Rita Coolidge「Rita Coolidge」(1971)
GW、如何お過ごしでしょうか。
さて今回はスワンプ、デルタ・レディの登場です。リタ・クーリッジって最近では日本の楽曲をカバーしたりして、ポップス歌手というイメージがあるのですが、60年代後半のデビュー当時はスワンプ界のLAコネクションの重要なひとりと目されていました。その楽曲もいぶし銀的なシブさがあり、恐らくは商業的な成功とは無縁と思われますが、特にこのデビューアルバムはロックファンにとっては必聴盤ではないでしょうか。
テネシー州出身のリタは、デビュー前はメンフィスで姉のプリシラとバンド活動をしておりました。その姉のプリシラがなんとブッカーT・ジョーンズと結婚。それを機に所謂スワンプコネクションに参画し、デラニー&ボニーのツアーにバックコーラスとして参加。メキメキと頭角を現し、いつの間にか「デルタ・レディ」と呼ばれるようになりました。
スワンプ系の人たちは結束が堅く、このデビューアルバムにも多くの有名アーチストが参加し、リタのヴォーカルをしっかり支えてます。
このアルバムのなかではスワンプというよりも一番カントリー臭い②「Second Story Window」はマーク・ベノの作品。マーク・ベノもスワンプ系では忘れてはならない重要人物ですね。一際輝くアコースティック・ギター、妙に上手いと思ったら演者はスティーヴン・スティルス。
そして③「Crazy Love」。これはいい! ヴァン・モリソンのシブい1曲を見事にカバーしております。ブッカー・T・ジョーンズのオルガンにドナルド・ダック・ダンのベース。スタックス・レーベルのコンビですね。そしてギターはボビー・ウーマックにスティーヴン・スティルス。ドラムはジム・ケルトナー。
これら面子がどっしりとしたスワンプ・サウンドを聴かせます。それに負けないリタのヴォーカル。深みのあるアルトヴォイスですね。ただでさえ味わい深い楽曲なのですが、より一層、ジーンと心に染みます。
マーク・ベノのもうひとつの作品である⑧「(I Always Called Them) Mountains」。ちょっとカントリー・フレイヴァー漂うバラード。バックにはストリングスアレンジも・・・。
せっかくなので思いっきりスワンプしている楽曲を・・・。それが⑨「Mud Island」。スワンプと言えばスライド・ギター。スライドの名手と云えばジェシ・エド・ディヴィスとライ・クーダー。ここではライ・クーダーが初めから終わりまでスライドを掻き鳴らしてます。ジムの重たいドラムにライのスライド・ギターだけでも聴く価値はあります。
そして最後はニール・ヤングの⑩「I Believe In You」。ニールはこの曲を1970年に発表した名作「After The Gold Rush」で披露してます。
リタはゴスペルタッチに堂々とした歌いこなします。もともと牧師の家に生まれたリタは、当然のようにゴスペルにも馴染んでいたことでしょう。
リタは本作にも参加しているスティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュと恋仲になってしまいますが、結局結婚した相手はクリス・クリストファーソン。彼とはデュエットアルバムを結構出してますね。
80年代以降は本作に見られるようなかっこよさを感じさせる楽曲、というより凡庸ポップス歌手となってしまった感がありますが、彼女は未だに現役で頑張っているようです。
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