコレを聴いていた筈で、本作制作時には、このアルバムが下敷きになっていたと勝手に想像しております。
デヴィッドの武器というと、やはりあのAOR特有というかデヴィッド節のキーボードを使ったメロウなメロディラインに特徴があると思います。ただし本作では、あくまでもオーソドックスにクリスマスソングを扱ってます。エンジニアに盟友アル・シュミットが参加しているのは、AORファンにとっては嬉しいですね。
オープニングの①「Carol of the Bells」はトラディショナルソングですが、ここではデヴィッドのキーボードソロがメインで、あまりトラディショナルソングっぽくない、いかにもデヴィッド・フォスターといったアレンジになってます。後半のキーボード使いはシカゴっぽいなあと(笑)。
②「Blue Christmas」からは全て懇意にしているヴォーカリストをゲストに、ムーディーに、かつゴージャスにクリスマスソングを聴かせます。こちらの「Blue Christmas」のヴォーカリストはカントリーシンガーのワイノナ・ジャッド。
デヴィッドのオリジナルは⑤「Grown-Up Christmas List」。歌うはナタリー・コール。この曲は1989年にカナダでオンエアされた「クリスマスカード」という番組のなかで歌われた曲。デヴィッドらしい美しいメロディが特徴です。
後にナタリーコールは父親(故ナットキングコール)とのデュエットアルバム「Unforgettable」が大ヒットしますが、そのプロデューサーはデヴィッドでしたね。
このアルバムで私が一番好きな楽曲は⑧「I'll Be Home for Christmas」です。ピーボ・ブライソン&ロバータ・フラックといった豪華デュエット。もちろん有名なスタンダードナンバーですが、ここでの聴きどころはなんといってもAOR風アレンジが施されているところ。
ホーンアレンジは名曲「After The Love Is Gone」を彷彿させます。切れのあるドラム&ベースもAOR的。本当はデヴィッドのクリスマスアルバムは、ゴージャスなオーケストラアレンジではなく、こうしたAORアレンジモノを期待していたのですが・・・。
多くのアーチストにカバーされている⑩「The Christmas Song」も確りカバーされてます。歌うはセリーヌ・ディオン。この曲はアルト・ヴォイスのカレン・カーペンターや竹内まりやのヴァージョンの方が好きですね。
でも流石、デヴィッド&セリーヌの名コンビ。しっとりと聴かせてくれます。
最後は参加メンバー全員ではありませんが複数参加する⑫「White Christmas」。贅沢ですね。これは映像をご堪能下さい。参加されているアーチストはJohnny Mathis, Wynonna, Tom Jones, Michael Crawford, CeCe & BeBe Winans, Vanessa Williams, Peabo Bryson…。
ちょっとまだ早いですが、本作を聴きながら、じっくり今年を振り返ってみたいと思ってます。