The Monkees「Headquarters」(1967)
しばらく自らの音楽の原点でもあるモンキーズをご紹介が出来ていなかったので、ここで彼らの素晴らしいオリジナルアルバムをご紹介したいと思います。メンバーのマイク・ネスミスの突然の訃報から、もうすぐ1年が経とうとしているし。
この1967年発表の3枚目のオリジナルアルバムは、過去2枚のモンスターアルバムとは趣きが大きく違います。それは本作のレコーディングメンバーが、メンバー中心ということです(ちなみにモンキーズはオーディションで選ばれた、芸能事務所によって作られたバンドなので、1,2枚目はスタジオミュージシャンが演奏してます)。
もともと4人のメンバーのうち、マイク・ネスミスとピーター・トークは優れたミュージシャンでしたので、相当なフラストレーションが堪っていたものと推察されます。特にピーターはデビュー前にはスティーヴン・スティルスとデュオを組んでいたくらいですから。
本作は盟友チップ・ダグラス・プロデュースのもと、自ら演奏した非常に味わい深い1枚となってますし、私の大好きな一枚です。
まずマイク作の①「You Told Me」からして今までのお子様ポップスとは一線を画す仕上がりです。メロディ自体は普通のロックですが、耳を引くのは終始鳴っているバンジョーと効果的なコーラスでしょうか?12弦ギターやバンジョーが、当時流行り始めた「ラガロック」を連想させますね。ベースも弾いているチップ・ダグラスの力が大きいと思いますが、それでもこれ1曲でモンキーズは変わったと思わせます。
中学の頃、③「Forget That Girl」が大好きでした。これはチップ・ダグラス作。効果的なムーグシンセ、ラテン風ドラム(これが結構もたついているので、明らかにミッキー・ドレンツですね)、甘酸っぱいメロディライン、そして甘~いディビー・ジョーンズのヴォーカル。どれも最高です。ディビーはこうしたタイプの曲を歌わしたら天下一品ですね。ディビーと一緒にこの曲よく歌ってました(笑)。
マイク作の⑤「You Just May Be The One」は力強いポップス。本作にはマイク自作の曲が3曲収録されてますが、特に①⑤は従来のカントリー臭さがあまり感じられませんね。ちなみに私は後のカントリーロックのブームはマイクが種を蒔いたと思ってます。
YouTubeにはモンキーズ・ショーで披露された映像がありましたが、初期のスタイルですね。
本作のハイライトトラックは⑥「Shades Of Gray」でしょう。バリーマンとシンシア・ウェイル作の名曲中の名曲です。
ピーターの弾くピアノが印象的で、この曲のモチーフとなってます。ディビーとピーターがヴォーカルを分け合ってますね。
♪ When the world and I were young , Just yesterday.
Life was such a simple game,
A child could play.
It was easy then to tell right from wrong.
Easy then to tell weak from strong.
When a man should stand and fight , Or just go along.
But today there is no day or night
Today there is no dark or light.
Today there is no black or white,
Only shades of gray .♪
すごく重みのある歌詞ですね。間奏・エンディングでのフレンチホルン等アレンジも素晴らしいバラードですので、機会があれば是非聴いてみて下さい。
ちなみにこの曲、後にピーターの持ち歌にもなりました。私は音楽的にはマイク、キャラ的にはピーターが大好きでした。とぼけた感じのピーター、最高でしたが、根は真面目な方だったんですよね~。
⑩「Sunny Girlfriend」はマイク節炸裂のカントリーロックですね。これが心地いいんですよ。この1967年当時で、このテの音をやっていたこと自体驚きです。
⑫「No time」、⑭「Randy Scouse Git」はミッキーの独壇場です。ミッキーのヴォーカルって、とてもシャウトに合っているハスキー&高音系ですが、⑫の50年代ロックンロールにはぴったりです。
また⑭は珍しくミッキー自作の曲。バスドラムをフューチャーした、ファンの間では人気の高い曲。
このアルバム、やっぱり1曲1曲が味わい深いですね。米国ではここからシングルカットされた曲はないと記憶してますが、やはりアルバム全体で聴くと1曲1曲の価値がよく分かる名盤です。
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