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Beach Boys「That's Why God Made the Radio」(2012)

まだまだ暑い夏が続きます。というかこれからですね(笑)。
夏といえばビーチボーイズ。いつも夏はビーチボーイズがヘビーローテーションしてます。
カール・ウィルソンが亡くなったとき、もはやビーチ・ボーイズもこれまで・・・、と思ったものです。それがまさかのブライアンの復帰とマイク等との仲直り。そして新作まで発表されたときは狂喜乱舞でした。本作はその時の作品。

往年のロックバンドの再結成アルバムって、正直素晴らしいって思ったこと、あまりありません。やはりそのバンドのピークと対比してしまうからでしょうか。
でもビーチボーイズのこの作品、かなり素晴らしい内容です。実際アメリカでは初登場第3位を記録したようです。

ピアノが淡々とメロディを刻んでいくオープニングナンバーの①「Think About The Days」。美しいコーラスがこれから始まる素敵なショーに備えて心を落ち着かせてくれます。

そしてシングルカットされた②「That's Why God Made The Radio」。このシングルがフックとなって、このアルバム、全米初登場第3位という驚くべきセールスを記録したんですね。確かにフックとなったこの曲はメロディに懐かしさがいっぱい。そして何となく暗いこのご時世、なんだか心が暖かくなってくるようなポップスです。こうした気持ちがアルバムの大ヒットに繋がっているのでしょうね。
音楽に国境なし! 皆、同じコトを感じているんですね。

アルバムの真ん中に収録されている素敵なポップスの⑥「Shelter」。素直にこうしたポップスはビーチボーイズらしく、心がワクワクしてきますね。と同時に、自分の気持ちもまだ若いのかな・・・と勘違いしてしまいます(苦笑)。
歌っているブライアンはこの当時70歳なんですけどね。彼こそ、驚くほど気持ちが若い!

このアルバム、8曲目までは爽快なポップスが続きます。ただし本作の白眉は⑨「Strange World」からだと考えます。
⑨「Strange World」の隠し味には自転車のベルが一瞬使われたり、ストリングスが独特の緊張感を生んでいたり・・・。何よりメロディが大好きです。

⑩「From There to Back Again」なんかは、まるでペットサウンズの世界。ポップスだけど、ひねりのあるメロディとアレンジ。あのペットサウンズの世界にタイムスリップしたみたいです。
是非、この素晴らしきビーチボーイズの世界を堪能してみてください。ビーチボーイズは「California Girls」のようなノーテンキなポップスだけではないのです。実に深みのあるポップスが彼らの醍醐味なのです。

⑪「Pacific Coast Highway」の美しいコーラス。このコーラスを聞いているだけで至福の時間が過ごせます。

そしてこの素晴らしいアルバムは⑫「Summer Gone」で幕を閉じます(ボートラの「Do It Again」が続きますが、オリジナルアルバムとしてはこの曲が最後とみなした方が締りがいいですね)。もともとブライアンがエンディング用に作った非常に厳かな曲。ポップスとはちょっと無縁かもしれません。
この曲のライターにはなんとジョン・ボン・ジョヴィが名を連ねています。このアルバムの殆どの楽曲にジョー・トーマスが名を連ねてますが、そのジョーとの繋がりから、彼が参加したのでしょうね。でも正直、その静かな楽曲スタイルからは、ジョン・ボン・ジョヴィらしさが全く伝わってきません(笑)。

厳かな「Summer Gone」で幕を閉じるところに、何か含みを感じてしまいます。邦題は「過ぎゆく夏」。
本当はこうした楽曲はカールに歌って欲しかった。カールはこうした情緒豊かな楽曲のヴォーカルに声質がぴったりでした。そう、「天使の歌声」と言われてましたね。
無きカールを偲び、彼の一世一代の名唱、「God Only Knows」をアップしておきます。ちなみにアップした映像にはブライアンはおりません。もうこの時点でライヴには参加しなくなりました。そして変な帽子をかぶっている不気味なマイクは、ここでは脇役。主役は当時は太っていたカールなのでした。

ちなみに本作が発表された年にビーチボーイズはなんと来日しております。しかもブライアンとマイクが揃ったビーチボーイズ。残念ながらこの後、予想通りブライアンはBBを脱退。恐らくもう2度と見れなかったであろう2人のステージを、私は名古屋で堪能しました。その時の前座はなんとアメリカ!
東京(幕張)では星野源が前座だったり、クリストファー・クロスが飛び入り参加したりと、凄いステージだったようですね。
一応その時の(拙い)ライブレポートもアップしておきます。


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