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Valerie Carter「Wild Child」(1978)
AORの名盤って、男性アーチストが多いと思いませんか?
リッキー・リー・ジョーンズもカーラ・ボノフもリンダ・ロンシュタットも直球のAORとはちょっと違いますね(AORの定義にもよりますが^^)。強いて言えばローレン・ウッドやキャロル・ベイヤー・セイガーでしょうか??
そして本作の主人公、ヴァレリー・カーター。ジェームス・テイラーのバックコーラス等で有名な彼女。コレ、ジャケのインパクトが強いので、長らく聴かず嫌いだったのですが、今ではすっかり愛聴盤になってます。AOR名盤に常に紹介されているだけあります。
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ヴァレリー・カーターは1974年、19歳のときに元フィフス・アベニュー・バンドのジョン・リンドと元R・J・フォックスのリチャード・ハーヴェイと3人でハウディ・ムーンを結成、「Howdy Moon」を発表しております。
後に1977年、ハウディ・ムーンをプロデュースしたリトル・フィートのローウェル・ジョージの協力のもと、ソロデビュー。そして本作は彼女のセカンドアルバムという訳です。
本作は1978年という時代背景もあり、デビュー直前のTOTOの面子(Jeff Porcaro、David Hungate、Steve Lukather、Steve Porcaro)が参加。プロデュースはジェームス・ニュートン・ハワード。あの時代の素晴らしきAORサウンドが聴けます。
①「Crazy」。シャープなAORサウンドです。間奏のシンセソロ、そしてギターソロがTOTOっぽいと思ったら、スティーブ・ポーカロ&スティーブ・ルカサーですね。
一般的には一番人気の高いと思われる②「Da Doo Renedezvous」。
ちょっとけだるいムーディーな雰囲気がお洒落です。レイ・パーカー・Jrのジャージーなギターソロもかっこいいですが、ここではなんといってもチャック・レイニーの強烈なベースが興味を惹きます。このエンディングのベースラインはなんとも味わい深いです・・・。
①②で軽く流して③「What's Become of Us」で一気にウエストコーストAORに突入って感じです。
こうしたミディアムテンポのキャッチーなメロディのAORは私のツボですね。で、ギターソロ。このギターソロはもしや・・・??
やっぱりジェイ・グレイドンでした。事前にライナーノーツは見ないで聴いていたのですが、ジェイのソロは一発で分かりますね。この楽曲にはやはりジェイしかいないでしょう!
本作中、一番ファンク色の強い⑥「The Story of Love」はかなりいいです!
ホーンアレンジはシカゴ・ソウルには欠かせないTOM TOM 84。EW&Fでの仕事でも有名な方です。ファンキーなベースはそのEW&FのVerdine White。ジェフのドラムもヘビーですね~。
(そういえばヴァレリーのファーストソロ、確かモーリス・ホワイトもプロデューサーに名を連ねてましたね)
こんなファンクチューンも軽く歌いこなすヴァレリー、凄いです。
一気にヒートアップしたと思ったら、一転メロウな⑦「The Blue Side」。
メロウAORの典型ですね。これもいい! 哀愁漂うギターがいいんですね~。実はこれもジェイ・グレイドンでした。
1978年はソウルがクロスオーバー化し、また白人音楽がソウル化していったAOR隆盛期です。ボズやTOTO、EW&Fが代表例ですが、本作もそんな一枚。しかも見事に多様な音楽性を違和感なく聴かせてくれるアルバムです。AOR屈指の名盤ですね~。
(余談ですがスティーヴ・ウィンウッドの1982年のヒット曲「Valerie」は、彼女のことを歌ったものですね)