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John Mayer「Paradise Valley」(2013)

ジョン・メイヤーは大好きなアーチストです。
本作発表当時はAmazonの評価では賛否両論。まあ、しょうがないでしょうね。本作は前作に引き続いて、かなりレイドバック感溢れる、カントリーサイドのアルバムに仕上がっていますから。
ファーストやセカンドの頃のジョンを期待した人は、まず間違いなく本作には興味が失せてしまったでしょう。個人的嗜好の問題はしょうがないにしても、このアルバムはじっくり聴くに耐え得るアルバムだと思うのです。

このジャケットを見ただけで、何となく音楽が想像出来ますよね。アメリカの広大な大地に佇むジョンと愛犬。そこに流れてくるのはやっぱりカントリーでしょ。

1曲目の①「Wildfire」を聴いて頂き、この曲が気に入れば、このアルバムはお気に入りになるでしょう。でもこの曲でもピンと来ない方は、このアルバム、あまりお薦めは出来ません。
単純なメロディの繰り返しなんですが、カントリーフレイバー溢れるギターが堪りません。地味な曲なようでいて、パーカッションが盛り上げてくれるパーティーソングかもしれません。コンサートでは意外と盛り上がる曲のような気がします。ジョンのヴォーカルとパーカッションだけになるフェーズなんか盛り上がりそう。

このアルバムの出だし3曲が、本作を象徴しているような気がします。②「Dear Marie」は実にフォーキーな1曲。地味です、すこぐ。淡々と曲が進んでいきます。そしてそれを盛り上げているのがスティールギター。これまたカントリータッチの曲。エンディングにかけてはアップテンポになっていきます。

本作からのファーストシングルは④「Paper Doll」。
この曲がヒットするって、やっぱりアメリカ人はこうした素朴でフォーキーな曲が根底には好きなんですね。なんだか安心しました。最近流行の曲、超ポップな曲・・・、そういったものとは一切無縁な「Paper Doll」。この曲が受け入れられる土壌が羨ましい。
まあ、日本では100%、このテのサウンドはヒットしないでしょうね。

⑤「Call Me the Breeze」は今年7月に亡くなられたJJ Caleの楽曲。
このブルース&レイドバック感覚がエリック・クラプトン等多くのアーチストを魅了したんですよね。そしてジョンも魅了された一人。JJ Caleとクラプトンが2006年に発表した共演アルバムにはジョンも参加していました。
JJの死と本作発表のタイミングは近いので、たまたま偶然収録されたものと思われますが、追悼ソングとなってしまいました。

本作中、一番カントリーフレイバーたっぷりな曲が⑨「You're No One 'Til Someone Lets You Down」。間奏のスティールギターなんか、完全にカントリー。ファースト、セカンドの頃のジョンを知る人にとっては、こうした楽曲はかなり違和感を覚えるに違いないでしょう。でも私はこの曲、大好きです。

ここまでレイドバックしてしまったジョン、これからどういう道を進んでいくのか…、当時は気になりましたが、現時点での最新作、2021年発表の「Sob Rock」ではまたファースト、セカンド路線に戻り、安定したロックを聴かせてくれてます。


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