Eric Clapton「461 Ocean Boulevard」(1974)
程よくレイドバックしたECカムバック作
1970年代前半、エリック・クラプトンは薬物依存症に陥ってしまいます。
盟友ジミ・ヘンドリックス、デュアン・オールマン等の死、そして親友ジョージ・ハリスンの夫人であるパティとの不倫・・・。様々な出来事が重なりました。そしてクラプトンは1971年、バングラディシュ・コンサートを最後に一線から退いてしまうのです。
そして1973年1月、ピート・タウンゼントの呼びかけで開催されたレインボー・コンサートでクラプトンは復活しました。
クラプトンによると、カムバックするに際して何をしていいか決めかね、RSOレコードの創設者であるロバート・スティグウッドに相談したところ、レコーディングの話が持ち上がり、マイアミでの制作を決意したとのこと。
そして最高にリラックスした素晴らしい作品に仕上がったのです。
プロデュースは御馴染みトム・ダウド。また当初からデレク&ドミノスのベーシスト、カール・レイドルの参加が決まっていました。そのカールとの共同アレンジによるトラディショナルソング①「Motherless Children」で本作は幕を開けます。この曲、ジェイミー・オルデイカーの軽快なドラミングに乗せられて、クラプトンがグルーヴィーなスライド・ギターを披露します。ヴォーカルも楽しそうですね。この曲は大好きです。
そしてECオリジナルの②「Give Me Strength」では思いっきりレイドバックしたリラックスムードが堪りません。ここではECはドブロを弾いております。このドブロがレイドバック感たっぷりに聴かせます。
このマイアミ録音でECはレゲエサウンドに挑戦したことは有名ですね。もちろんECの大ヒット曲でボブ・マーリーのカバー⑤「I Shot the Sheriff」はあまりにも有名ですが、ここではオリジナル作品の④「Get Ready」に注目したい。ヴォーカルでも参加しているイボンヌ・エリマンとの共作ですが、これもレゲエ独特のグルーヴ感が堪らないですね。曲自体は単調極まりない曲なのですが・・・。
レゲエを早くも自らのサウンドに昇華してしまったECに驚きです。
本作では⑤「I Shot the Sheriff」と並び⑧「Let It Grow」が名曲と称されてますね。しかしこの曲、あまりにもZEPの「天国への階段」と酷似してますよね。サビの部分は泣きのメロディで感動を誘うのですが・・・。特にエンディングでのギターのリフは酷似してますね~。もっと違うアレンジは考えられなかったのでしょうか。
本作中、私が一番好きな曲が⑩「Mainline Florida」。本作でコレを推す人って、ひょっとしたら私だけでしょうか?
本作にギターで参加しているジョージ・テリーの作品ですが、現在のECが演奏しそうな、EC流レイドバックロックですね。タイトなリズムに、かっこいいギターのリフ。怪しげなギターソロはスライドギターでしょうか。実にかっこいい曲です。
本作、復帰後の作品だけあって、適度に肩の力が抜けた素晴らしいアルバムですね。ブルース、スワンプ、ハードロック、レゲエ等が程よくミックスされてます。個人的にはECの数ある作品のなかでも一番好きな作品です。