Lee Ritenour「Rit's House」(2002)
気持ちを落ち着かせたいときは決まってスムースジャズを聴いてます。フォープレイやクリス・ボッティ、チャック・ローブ、どれもいいですが、ここ最近はリー・リトナーの「Rit's House」をよく聴いてます。
私のリー・リトナーの愛聴盤はAORの名盤「Rit」、ブラジリアンミュージックが心地いい「Festival」、そして本作です。3枚ともカラーは違うのですが、どれも彼の持ち味が出ている作品ですね。
この作品は2002年に発表されたスムースジャズの決定盤。ジャケットのレトロ感も素晴らしいですね。
このジャケットからも明らかなように、どこか60年代風なジャズのテイストが含まれていて、無味乾燥なスムースジャズとは一線を画す、聴き応えのあるアルバムとなってます。参加ミュージシャンはマーカス・ミラー、ヴィニー・カリウタ、ジョージ・デューク、アーニー・ワッツ、ジェリー・ヘイ等々。
収録曲はオリジナル中心ですが、往年のジャズスターのカバーも収録されてます。
②「"13"」はウエス・モンゴメリー&ジミー・スミスの名演が有名。クワイエット・ストーム的な一時期流行ったフュージョン・サウンドで好感持てます。
③「Mizrab」はハンガリー出身のギタリスト、ガボール・サボの作品。かなり渋い選曲ですね。イントロから怪しげな雰囲気。ちょっと中東風なサウンドもあったりして、アレンジも凝ってます。ライブ映像がありましたので、そちらをアップしておきます。リーの卓越したプレイが堪能できます。
そして⑪「Party Time」がリー・モーガン。「Party Time」は確かにハード・バップ調の曲なので、ジャズ感が出てますね。上と同じライブ映像をアップします。メンバーが凄いですね。
個人的にはアーニー・ワッツのメロウなサックスが聴ける⑥「A Little Dolphin Dreamin'」がいいですね。スムースジャズの典型のような楽曲です。ミディアムテンポのメロディがポップな、この時期のリーの典型的な1曲。1977年に発表された「Captain Fingers」でリーは「Dolphin Dreams」という楽曲を発表してますが、こちらの曲とは関係がありません。でも「A Little Dolphin Dreamin'」なんて、愛らしくてチャーミングなタイトルです。
本作中唯一のヴォーカルモノは⑦「Every Little Thing She Does Is Magic」。
この題名にピンと来た方はエイティーズファンですね。そう、ポリスの名曲のカバーです。しかも歌うはスモーキー・ヴォイスのマイケル・マクドナルド。AORの全盛期を支えた人物だけに、ついつい「Rit」におけるエリック・タッグを連想してしまい、AOR的アレンジを期待してしまいますが、そういった期待感を持つと予想を裏切られます。ちょっとブラジリアンテイストを漂わせた、スローテンポなアレンジなんですね。このアルバムにはこのアレンジがぴったりです。
リーは1993年にウエス・モンゴメリーに捧げた「Wes Bound」という素晴らしいアルバムを制作してますが、ジャズに対する深い造詣があるのでしょう。このアルバム「Rit's House」ではタイトルどおり、自らの音楽を総括するような素晴らしい内容となってます。
あと皆さんご存知のように、この後2005年、彼は杏里と婚約をすることになります(後に婚約は解消されましたが)。音楽の懐の幅も然ることながら、交流関係も幅広いですね(笑)。
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