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Fleetwood Mac「Rumours」(1977)
私とフリートウッド・マックとの出会いは、1982年発表の「Mirage」が最初で、1984年に発表されたメンバーのクリスティン・マクビィーのソロ・シングル「Got a Hold on Me」なんかが大好きでした。
ですから本作は完全な後追いで、ましてや彼等の初期のブルースバンド時代の作品はあまり聴いたことがありません。
またバンド名が、ドラマー&ベースのリズム隊の名前から取られていることに永らく違和感を覚えてました。通常リズム隊は裏方だし、フリートウッド・マックのメインはリズム隊以外のリンジー・バッキンガム、スティーヴィー・ニックス、クリスティン・マクヴィーですから。でも実は精神的支柱はリズム隊である2人、ということなのかもしれませんね。この辺の不思議な関係は彼等らしいです。
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1974年、当時のフロントマンであったボブ・ウェルチがグループを脱退。そこで新たにリンジーとスティーヴィーが加入し、黄金の5人のラインアップが揃います。
そして1975年に「Fleetwood Mac」を発表。大ヒットを記録します。
本作はその次に発表されたアルバムで、「Fleetwood Mac」以上の大ヒットを記録することになります。
ただし当時はリンジー&スティーヴィー、ジョン&クリスティンが破局。そしてミックまでもが離婚という状況下で、精神的には緊張感のある時期だったようです。ある意味、プライベートと仕事は別、と割り切った開き直りが、絶妙なバランス感覚を生んだアルバムといえるかもしれませんね。
その絶妙なバランスが生かされた①「Second Hand News」。
軽快なリズム隊にポップなメロディ。バグパイプ風な音が効果的なアレンジもいい。
彼等の代表作である②「Dreams」はスティーヴィー・ニックス作。
ちょっとけだるい彼女のヴォーカルと、クールなサウンドが見事にマッチした作品。フリートウッド・マックというと、このテのサウンドを連想してしまいます。
本作が聴けば聴くほど味わいが出てくるのは、①②とはまた違うフォーキーな③「Never Going Back Again」のような曲が収録されているからかもしれません。②のようなサウンドばかりを思い描いていたので、この曲には驚かされました。好みのサウンドです。
④「Don't Stop」はちょっとタイトなマック流ロック。実は作曲はクリスティン・マクヴィー。骨太な曲なのでてっきりリンジーの曲かと思ってました。クリスティンはこの他にも結構いい曲を作ってますね。
アップした映像は当時のライヴ映像。皆、若くてかっこいい。キャラクターは五者五様ですね。
リズミカルな⑤「Go Your Own Way」も彼等らしい楽曲。パワフルなミックのドラミングが印象的です。当時のメンバーのライヴ映像。かなり熱い、アップテンポな演奏です。
地味ですが⑪「Gold Dust Woman」も渋くていい。本作はイーグルスの「Hotel California」がヒットを記録していた頃に発表された作品ですが、この曲は「Hotel California」に通じる、ちょっと退廃的な香りがします。
本作を通して聴くと、やはりフリートウッド・マックのリズム隊はしっかりしているなあと思います。ピーター・グリーンやボブ・ウェルチ、クリスティンにリンジー、スティーヴィー・・・。フロントマンが変われども、リズム隊はしっかり屋台骨を支えていたのでした。